地域課題の解決と市民への新たな価値を創出
インテルと千葉市の包括連携協定

2024年3月28日、千葉県千葉市とインテルはテクノロジーを活用した持続可能な街づくりに向けて包括連携協定を結んだ。両者が有するノウハウと資源を掛け合わせることによって、「地球上のすべての人々の生活を豊かにする技術を創造する」というインテルが掲げる目標と「みんなが輝く 都市と自然が織りなす・千葉市」という千葉市が掲げる都市像の実現を目指していく。今回は、千葉市役所で行われた包括連携協定式の内容をリポートする。

インテルと千葉市の
包括連携協定締結式

千葉市役所で開かれたインテルと千葉市の「包括連携協定締結式」の様子。締結式では、千葉市 市長の神谷俊一氏(左)とインテル 代表取締役社長の鈴木国正氏(右)が出席し、協定書に署名を行った。

持続可能な街づくりを進める

 AIをはじめとするテクノロジーの進歩や働き方の多様化など、我々を取り巻く環境は目まぐるしく変化している。この先の未来もそれは変わることなく、さまざまな社会変化が起こることが想定される。それに加えて、少子高齢化による人口減少や地球温暖化に伴う気候変動リスクなどの社会課題についても、ますます深刻化する懸念がある。「千葉市では、地域・社会課題に対応し、市民が快適な生活を続けられる街づくりの実現に向けて『千葉市スマートシティ推進ビジョン』を策定しています。持続可能な街づくりにはテクノロジーが不可欠です。さらに、企業・教育/研究機関などと連携して街づくりを進めていくことで、市役所のみでは実現できない新たな価値を創出したり、地域課題の解決につなげたりすることが可能になります。今回、革新的なテクノロジーの創造によって人々の日常生活を豊かにし、世界の進化を支えているインテルさまと連携することで、地域の一層の活性化と市民サービスの向上につなげていきたいと考えています」と千葉市 市長 神谷俊一氏はインテルとの包括連携協定に対する期待を話す。

 インテル 代表取締役社長 鈴木国正氏は「インテルでは、これまでにもスマートシティに関するプロジェクトを行ってきました。そうした中で、人口約98万人(2024年4月1日時点)の政令指定都市である千葉市さまと共にスマートシティ推進に向けて、大きな取り組みが行えることをうれしく思います。今まで培ってきたノウハウを生かせる機会でもあり、千葉市さまと協力し合いながら、新たな価値の創出と街づくりに向けて注力していきます」と意気込む。

 インテルと千葉市は、包括連携協定を締結する以前からさまざまな取り組みを共同で行っている。AIやデータを活用して来園者へのサービスの向上や運営の効率化を目的に実施した「千葉市動物公園での混雑状況の可視化・来園者予測等の実証実験」、高齢者の健康づくりを目的に行った「高齢者eスポーツ体験」、テクノロジーを活用してより豊かな社会を作っていくための人材を育てる「職員向けのデジタル人材育成研修」などが挙げられる。「包括連携協定を締結することで、さらに幅広い分野にわたって、新たな価値の創出に向けた取り組みができると期待しています」(神谷氏)

インテルが有するテクノロジーを活用

 インテルと千葉市が締結した包括連携協定の連携事項は以下の四つだ。

(1)テクノロジーの活用と実装に関する研究・実証
(2)デジタル人材育成の推進
(3)多様な主体による街づくりの推進
(4)その他、両者が合意する事項に関すること

 (1)は、インテルが有するテクノロジーを活用し、千葉市のデジタル化や街づくりにおける現場視点での諸問題に対して、産官学連携で解決に向けて取り組むものだ。課題認識や解決策の創出を行い、実証実験を通じて社会実装を目指す。インテルが持つ多くのパートナーや教育機関との連携から、プロジェクトに応じた最適な体制づくりを行い、共創による解決を加速させていく。

 (2)は、インテルが力を入れているデジタル人材育成に関するものだ。人々の好奇心を掻き立てながら、デジタルへの対応力(デジタルレディネス)を高め、小中高/高等教育/社会人におけるデジタル人材を育成する「インテル・デジタルラボ構想」の実現を目指す。インテル・デジタルラボ構想は、小中学校・高等学校向けのSTEAM教育を目的とする「STEAM Lab」、クリエイター・高等教育向けのデジタルコンテンツ制作を目的とする「Creative Lab」、行政・高等教育・地域企業向けのAI教育を目的とする「AI Lab」、行政・地域企業向けのデジタルトランスフォーメーション(DX)/データ・セントリック・トランスフォーメーション(DcX)研修を目的とする「DX/DcX研修」の四つのラボで構成される。千葉市では始めに、市職員に向けたDX/DcX研修から実施を進めていく予定だ。

 (3)は、さまざまな分野における高い技術力を有するインテルのパートナー企業と共に、デジタル化・データ活用を最大限に生かして、市民生活の質の向上を支援するものだ。地域コミュニティ、市民サービス、教育など多様なユースケースでのデータ連携を実現させていく予定だ。

 (4)については両者が合意する事項に対して連携強化の取り組みを進めていく。

テクノロジーで地域活性化

 今後、千葉市ではインテルの支援で多岐にわたってプロジェクトを進めていく。東京情報大学と連携し、学生・市民がデジタル技術に触れる場の提供や、学生・市民・団体・企業向けの講座/研修などを実地する予定だ。さらに、eスポーツを通じた地域活性化の支援に取り組み、市民のコミュニティづくりや高齢者のフレイル予防などを行っていくという。

「当市が掲げる『みんなが輝く 都市と自然が織りなす・千葉市』の実現に向けて、インテルさまと共に新たな価値の創出、持続可能な街づくりを目指して取り組んでいきます」と神谷氏は語った。