建設業で業務のシステム化進む

Construction Management

 デロイト トーマツ ミック経済研究所は建設業マネジメントクラウドサービスの市場予測を発表した。同調査では、建設業マネジメントクラウドサービスを「クラウドで提供され、建設業の施工管理、図面・写真管理およびERP管理といった業務のシステム化を支援するソフトウェア」と定義している。また、製品の売り上げと利益の変遷を、導入期、成長期、成熟期、衰退期の四つの段階で説明するマーケティングモデル「プロダクト・ライフサイクル」の各段階に分類している。

 同社は、製品を市場に投入する「導入期」は2014〜2020年度であると分析した。その理由として、年平均50%に近い伸び率での急成長が挙げられる。中でも2018年度は、業務効率化と働き方改革を背景に、市場は58%の伸び率を見せた。しかし2020年度には、新型コロナウイルスの感染拡大によって、一時的に伸び率が37.1%に低下。その一方で、普及率は6.5%と堅調に拡大した。

 売り上げと利益が急拡大する「成長期」は、2021〜2026年度になると予測している。2021年度の伸び率は、2020年度の伸び率が低下した反動で47.1%となったが、2021〜2026年度の年平均成長率は33.2%と導入期に比べて、伸び率が低下する予測だ。また新型コロナウイルスの感染拡大によって、建設業のオフィスに普及したリモートワークを支えるDXツールとして需要が高まっている。このことから、普及率は2021年度の9.6%から2026年度の38.3%と、大幅な拡大が見込まれる。こうした傾向から、2021〜2026年度を成長期と位置付けたのだ。

2027年度より成熟期に突入する見込み

 2027年度の伸び率は24.2%に下降するとみられる。そして、市場の成長が鈍化し、売り上げ、利益ともに頭打ちとなる「成熟期」が始まると分析している。同サービスの導入社数の母数は大きくなり、普及率は48%に達する見込みだ。

 同様のペースで伸び率が低下、普及率が拡大すると、伸び率は2028年度には20%、2032年度には10%を下回り、普及率は上限である95%を超えることが予測される。そのため、2033年度からは、売り上げも利益も減少する「衰退期」が始まるとみている。

2022年度の電子請求書発行サービス市場は42.6%増

Electronic Invoicing Services

 アイ・ティ・アールは電子請求書発行サービス市場規模予測を発表した。同調査によると、2022年度の電子請求書発行サービス市場の売上金額は前年度比42.6%増の87億円となった。

 市場拡大の背景には、2022年1月に改正された帳簿書類のデータ保存を可能とする法律「電子帳簿保存法」がある。これにより、2024年1月より請求書の電子保存が義務化され、導入企業が増加している。また、同サービスを利用することで、郵送代や印刷代などのコスト削減、リモートワーク下での対応といった発行や管理における業務効率の向上、セキュリティの強化などが可能になる。導入の利点が明確になったため、ベンダーがエンドユーザーに提案しやすくなり、参入ベンダーが拡大しているのだ。

 この傾向は今後も継続し、2023年度の同市場は前年度比44%増と、引き続き高い成長が予測される。さらに近年、画像認識の技術向上と幅広い分野への応用が進むだけでなく、市場に参入するベンダーの数も増加傾向にあることから、今後も市場の拡大が見込まれる。結果として、2022〜2027年度の年平均成長率は24%となり、2027年度には売上金額が255億円に達する予測だ。

 同社 プリンシパル・アナリスト 三浦竜樹氏は今後の電子請求書発行サービスの動向をこう分析している。「コロナ禍での働き方の変化、インボイス制度、2022年1月に改正された電子帳簿保存法施行に伴う請求書の電子保存の義務化により、請求書の発行だけではなく受領においても電子化が急速に進展しています。結果として、請求書の発行・受領の一元管理が進んでおり、さらに請求書に対する支払いの会計システムへの消し込みなど、請求書に関連する業務のDXが加速すると予測されます」

2045年度の感情センシングサービス市場は3.850億円に

Emotion Sensing Services

 シード・プランニングは、感情センシングサービス市場規模予測を発表した。同調査によると、感情センシングサービスの市場規模は2025年の73億円から増加の一途をたどり、2045年度には3,850億円となる予測だ。

 市場規模拡大の要因として、デジタル技術の進展が挙げられる。近年、AIやビッグデータの利活用によって、音声や生体情報から特定のデータを抽出し、さまざまなアルゴリズムを組み合わせて、感情を定量的に可視化する製品・サービスが増加しているのだ。

 さらに、音声×画像といった複数種類のデータを組み合わせて処理する「マルチモーダル」な製品・サービスも増加する見込みだ。その背景として、人々の幸福の実現を目指し、社会、環境、経済の諸問題を解決する挑戦的な研究開発を推進する制度である「ムーンショット型研究開発制度」で定められた目標9がある。目標9は「2050年までに、こころの安らぎや活力を増大することで、精神的に豊かで躍動的な社会を実現」と設定されている。こうした国からの大規模な研究投資が後押しとなり、基礎研究の深耕や社会実装が一層進むことが予測されている。このようなデジタル技術の進展に伴い、業界、分野を問わず幅広い場面で、感情センシングサービスが実用化されているのだ。

 社会的課題や技術実装・サービス普及に向けては、さまざまな課題が残っているとシード・プランニングは指摘する。しかし、感情センシングサービスの認知度や技術・サービスに対する期待値は着実に上がり、活用場面も徐々に広がっている。そのため、最終的に市場は拡大する見込みだ。