【テーマ】仕事の周辺機器を見直そう

仕事にも実はヘッドホンが役立つ

今回は、ヘッドホンを紹介する。あまり音楽に関心がない方にも実はヘッドホンはお薦めだ。静かな環境で仕事をしたい人にはもちろん、オンライン会議にも役立ってくれる。イヤホン派の方が多いと思うがぜひ注目してほしい。

静寂感の中で仕事ができる

 イヤホンを使っている方はとてもよく見かけるが、ヘッドホンユーザーはさほど見かけない。MMD研究所の調査によると、9割がイヤホンユーザーで、1割がヘッドホン所有となるようだ。街中で見かける割合もそんな程度だろう。

 特に仕事中には目立つヘッドホンよりもイヤホンを使うことが多い。会社ではなかなか着けにくいという印象も強いものだ。だが、ヘッドフォンにも多くのメリットがあるので紹介していこう。

 今回レビューするソニーの「WH-CH720N」は、アクティブノイズキャンセリング(ANC)に対応している。最近はイヤホンでもANC対応モデルが増えているが、静寂感はヘッドホンの方が上回っていると思う。

 そもそも、ヘッドフォンは耳の周囲を丸ごと覆うので、装着した時点でかなり静かに感じる。感覚的に静かだと思う人が多いだろう。その上で、ANCを有効にすると、とても静かになる。

 周囲がうるさい環境で、静かに仕事をしたいなら、イヤホンよりも効果を感じられると思う。

 イヤホンを使っている方の何割かは、外耳炎や耳のかゆみ、痛みに困っているだろう。僕も実は長時間装着していると外耳炎になることがある。その点、ヘッドホンは耳の穴をふさがないので、外耳炎の心配がないのがありがたい。

 ただ、夏場は耳が蒸れることがあるのが、ヘッドホンの欠点だ。とはいえ、エアコンの効いている室内なら大丈夫だろう。また、メガネを掛けている方は、ツルと干渉することで、密閉感が薄れることがあるので、その点を注意して選んでほしい。

 イヤホンは完全ワイヤレスが普通になり、5,000円程度からより取り見取りになっている。一昔前までは高価だったワイヤレスヘッドフォンも実はかなり手頃になってきており、こちらも5,000円程度から購入可能だ。なお、今回レビューするWH-CH720Nは、ソニーの中級モデルなので、税込みで2万2,000円(ソニーストア価格)だが、ANCの性能を考えると妥当だろう。

 ヘッドホンと聞くと、重くて疲れそうだ—と思うかもしれない。だが、WH-CH720Nは、192gと軽量で、ワイヤレスノイズキャンセリングヘッドホンの中でも最軽量クラスだ。さすがに高級感はないのだが、軽いのはありがたいポイントだ。

シンプルなデザインのソニー「WH-CH720N」。折りたためないのが残念だ。
ノイズキャンセリングは本体のボタンでも操作できる。

ANCの実力

 WH-CH720Nは、ソニー独自の統合プロセッサーV1を搭載することで、高いノイズキャンセリング性能を誇っている。確かに、その効果は絶大だ。アプリを使うと、ANCのオン、オフ、外音取り込みの切り替えが可能。オンとオフは一瞬変わらないように思うかもしれないが、空調やファンの音が確実に消える。音が全て消えるというよりは不快なノイズが消えるのだ。

 オフィスにあふれている不快な音がかなり軽減され、タイプ音やマウスのカチカチ音がだいぶ軽減される。周囲がうるさいけれど、静かな部屋に移動できない場合にはとても有効だ。

 自宅で仕事をする際にはさらに重宝するはずだ。テレビの音やゲームの音、会話、車の通行音などが相当軽減される。

 もちろん、出張の際に飛行機や列車で仕事をする際には、非常に有効なことは言うまでもない。飛行機の騒音はほとんど聞こえなくなる。

 その上で、外音取り込みは効果の強弱を設定可能。ノイズを抑えつつ人の声を取り込む機能も搭載している。うまく調整すると、かなり静かな環境で仕事ができるはずだ。なお、これらの機能をフル活用するには、アプリの利用がマストになる。スマホなどとペアリングしてアプリを設定して使っていこう。

 仕事に使うなら見逃せないのが「アダプティブサウンドコントロール」だ。ユーザーの行動や場所に連動して設定が自動で変わる。位置情報によく行く場所に合わせた設定が可能で、例えば、オフィスに着いたらANCを自動的にオンにできる。

 また、スマホの加速度センサーを利用して、止まっているとき、歩いているとき、乗り物に乗っているときなどでANCや外音取り込みを切り替えることもできる。乗り物ではACNをオンにして、歩いているときには外音取り込みにすると安心だ。

本格派モデルに比べるとサイズが小さく、カタログ値では約192gと軽い。写真の数値は実測値だ。
充電はUSBケーブルを利用する。1度フル充電すれば1週間ほどは使える。

オンライン会議の没入感も違う

専用のアプリを利用すると、ノイズキャンセリングの設定などが細かくできる。

 WH-CH720Nは、テレワーク向きの機能も搭載している。マイクがビームフォーミングに対応しており、口元の声を拾いやすく、それ以外の方向からの音を拾いにくいのだ。つまり、周囲がうるさくても自分の声がクリアに届けられるわけだ。

 これまでに説明したように、自分自身は静かな環境でオンライン会議に臨めるわけだが、相手にもクリアな声が届けられる仕組みだ。

 もちろん、ワイヤレスなので邪魔なケーブルがない。机の周りを動いたり、ホワイトボードを書いたりしながらのオンライン会議にも向いている。

 WH-CH720Nは、ANCがオンの状態で35時間駆動する。オフなら50時間だ。また、充電時間は約3.5時間。1度充電すれば、1週間くらいは余裕で使えるだろう。

 マルチポイント接続に対応しており、2台の機器と同時に接続できる。PCでオンライン会議中に、スマホに着信があっても急きょ電話に出られるわけだ。もちろん、映画を観ている最中の着信にも対応できる。

 また、AlexaやGoogleの音声アシスタントにも対応するので、声で時間などを確認してもいい。

 イヤホン一辺倒という方も、ぜひヘッドホンの導入を検討してみてはいかがだろうか? 特に静かな環境で企画を練りたい——といったニーズにはマッチするはずだ。

マイクにこだわったヘッドホンはオンライン会議にも最適だ。軽いので長時間装着しても負担が少ない点も良い。