1990年代以降、日本の半導体産業は国際競争力を急速に低下させてきた。しかし近年、政府は同産業の再興に向けた政策支援を本格化させている。2024年11月にまとめられた経済対策では、「AI・半導体産業基盤強化フレーム」が策定され、2030年度までに10兆円以上の公的支援を実施する方針が打ち出された。加えて、台湾積体電路製造(TSMC)を熊本県に誘致し、約1兆円規模の補助金を提供するなど、具体的な施策も動き始めている。こうした背景を踏まえ、半導体をテーマとした書籍を紹介する。

新・半導体産業のすべて

菊地正典
2,420円(税込)
ダイヤモンド社

 本書は、半導体産業の全体像を体系的に理解できる一冊だ。半導体産業の全体像を起点に、製造工程別に整理された関連業界、各業界の業務内容と代表的なメーカーを解説しているほか、半導体の基本や使い道、その働き、さらには半導体と半導体産業の未来まで述べている。また本書は、生成AIの登場による産業構造の激変を受け、2023年2月に発刊された前著「半導体産業のすべて」を、ほぼ全ページにわたって改稿している。新章として「半導体の先端技術の動向」「世界の半導体トップ企業38社」の解説を収録し、最新の技術潮流とグローバル企業の動きを俯瞰できる内容へと進化した。巻末には、「半導体メーカーと主要製品一覧」「半導体用語の解説」「世界と日本の半導体主要工場の新設状況」などの資料を掲載。半導体産業の全体像を把握できるだけでなく、ビジネスや投資の判断に役立つ知識を身に付けられるのだ。

60分でわかる! 半導体ビジネス 最前線

植松庸平/貴志隆博/児玉英治/三津江敏之/望月雅矢
1,540円(税込)
技術評論社

 AIやデータセンター需要の拡大を背景に、日本の半導体業界は再び注目を集めている。政府による「半導体・デジタル産業戦略」も継続される見通しで、半導体はビジネスパーソンや投資家にとって見逃せない分野となっている。本書は、こうした状況を踏まえ、半導体産業の全体像をビジネスの視点から俯瞰できる一冊だ。1テーマを見開き2ページで整理する構成に加え、図版を多用することで、複雑な産業構造も直感的に理解しやすい。Part6・7では半導体の歴史を振り返りながら、日本の半導体産業の未来を考察。半導体ビジネスを短時間で把握したい読者に適している。

いちばんわかる 半導体

大山 聡 監修
1,650円(税込)
新星出版社

 本書は学生から社会人まで、半導体に関心を持つ幅広い層に向けた入門書だ。イラストや図表を多く取り入れ、難しくなりがちな内容を噛み砕いて説明しているため、専門知識がなくても半導体の基本や製造工程の流れを理解しやすい。技術的な解説に加えて、半導体産業の仕組みや、地政学的な動きにも触れている点が特長だ。技術の入口としてだけでなく、業界全体を知るための一冊としても役に立つ。巻末には、次に読むべき関連書籍を4冊紹介しており、学びを深めるための導線も用意されている。半導体を初めて学ぶ人におすすめだ。