iFLYTEK JAPAN AI SOLUTIONS
iFLYTEK AINOTE Air2

クラウドファンディングサイト「Makuake」にて、目標金額30万円に対して1億2,955万7,650円を記録したのが、8.2インチのAIスマートノート「iFLYTEK AINOTE Air2」だ。電子ペーパーの「E-ink モノクロスクリーン」を採用しており、録音、文字起こし、ChatGPTを利用した議事録作成など、多様な機能を搭載する。ビジネスシーンにおける記録の体験を根本的に刷新する新次元のツールとして、iFLYTEK AINOTE Air2はどのような価値をもたらしてくれるのだろうか。
text by 森村恵一

ユーザーの課題解決に向け開発

 iFLYTEK JAPAN AI SOLUTIONSの「iFLYTEK AINOTE Air2」(以下、AINOTE Air2)は、日本初上陸となるAIスマートノートだ。OSには「Android 11」を採用している。開発のコンセプトについて、iFLYTEK JAPAN AI SOLUTIONS GTM 陳 東氏は「ビジネスシーンにおいてユーザーの課題を分析し、それを解決していく目的で開発を進めました」と話す。

 では、ユーザーの課題とは具体的に何だろうか。「開発に当たり、ユーザーが抱える大きな課題を三つ発見しました。まず一つ目は、記録の抜け漏れです。会議に集中すると、聞くことや話すことに意識が向いてしまい、記録がおろそかになります。逆に記録に集中すると、会議への参加がおろそかになってしまいます。二つ目は情報の検索です。会議を録音しても、音声が聞きとれなかったり、録音時間が膨大だったりして、後から検索したい事柄が見つけ出せないことがあります。三つ目は情報管理です。紙や電子を問わずドキュメントが増えると、管理していくことが難しくなります。これら三つの課題を解決するために開発したのが、AINOTE Air2です」(陳氏)

録音・文字起こし・手書きの連動

iFLYTEK JAPAN AI SOLUTIONS
GTM
陳 東

 AINOTE Air2の「ノート」ページで録音ボタンを押すと、画面上部に録音している内容の文字起こしが表示され、画面下部に付属のスタイラスペンで書き込みが行えるメモ機能が使える。会議を録音しながらペンでメモを書き込むと、そのタイミングが録音データにも記録される。つまり、会議中に重要な議題や意見が出てきた際、AINOTE Air2に手書きで「ここ重要」や「後でチェック」などと書き込んでおくと、その手書きメモを選択するだけで録音内容を再生できるのだ。加えて、該当箇所の文字起こしも見られるため、テキストベースでも内容を確認可能だ。なお試用版ではあるが、文字起こしでは話者を識別する機能も使える。

 結果として、会議の課題だった「会議に集中しながらの記録」と「記録した内容の検索」がまとめて解決される。さらに、記録されたデータは検索も容易になるのだ。

 ちなみに、文字起こしは日本語、英語、中国語をはじめ全15言語に対応している。リアルタイムで文字起こしをする際は、Wi-Fi接続が必須だ。もしWi-Fi環境がない場所でAINOTE Air2を使う場合は、音声だけを録音しておいて、後からネットワークを介して文字起こしを行う形となる。

ChatGPTを活用して議事録を作成可能だ。会議全体の要約のほか、会議の要点をまとめてくれるため内容を振り返りやすい。

ChatGPTで議事録を作成

 AINOTE Air2では、ChatGPTを活用して、録音した会議の議事録を作成できる。会議の文字起こしを行ったメモ内で該当のボタンを押すと、会議の要約やトピックのまとめが生成されるのだ。この議事録作成機能は、ある意味でビジネス用途にAIを先取りしているといえる。AINOTE Air2での録音上限は280分のため、この時間内の会議であれば、文字起こしなどに対応可能だ。ただしChatGPT側に入力制限がある場合は、ChatGPT側の仕様に準じる。

 本体サイズは幅137×奥行き5〜6.5×高さ193mm、重量は約230gと、薄型かつ軽量な設計になっている。使用時間は、待機状態では最大108日、連続使用では最大7日に対応する。手軽に持ち運べるので、ChatGPTを利用した議事録端末として、ノートPCと共に携帯するとよいだろう。

 本体に付属するスタイラスペンは、ワコムと共同開発しているので、電磁誘導の性能もペン先の書き心地も優れている。マグネットで本体に装着が可能なので、ふとした瞬間になくしてしまう心配も少ない。

 またAINOTE Air2は、PCやスマートフォンともメモを共有できる。「Microsoft OneDrive」が利用可能なほか「Gmail」をはじめとしたメールでの共有も行えるのだ。共有時は、Webページ、Wordファイル、PDFファイルのいずれかにエクスポートができる。

 このほか、83言語に対応する手書き文字のテキスト化、手書きした単語のAI検索、英語・ドイツ語をはじめとした全10言語の翻訳、重要事項を自動作成できるスケジュール管理など、豊富なAI機能を備えている。

 今後もユーザーの意見を反映して、AINOTE Air2は進化していく。スマートフォンやタブレットよりも軽く薄く、快適な手書き入力が可能なデバイスとして、ノートPCよりカジュアルに持ち歩けるだろう。会議をはじめとしたさまざまな業務を支え、ビジネスでAIを積極的に活用できる魅力的なガジェットだ。