細部までこだわった子供向けキーボード

エレコム
はじめてのキーボード
KEY PALETTO TK-FS10BMKBK

エレコムのPC学習用キーボード「はじめてのキーボード KEY PALETTO」(以下、KEY PALETTO)は、子供が最初に触れるキーボードの理想形を追求した1台になっている。今回レビューするのは、Windows 11/10とChromeOSに対応するBluetooth接続モデル「TK-FS10BMKBK」だ。子供の手になじむ17mmのキーピッチと、最大500万回の打鍵に耐える丈夫なキーの採用で、子供から大人まで楽しみながら本格的に使えるキーボードに仕上がっている。
text by 森村恵一

「はじめて」を追求したデザイン

 TK-FS10BMKBKを手に取ると、そのカラフルなデザインに目を奪われる。赤・青・黄・緑に塗り分けられたキーボードは、見た目がポップで明るく映えるだけではなく、よく見るとホームポジションに対応した色分けになっている。実は、この色の並びにも深い意味がある。黄色の配分を多くして冷たい印象や激しい印象を回避している上、暖色と寒色を交互に配置することで、色覚異常を持つ人でもキーが見分けやすいように配慮しているという。

 キートップにメインで印字されているアルファベットも、一般的なキーボードで使われている大文字ではなく、あえて小文字を採用している。アルファベットに不慣れな子供たちの混乱を防ぐため、キー単体で押したとき実際に入力される文字と同じものをメインにしているのだ。このような工夫をはじめとした、子供たちが「はじめて」触れるキーボードとして最もふさわしいものを追求した研究の成果が、TK-FS10BMKBKには詰まっている。

 KEY PALETTOの開発は、エレコムの従業員が見た、自身の子供のオンライン授業風景が起点となっている。子供は、10インチのノートPCに前かがみになって、オンライン授業を受けていた。さらに、キーに大文字のアルファベットが印字されたノートPCを使用している子供から、アルファベットの小文字の入力方法を聞かれたのだという。こうした出来事を受けて、もっと子供の目線に立った「はじめてのキーボード」に応える製品を開発すべきだと考えるようになったそうだ。

引き算で生まれたデザインと機能

 はじめてのキーボードを追求したKEY PALETTOは、キートップの小文字表記だけではなく、キーそのものも必要最小限に絞っている。

 ノートPCで一般的なFnキーはない。大人でも戸惑う半角/全角の入力モード切り替えキーは、「a⇔あ」という直感的な表現になっている。また、ShiftキーやCaps Lockの表記を四角で囲い、大文字やShiftキーを押しながら入力すると変換される記号なども四角で囲むことで、キーと入力した際に表示される文字の対応が分かりやすいようにしている。加えて、キーボードそのものはかな入力にも対応しているが、キーに「あ」などのかな表記はない。そうした引き算の結果、一般的なキーボードに比べて、シンプルで見やすく直感的に使える新たな価値を生み出した。

 さらに、本体裏面にはCaps Lockキーを無効化する「Caps Lock機能無効化スイッチ」を用意した。このスイッチをオンにすると、Caps LockキーがCtrlキーとして機能する。その結果、間違えてCaps Lockキーを押すことがなくなるのだ。気付かないうちにCaps Lockキーを押してしまい、パスワードが正しく打てなくなったという、PC操作に慣れない児童に起こりがちなミスを防止できる。

 また、KEY PALETTOには、ローマ字入力の変換の一覧が書かれた「ローマ字入力サポートカード」が同梱されている。ローマ字入力サポートカードはキーボードの前方に挿せるので、一覧表を確認しながらローマ字入力の練習が可能だ。併せて、アルファベットや装飾キーの読み方をカタカナで表記した「よみがなシール」も同梱されている。大人には当たり前のアルファベットも、子供にとっては「はじめて」で戸惑う。そうした小さなつまずきが、プログラミング教育やPCへの興味をそいでしまうかも知れない。そのような不安を払拭するために、KEY PALETTOは数多くの工夫や感動を与えてくれる。実際、エレコムが児童のいるプログラミング教室にKEY PALETTOを持って行った際には、カラフルなキーボードを楽しそうに叩く子供たちの姿を数多く目にしたという。

モバイルキーボードとしても有用

 KEY PALETTOの17mmというキーピッチは子供の手の大きさに配慮したものだが、一般的なノートPCでも17mmのキーピッチのものが存在する。そのため、手の小さい女性やノートPCのキーボードに慣れている人ならば、十分に使いこなせる。今回レビューしたTK-FS10BMKBKはBluetoothで接続できるので、モバイル用途のキーボードとしても活用可能だ。キーボードが小さいので、横に置いたマウスにも手を伸ばしやすくなる。子供向けとして薦めるのもいいが、大人でも十分に使える。

 現在は手書き入力や音声入力が進化した上、スマートフォンのフリック入力に慣れた世代も増えている。それでも、PCを通してデジタルを使いこなすには、キーボードの役割はまだまだ重要だ。教育現場でも、PCを使った授業を行う際は、児童のキーボードへの抵抗感は少ない方がいい。発売されて間もないKEY PALETTOだが、実機を目にした教育関係者や子供の反応は高いという。一度実際に使ってみて、教育機関やプログラミング教室などへ提案するのもいいだろう。

キーボードはホームポジションで色分けされている。色覚異常を持つ人もキーを見分けやすい配色を目指した。
本体裏面のCaps Lock機能無効化スイッチを使えば、Caps LockキーをCtrlキーに切り替えられる。