網羅的な機能を備えたサービスが中堅・中小企業市場の中心に

Payroll/Attendance management/Employment management

 ノークリサーチは、年商500億円未満の中堅・中小企業が、給与・人事・勤怠・就業管理製品/サービスに今後求めている機能や特長についての調査、分析を行った。

 調査によると、給与・人事・勤怠・就業管理製品/サービスをすでに導入済みの企業による回答の割合は、「一つの製品/サービスに必要な機能が網羅されている」が8.5%、「SaaSのみで全ての要件を満たせる」が11.5%となった。そして、「業態別に製品/サービスを選択できる」が8.9%、「豊富なテンプレートが用意されている」が7.4%という結果になった。いずれも1割前後の割合にとどまり、顕著な差異はみられなかった。

 一方、給与・人事・勤怠・就業管理製品/サービスを新規導入予定の企業では、「一つの製品/サービスに必要な機能が網羅されている」が26.3%、「SaaSのみで全ての要件を満たせる」が19.6%となった。この二項目の回答の割合が高い結果となり、ノークリサーチは、今後はさまざまな機能を備えたSaaS、網羅型のHRTechサービスのニーズが高まるとみている。しかし、給与・人事・勤怠・就業管理製品/サービスは広範な業務アプリケーションのため、単独のサービス事業者が全ての機能を網羅することは容易ではない。そのため、複数のSaaSを連携し、ユーザー企業から見た場合単独のSaaSに見えるサービスが市場の中心となると予測している。

中堅・中小企業でもBYODが増える見込み

 同調査では、給与・人事・勤怠・就業管理製品/サービスを利用する際の端末環境についても分析している。中でも個人端末の利用に焦点を当て、「ノートPC(社内利用&個人所有)」「ノートPC(社外利用&個人所有)」「タブレット/スマートフォン(社内利用&個人所有)」「タブレット/スマートフォン(社外利用&個人所有)」に分類してその内訳を調査した。

 調査によると、「ノートPC(社内利用&個人所有)」「ノートPC(社外利用&個人所有)」「タブレット/スマートフォン(社内利用&個人所有)」の三項目は、導入済みの企業に比べて、新規導入予定の企業の割合が高い結果となった。それぞれの割合の差は、6.4ポイント、5.4ポイント、3.8ポイントとなっており、「タブレット/スマートフォン(社外利用&個人所有)」のみ、導入済みの企業が2.9ポイント高い割合を示した。

 中堅・中小企業は従業員数が少ないため、BYODによって端末購入費用を削減できる効果と比べて、端末を管理、運用するシステム投資負担の方が大きくなりやすい。そのため、中堅・中小企業ではBYODの導入がしにくい。しかし上記の調査結果から、同製品/サービスにおいては、今後BYODが増える可能性があるとみている。

IoT市場の中でも物流や医療分野が増加傾向

Internet of Things

 IDC JapanはIoT市場規模予測を発表した。同調査によると、2022年のIoT市場の売上金額は6兆818億円となった。その後、2022〜2027年の年平均成長率は8.6%となり、2027年には売上金額が9兆1,877億円に達する予測だ。

 市場の中でも物流や医療の分野で高い成長が見込まれる。農業フィールド監視、スマート倉庫管理、院内クリニカルケア、テレマティクス保険といったユースケースにおいて、2023〜2027年の年平均成長率は12〜15%を予測している。

 物流や医療の分野の高い成長の背景には、2024年4月の労働時間規制の強化による業務効率化に資するIoTソリューションの需要の高まりがある。さらに、高性能なカメラを内蔵するスマートフォンの普及によって、画像センサーの価格下落に伴う監視カメラの低価格化や、画像認識AIの技術進化が起きている。これらを背景として、画像に関するユースケースでIoTソリューションの導入が増加していることも市場の拡大に寄与しているとIDC Japanはみている。

 IDC Japan Infrastructure & Devices リサーチマネージャー 山下頼行氏はIoT市場の注力すべき分野について以下のように語る。「SIerや通信事業者は、人手不足の影響でIoTソリューション市場が成長する物流分野に注力すべきです。また、テクノロジー別では、高い成長率が見込まれるアプリケーション、セキュリティ、アナリティクスのソフトウェアや、IoTプラットフォームなどの開発に注力すべきです」

VRヘッドセットの販売台数は今後も増加傾向

Virtual Reality Headset

 MM総研はVRヘッドセットの販売台数の推移、予測を発表した。同調査においてVRヘッドセットは、有線ではUSBやHDMI、無線ではBluetoothなどを介して通信端末と接続して、ゴーグルのみでVR機能を利用可能なスタンドアロン型の製品と定義している。なお、スマートフォンなどの端末を、ゴーグルに差し込んで利用する製品は含まない。調査によると、2022年度のVRヘッドセットの販売台数は前年度比26.3%増の48万台となった。

 販売台数の増加の背景には、多くのメーカーが小型かつ軽量なVRヘッドセットの開発に注力したことがある。2016年にOculus、HTC、ソニーといったメーカーからVRヘッドセットの製品が次々と発売され、VRヘッドセットが注目され始めた「VR元年」から、多くのメーカーはVRヘッドセットの開発を推し進めていた。結果としてVRヘッドセットは、製品ラインアップの拡大、本体の小型軽量化、そして製品価格の低廉化が進んだのだ。

 今後も製品ラインアップの拡充や小型軽量化による操作性の向上に加え、VRヘッドセット向けコンテンツの拡充が進むとみられる。また、TV番組などでVRヘッドセットが注目を集めていることによって、VRヘッドセットの認知度は77.8%と向上している。こうした背景の下、VRヘッドセットの販売台数は、2025年度には100万台を超え、2027年度には185万台になるとMM総研は予測している。