Chromebookと「QNAP NAS」で
クラウドストレージの課題を解決

Chromebookを積極的に導入している企業の多くは、オンプレミスのレガシー環境を脱却してクラウドシフトを加速させている。Chromebookを活用するに当たり、Google Workspaceに代表されるクラウドサービスの利用は必須だが、課題もある。その中でも、クラウド化を推進する企業のCIOが頭を抱えている問題が、データ保存に関する対策だ。大切なデータをクラウドに保存するのか、手元に残しておくのか。そんなクラウドストレージ利用の課題を解決し、Chromebookのデータを安全にコスト効率良く保存する方法として、QNAPが次世代の「QNAP NAS」を提案している。

企業を支えるNAS活用の最前線

 イーサネットを介してファイルサーバーとして利用するNetwork Attached Storage(NAS)は、運用管理の手軽さとコストパフォーマンスの高さから、日本の企業にも広く普及してきた。現在でも小規模な企業や事業所では、イントラネット内にNASを接続し、ファイルサーバーとして利用されている。NASの基本は、ファイルサーバーに特化したコンピューターだ。

 QNAPが提供する「QNAP NAS」は、オラクルの128bitのファイルシステム「ZFS」を採用したオペレーティングシステム「QuTS hero」を搭載している。本体に装填するSSDやHDDをネットワーク経由でファイルサーバー用のストレージとして利用できる。NASベンダーによっては、専用OSとストレージを一体化して提供しているケースもあるが、QNAP NASではユーザーが自由にSSDやHDDを組み合わせて利用可能だ。

 NASでは、データを安全に保護するために、複数のSSDやHDDを冗長化するRedundant Array of Inexpensive Disks(RAID)を構成する。このRAIDを構成する時に、QNAP NASのように異なるベンダーのSSDやHDDを組み合わせることができれば、同じ時期に同じストレージが故障してしまうといったリスクも減らせる。また、SSDとHDDを混在させるハイブリッドストレージを構成すると、高速アクセスかつ大容量保存も可能になる。こうした利便性から、QNAP NASはオフィスでのファイルサーバー用途だけではなく、映像制作の現場で大容量の動画データを保存したり、研究機関のデータ解析や製造業で発生する膨大な監視・管理系データを保管したりといった場面にも活用されている。

運用の利便性に優れたストレージ環境

 QNAP NASはWindowsやMacだけではなく、Chromebookにも対応している。ChromeOSのFile Managerにネットワークのストレージとして登録すれば、イントラネットを介してファイルサーバーとして利用できる。Chromebookは、Google ドライブのようなクラウドストレージの利用を前提としているので、ハードウェア本体に搭載されているストレージの容量が少ない。Google WorkspaceのBusiness Starterでは、ユーザー1人に割り当てられるクラウドストレージの容量は30GBしかない。Business Standardは2TB、Business Plusは5TBまで利用できるが、Business Starterの月額利用料に比べると、2〜3倍のライセンス料がかかる。100人未満の小規模な企業であれば、高額なGoogle Workspaceの上位エディションを選択するよりも、Business StarterとQNAP NASを組み合わせた方が、コストパフォーマンスと運用の利便性に優れたストレージ環境を構成できる。

 しかし、せっかくChromebookとGoogle Workspaceでクラウドシフトしたのに、オンプレミスのNASを採用するのは、時代に逆行しているのではないかと疑問を抱くかもしれない。こうした疑問を解消するサービスがQNAPが提供している「myQNAPcloud」だ。myQNAPcloudは、QNAP製品を購入したユーザーがインターネット経由でデバイスにアクセスするためのリモートアクセスソリューションだ。

 同じネットワークに接続されているネットワークデバイスの探索が可能なネットワーキング技術「UPnP」(Universal Plug and Play)機能をサポートするルーターを利用していれば、myQNAPcloudに登録したQNAP IDを使って、自動でルーターへのリモートアクセスを構成できる。例えるならば、Boxのようなクラウドストレージをプライベートに構成できるような利便性が得られる。もちろん、ルーターを介したVPNでイントラネットに接続して、QNAP NASを使う方法も可能だ。

クラウドシフトの課題を解決

 コロナ禍を経て急速に進んだ国内企業のクラウドシフトだが、Google WorkspaceやMicrosoft 365などのクラウドサービスには、オンプレミスとは異なる課題がある。数ある課題の中でもシステム管理者が頭を痛めているのが、クラウドストレージ利用のコストだ。先に触れているように、Google Workspaceは、契約するエディションによってユーザーが利用できる最大ストレージ容量に違いがある。ライセンス料によるストレージ容量の違いは、Microsoft 365も同様だ。また、ユーザーごとにクラウドストレージが割り当てられているので、これまで社内のファイルサーバーで利用してきたような「プロジェクトや業務に合わせて共有フォルダーを用意する」といった運用が難しくなる。そのため、Google Workspaceを利用していても、Boxのような異なるクラウドストレージを契約する例も多い。

 こうした用途に、QNAP NASとmyQNAPcloudは対応できる。さらに、オンプレミスや契約先のデータセンターなどにQNAP NASを導入すると、クラウドストレージ利用のコスト節約にもつながる。例えば、Google Workspaceで退職した社員のメールやクラウドストレージのデータを保管しておくためには、アーカイブ ユーザー ライセンスというライセンスを利用する。コンプライアンス対策や法的な理由から、退職者のデータを5年間は保存する企業も多い。データ保管を全てクラウドサービスだけで対応しようとすると、安価なライセンスでも長期間にわたるので、かなりのコスト負担になる。そこで、QNAP NASによるローカルでのアーカイブ対策が効果を発揮する。

 かつて、クラウドサービスが登場した当初は、オンプレミスのデータをBCP(事業継続計画)対策としてクラウドストレージにアップロードする事例が多かった。しかし、クラウドシフトが進んだ現在は、逆転の発想でローカルのNASというコストパフォーマンスに優れたストレージ運用が効果を発揮する。もちろん、BCPを重視するのであれば、QNAP NASを堅牢なデータセンターで運用してもいいだろう。いずれにしても、ChromebookとGoogle Workspaceでクラウドストレージを賢く安く利用する上で、QNAP NASとmyQNAPcloudは、魅力的な商材となるだろう。