近年、多くの企業では少子高齢化を背景に人手不足が深刻化している。生産年齢人口の減少は採用難を招き、企業活動に大きな影響を及ぼしている。さらに、転職が一般化したことも企業の人手不足を加速させる要因の一つとして挙げられる。終身雇用慣行の部分的な崩壊や組織への帰属意識の低下を背景に、自発的な転職は増加傾向にある。こうした状況を踏まえ、現在働いている従業員の定着率を高め、離職を防ぐためのヒントを提示する書籍を紹介する。
人事労務担当者のための
リテンション・マネジメント

2,860円(税込)
日本法令
人手不足の影響下で採用難が続き、その根本的な解決が難しい今、注目を集めているのが、現在働いている従業員に長く定着し、継続的に活躍してもらう「リテンション」と、それを高めるための組織的な取り組みである「リテンション・マネジメント」だ。本書は、どのような施策を導入すればリテンションの向上につながるのかについて、具体的な施策を示しながら、実際に成果を上げた組織のケースを交えて解説している。さらに、転勤制度の見直しや退職面談、退職者を組織化し企業の経営資源とする「アルムナイ制度」、副業・兼業の容認、テレワークなど近年注目される施策や手法についても幅広く網羅している。リテンションが重視される背景や現在の状況についても触れており、リテンションを初めて知る人にとっても理解しやすいのだ。
「人事」のための心理学

2,200円(税込)
日本実業出版社
人事の仕事は制度やマニュアルを整えても思い通りに進まないことが多い。それは、人がどう感じ、どう受け取り、どう動くかという、見えにくい要素に大きく左右されるからだ。故に、心理学の視点は人事業務において有用だが、そのつながりがこれまで十分に言語化されてきたとは言い難い。そうした背景を踏まえて本書は執筆されている。本書の特長は、心理カウンセリングを専門とする著者が、現場から得た実践知を、臨床心理学の専門性と掛け合わせている点にある。心理学の理論や専門用語を網羅的に解説するのではなく、日々の意思決定や制度設計、社員との対話において判断の軸となる考え方を提示することに主眼が置かれている。専門知識が不要なため、どこから手を付けてよいか分からない人事担当者にとって、実務と地続きで読める一冊だ。
中小企業のための
人が辞めずに育つ人事制度

1,760円(税込)
幻冬舎
中小企業において人材が定着しないという課題に対し、著者は、社員から「ここで働きたい」「成長したい」と思われる会社になる必要があると述べている。そのために必要なのが「人事制度」の構築だ。著者は人事制度を、「縁あって共に働く社員たちが、心豊かに働ける仕組み」と定義している。大企業が取り入れているような単なる公平な評価や賃金決定のルールではなく、社員一人ひとりが互いのつながりや自身の成長を実感し、エンゲージメントを高めていくための仕組みこそが、中小企業にふさわしい人事制度であると強調する。本書では、こうした人事制度を構築するための考え方と方法、そして人事制度構築後にスムーズに運用するための具体的な進め方やノウハウを、約20年間にわたる著者の経験を基に紹介している。

