子供たちが生成AIと新商品を創出するワークショップ

NTT DXパートナーと森永製菓は2025年7月29日、夏休みの子供たちを対象にしたワークショップ「生成AIを使っておやつの時間を豊かにする、新規事業創出に挑戦しよう!」を開催した。生成AIを活用した子供たちの夏休みの学びの姿をレポートしていく。

今までにないおかしを生成AIと共に創る
子供たちの独創性にあふれたワークショップ

2025年7月29日、NTT DXパートナーは森永製菓と共に「生成AIを使っておやつの時間を豊かにする、新規事業創出に挑戦しよう!」というワークショップを開催した。本ワークショップは森ビルが毎年夏に開催している「ヒルズ・ワークショップ フォー・キッズ」の一環として、虎ノ門ヒルズにあるインキュベーション施設「ARCH Toranomon Hills」のマグネットルームで実施された。夏休みの学びの中で生成AIを活用する子供たちの姿をレポートする。

“欲しい”から商品を生み出す
生成AIを活用したワークショップ

架空商品モールについて、ワークショップ参加の子供たちに説明を行ったNTT DXパートナー プロデューサーの朴 在文氏。

 NTT東日本グループのNTT DXパートナーは、2024年12月から生成AIがチャットボット形式で新商品アイデアを生み出す「架空商品モール」を提供している。この架空商品モールは、「AIがメーカーの技術力と生活者のニーズを組み合わせて独自の商品アイデア(架空商品)を提案する機能」と、「どの架空商品にどれだけの賛同が得られるかを可視化する機能」を有している。NTT DXパートナーがメーカーの事業支援を進める中で、「アイデア創出に時間がかかる」など新商品を開発する上で困難を感じていることから生まれたサービスだ。架空商品モールで生み出されたアイデアは検証期間を含めた約9カ月間で、約1,500件に上るという。

 今回のワークショップは、この架空商品モールのさらなる活用機会創出に向けたイベントだ。NTT DXパートナーと森永製菓が連携して実施した今回のワークショップでは、「みんなと一緒に楽しめるお菓子の新商品を生み出せ」をテーマに、食物アレルギーへの理解を深めながら生成AIを活用し、架空商品モールで新しいおやつ(新規事業)を創る体験を行った。

 ワークショップでは始めに、今回のワークショップが実施されたARCH Toranomon Hillsという場所と、その運営主体である森ビルについてが紹介された。続けてNTT DXパートナー プロデューサーの朴 在文氏から、架空商品モールについての説明が行われた。朴氏は企業が抱える新商品アイデアを生み出すことへの困難さを紹介しつつ、その課題を解決するツールとして架空商品モールがあることを解説。

「誰もが架空商品を作れる“商品開発の民主化”プラットフォームとして、『あなたの“欲しい”から新商品を作りましょう』がコンセプトです。本日のワークショップでは『みんなと一緒に楽しめるお菓子の新商品を生み出せ!』をお題に、この架空商品モールを活用しながら、皆さんで積極的に発言をして良いアイデアを出していきましょう」と語りかけた。

森永製菓 中部支店 営業3部(新規事業開発部兼務) 時田龍弥氏から「食物アレルギーについて」の説明がなされ、その知識を基に商品開発に取り組む姿も見られた。

アレルギーの原理を学び
新商品アイデアに生かす

 続いて、森永製菓 中部支店 営業3部(新規事業開発部兼務) 時田龍弥氏から「今日のワークショップでは森永製菓が作っているようなハイチュウやラムネ、チョコボールのようないろんな商品を皆さんに考えてほしいと思います。その前に、簡単に食物アレルギーについて知っておいてほしいことを説明させてください」と「食物アレルギーについて」の勉強会が行われた。

 時田氏の説明ではアレルギーが起こるメカニズムや食品パッケージで表示しなければならないアレルゲンの種類などを解説し、実際に参加した子供たちの手元に配られたお菓子のパッケージと見比べるなどの学びを行った。森永製菓は「森永アレルギー“だから”がないLabo」という、食物アレルギーについて考えるプロジェクトを発足しており、より多くの人が「おいしい」を楽しめるようにアレルギー物質を減らした商品や、アレルギーにまつわる情報発信やイベント、森永化学研究所と連動した研究などを行っている。今回のワークショップはこの取り組みの情報発信に当たる。「森永製菓ではこのプロジェクトを通じて、みんなで楽しくお菓子が食べられる世界を目指しています。今日は皆さんのアイデアを楽しみにしていますので、頑張ってください」と締めくくった。

 ワークショップでは4〜6名の複数グループに分かれたグループワークとペアワークが実施された。まずは参加した子供たちによる「日常的な困りごとやあったらいいな」といった「あるある」に関するブレインストーミングを行い、架空商品モールを活用した商品を作成、作成した架空商品の中から発表するアイデアを決め、グループで発表を行った。

 グループでは子供たちが積極的に互いに話し合いながら、意見を共有する姿が見られた。また、参加者の中には「Microsoft Copilot」などの生成AIを日常の中で活用している子供もおり、架空商品モールによるアイデア出しもスムーズに行っていた。架空商品モールにアクセスする端末は子供たちの家庭で所有しているスマートフォンやタブレットが利用されていた。

1. グループワークのブレインストーミングでは、付箋を使ってアイデア出しを行い、グループで共有した。
2.3. 架空商品モールの生成AIと対話して新しい商品アイデアを生み出すことを自然に行う子供たちの姿が見られた。
4. 発表する商品アイデアが決まったら模造紙にそれらの内容を書き出し、全員の前で発表が行われた。

ワークショップをベースにした
AI自由研究プロジェクトを提供

 発表では「アレルギーの心配なくいつでもサクサクで食べられる『みんなの笑顔Happy Senbei(ハッピーせんべい)!!』」や、「ゴミ箱が見つからない悩みを解決するアプリ『スマートトラッシュファインダー』」、「さまざまな味が含まれていてアレルゲンがないグミ『シュガースパーク』」など、アレルギーの悩みに着目した商品や、社会課題の解決を目指した商品のアイデアなどが発表された。発表した商品は実際に現地で投票が行われ、シュガースパークが全体の得票数の31%を獲得し、1位に選ばれた。

 今回のワークショップで活用された生成AIである架空商品モールは現在約15社で実際に活用されており、企業ごとに適した形にカスタマイズされている。今回は子供たちが使うため、よりフレンドリーに応答するように設定されているという。

 本ワークショップ終了後、NTT DXパートナーの朴氏にインタビューを行ったところ「今回のワークショップが子供たちに非常に楽しんでもらえて、やって良かったなと率直に思います。今回は子供たち向けの自由研究という位置付けでワークショップを行いましたので、最終的なアウトプットは模造紙に書いて発表してもらいました」と工夫を語る。

 この架空商品モールを活用したAI自由研究プロジェクトも実施される。7月29日〜8月31日の夏休み期間に、オンライン提供版「こんなお菓子あったらいいなプロジェクト」(https://mk.virtual-product-mall.com/kids)を通じて小学生が新しい商品アイデアを考える企画だ。子供たちによる「いつも食べているお菓子のここがちょっと不便」といった課題を解決する商品アイデアをAIと一緒に考えるプロジェクトであり、当該ページでAIについて学んだあと、架空商品モールの生成AIを使って新商品アイデアの創出を図る。新商品のアイデアはPDFでダウンロードして夏休みの自由研究として活用できるほか、投稿されたアイデアの中から大賞1名と入賞4名が9月初秋に発表される予定だ。食×生成AIの組み合わせで取り組む夏の自由研究は、子供たちの創造性を大きく羽ばたかせてくれそうだ。