Automated Dialogue System
人手不足や人件費の高騰が深刻化する中、省人化や業務効率化の手段となるシステムへのニーズが高まっている。この状況を受けて、デロイト トーマツ ミック経済研究所は、自動対話システム市場の動向を調査した。
自動対話システムとは、テキストや音声を用いた対話によって、顧客対応や社内問い合わせなどの応対業務を自動化・効率化するクラウドサービスだ。本調査では、SaaSをはじめとしたパブリッククラウドのサービスを対象としている。またデロイト トーマツ ミック経済研究所では自動対話システムを、テキスト入出力を主とするテキスト型、音声入出力を主とするボイス型に分類している。
2024年度の自動対話システム市場規模は、前年比21.3%増の232.4億円となった。このうち、テキスト型が78.6%、ボイス型が21.4%を占めている。同市場は、年平均成長率21.3%増で成長を続け、2030年度の市場規模が739億円になるとデロイト トーマツ ミック経済研究所は予想している。
テキスト型市場では、シナリオ型や機械学習型のチャットボットといった従来型の製品群に代わり、生成AIやRAGを活用した製品群が市場全体の成長をけん引し始めている。これらの製品は、ユーザーの表現の揺らぎや曖昧な質問にも柔軟に対応できる。これにより、従来型と比べてはるかに自然な対話を実現しているのだ。
人手不足が恒常的な課題となる中で、問い合わせ対応にとどまらず、業務プロセス全体を自律的に処理する高度な自動化のニーズが今後は高まると予想される。チャットボットの役割は、単なる応答ツールから業務を遂行するAIエージェントへと拡張していくのだ。司令塔となるAIが、対話生成、データ検索、分析、外部システム連携といった各機能に特化した複数の専門AIに指示を出し、それらを協調動作させるAIオーケストレーションが今後の主流となっていく。AIオーケストレーションでは、工程ごとに役割分担をした上で司令塔AIが全体を統括するため、従来は自動化が難しかった複雑な業務を高い再現性で処理できる。AIが処理可能な領域の拡大に伴い、利用用途が広がることで、同市場は約2.7倍の拡大が見込まれる。

出所:デロイト トーマツ ミック経済研究所
「自動対話システム市場の現状と展望2026年版」(2026年3月6日)
https://mic-r.co.jp/mr/03720/
コンタクトセンターへの導入が加速
コンタクトセンター業務において、オペレーターの採用難や定着率低下、人件費の上昇などが深刻な課題となっている。そこで、用件分岐や有人転送を行う一次受付など、低リスクで効果が出やすい用途からボイス型の導入が進み始めている。2030年度までは、コンタクトセンター業務を担うオペレーターの確保がさらに困難になる見通しだ。こうした背景から、応対業務の自動化を支援するボイス型の新規導入が拡大するとみられる。
一方で既導入企業では、自動化範囲の拡張が行われることで、CRM・契約管理・予約・配送・請求といった複数のシステム連携を前提とした高度化が進む見込みである。また、「Speech-to-Speech」(STS)によるリアルタイム音声処理の採用が進展している。STSによる対話の自然性と応答速度の向上が、より長時間の対話や後段業務への適用を促す要因となり、ボイス型の用途拡大につながるとみられる。

