Webカメラの新しいビジネスを切り開く

Insta360
Insta360 Link

グローバルインフォメーションが「ウェブカメラ市場:規模、シェア、動向分析レポート:技術別、製品別、流通チャネル別、最終用途別、地域別予測(2022年〜2030年)」を発表している。同調査によると、セキュリティや監視に関する懸念の高まり、商業分野での仮想会議の重視、継続的な製品革新でWebカメラ市場が成長しているという。これを踏まえ、世界のWebカメラの市場規模は、2022〜2030年の予測期間中に7.3%の年平均成長率で拡大し、2030年までに139億3,000万米ドルに達する予測だ。セキュリティ用途として需要が高まる中、Web会議やライブイベントなどでも活用機会の多いWebカメラ市場。そこで、AI駆動の小型4K Webカメラ「Insta360 Link」がもたらす新たなビジネスチャンスについて、実機を使いながら探っていこう。
text by 森村恵一

Webカメラの常識を超越する革新的なテクノロジー

高精細で暗所でも使える!

 Insta360 Linkは、コンシューマーからプロ向けまで幅広いアクションカメラやWebカメラを開発してきたInsta360製のAI機能搭載の4K Webカメラになる。テレワークやライブ配信に最適な4K UHD 30fpsの高精細撮影に対応している。クラス最高の1/2インチセンサーを搭載し、優れたダイナミックレンジと細部の再現性により、暗所撮影にも優れている。また、同社が培ってきたジンバル技術を搭載し、ぶれない安定した画像やAIによる被写体の追跡など、高度な撮影も可能にしている。そのほかにも、オンラインでのコミュニケーションを促進するために、指定したホワイトボードの領域を強調し、学生や会議の参加者がより明確に確認できる「ホワイトボードモード」を備える。自動追跡や、ホワイトボードへ切り替えるAI機能については、ユニークかつ手軽な操作を採用しているので、後ほど詳述する。

 また、ポートレートモードを使うと、トリミングされない9:16比率の画面構成で、スマートフォンなどでの視聴に適したサイズでも表示可能だ。それでは、詳しい仕様を見ていこう。

4K高画質のコンパクトなWebカメラ

コンパクトなInsta360 Linkは端子を背面に備えている。挟んでいる底面部分も、使わないときは折りたためる。

邪魔にならないサイズ感

 本体は106gの手のひらサイズでコンパクトな設計になっているので、視界を遮ったり机の周りが煩雑化したりすることがない。PCモニターの上に取り付けられるクリップの底面に、三脚に取り付けられる1/4インチのねじ穴があるのでスタンドの取り付けにも対応している。 Insta360 Link本体はノートPCなどとUSB Type-Cケーブルで接続する。

 専用アプリ「Insta360 Link Controller」は、同社のWebサイトからダウンロードしてインストールする。動作環境は、Windows OSとmacOSになる。

ジェスチャー×AI性能の利便性

プライバシーモードは自動でカメラを下向きに下せる。これにより、カメラを起動したままによる情報漏えいトラブルを防げる。

周辺機器を使わず操作

 Insta360 Link Controllerをインストールして本体をUSBケーブルで接続すると、PC上で映像を映せるようになる。 4K画質の本製品は、ほとんどカメラ任せでも十分きれいな映像を撮影できる。一方で、映像に明るさや暗さ、色調整などの演出を加えたいときは、柔軟に設定可能だ。そして、詳細設定ではジェスチャーやAIズームなどをオン/オフできる。 ジェスチャーには、手のひらを提示すると起動する自動追跡、人差し指を上下に移動させると起動する拡大/縮小、ピースサインを提示して起動するホワイトボードモードへの切り替えを指定する手のサインがある。実際に拡大/縮小を行ってみると、人物と手のジェスチャーを捉えて拡大/縮小し、半身/全身を自動で切り替えられた。

 手元にあるノートPCにInsta360 Linkを取り付けて使ってみると、その画質の綺麗さを実感するが、何よりもジンバルによるブレない映像と、被写体を広範囲に自動追跡してくれるAI性能に驚かされる。ノートPCに付属しているWebカメラでは、こうした映像は期待できない。しかし、Insta360 Linkならば、まるで撮影専用のカメラで写しているように、滑らかに人物に追従し、きれいでブレない映像を配信できる。ビジネスでの利用となると、Web会議が中心になるが、ホワイトボードモードなどを活用すれば、オンラインセミナーや発表会などにも効果的な動画を配信できるようになる。さらに、インフルエンサーやオンラインECサイトなどでの商品紹介などでは、動画撮影用のカメラで写しているような、鮮明で躍動感のある映像のパフォーマンスを披露できる。同社のWebサイトでも、ダンスのような動きを配信したり、視聴者に語りかけるプレゼン動画のような様子を映し出したりする例が紹介されている。

 さらに実用の面として、Insta360 Linkは豊富なWeb会議アプリケーションに対応する。Web会議サービスとしては有名な「Microsoft Teams」「Skype」「Zoom」「Google Meet」に加え、米BlueJeans Networkの「BlueJeans」や中国のテンセント・ホールディングスの「Tencent Meeting」などで使用可能だ。

 ちなみに、Insta360 Linkは「スタンバイモード」で10秒すると、自動的にカメラのレンズが下向きになる「プライバシーモード」も備えている。配慮の行き届いた設計もポイントだ。

 ノートPCに付属するWebカメラの概念を覆すInsta360 Linkは、PCを活用した動画配信にオンラインセミナーにと、今後のWeb会議や配信への活用を促進する。高クオリティな画質最適化機能と効果的な映像表現によって、新たなビジネスチャンスをもたらす魅力的な1台だ。