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デジタル教材は2025年に約2500億円市場へ――シード・プランニング調査

デジタル教材は2025年に約2500億円市場へ――シード・プランニング調査

2022年07月20日更新

2025年度のデジタル教材市場は約2500億円
拡大する市場から見えるビジネスチャンスとは

Market:シード・プランニング

GIGA スクール構想によって、児童生徒の手元に端末が整備された。その次のステップとして 注目されているのが、デジタル教科書を含むデジタル教材の整備だ。 政府は 2025年度までに デジタル教科書の普及率 100%を目指しており、今後の市場拡大が見込まれている。そのデジ タル教科書に加え、授業で補助教材として利用するデジタル補助教材の市場について、シード・ プランニングが調査している。 これからのデジタル教材市場について、同社に話を聞いた。

市場は25倍に拡大

 デジタル教科書と一口に言っても、指導者用デジタル教科書と学習者用デジタル教科書ではその性質が異なる。

 指導者用デジタル教科書は、学校で使用している教科書に準拠しつつ、教員が電子黒板などの大型提示装置を用いて児童生徒への指導に用いるデジタルコンテンツを指す。教科書紙面だけでなく動画や音声コンテンツなどの提示が可能だ。指導用デジタル教科書は文部科学省の定義上補助教材にあたる。

 学習者用デジタル教科書は、紙の教科書と同一の内容がデジタル化された教材であり、教科書会社が作成するものを指す。基本的に児童生徒が所持するタブレット端末からの閲覧を前提としたコンテンツだ。“紙の教科書と同一の内容”であるため、動画や音声、アニメーションなどのコンテンツは学習者用デジタル教科書には該当しない。これらのコンテンツはデジタル教材(補助教材)に分類されている。

 これらの指導者用、学習者用のデジタル教科書の普及率について、文部科学省は「令和2年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果(概要)」(2021年3月1日現在)で公表している。それによると、指導者用デジタル教科書整備率の平均値67.4%に対し、学習者用デジタル教科書整備率の平均値は6.2%と大きく下がる。一方で、冒頭に述べた通り政府は2025年度までにデジタル教科書の普及率100%を目標として掲げており、今後一気に普及が進む見込みだ。

 シード・プランニングでは、この今後普及が進む学習者用デジタル教科書、指導者用デジタル教科書、デジタル補助教材を合わせてデジタル教材というカテゴリーで定義し、その市場規模を予測している。それによると、2025年のデジタル教材の潜在市場は約2,500億円に拡大する予測だ。2021年の本市場が100億円にも達していないことを鑑みると、その市場可能性の高さが分かるだろう。

教科書と教材をセットで使う

 シード・プランニングの社会公共事業ビジネス 担当部長 福島 章氏は「学習者用デジタル教科書は、文部科学省が実施している『学習者用デジタル教科書普及促進事業』の2021年度予算で示された数字を元に、全国の小中学校の児童生徒に全教科分のデジタル教科書が導入されたことを想定し、市場規模を算出しました。その結果、学習者用デジタル教科書のみの市場は約650億円となる見込みです」と語る。

 指導者用のデジタル教科書は、前述したように学習者用のデジタル教科書と異なり動画や音声などを含めたコンテンツだ。福島氏によると「学習者用のデジタル教科書は7,000〜8,000円程度ですが、指導者用デジタル教科書は2万2,000円程度の価格帯です」とその価格差を指摘する。こちらも小中学校に勤める教員数と教科を掛け合わせ、合計で400億円市場となる予測だ。学習者用デジタル教科書と指導者用デジタル教科書を合わせると、約1,050億円市場となる。

 デジタル補助教材は、文部科学省の定義上はデジタル教材に分類されるコンテンツだ。本調査におけるデジタル教材市場の中では最も市場規模が大きく1,450億円となる予測だ。この背景の一つに、学習者用デジタル教科書の定義がある。現在の学習者用のデジタル教科書は紙の教科書をそのままデジタル化したもののみを指しており、動画や音声、アニメーションといったコンテンツは含まれない。これらのコンテンツはデジタル補助教材と定義されるため、その分のコストが本市場に含まれるようだ。このような動画や音声、アニメーションは学習者用デジタル教科書のコンテンツをより深く理解することに役立つため、デジタル教科書とセットで導入されるケースが増えるだろう。

「将来的には、この動画や音声、アニメーションといったデジタル補助教材のコンテンツも、学習者用デジタル教科書に吸収される可能性はあります。しかし教科書検定のスケジュール上、2024年度から使用する教科書はすでに検定が進められているため、これらのコンテンツをデジタル教科書と認めるかどうかの議論は2027年度に向けて進められるでしょう」と福島氏。2024年度の教科書改訂に合わせてデジタル教科書の本格導入がスタートする見込みだが、そこで導入されるデジタル教科書には、動画や音声コンテンツが含まれないのだ。

買い切り型orサブスク型?

 デジタル補助教材の中には、ドリルやワークシートなどをデジタル化したコンテンツも含まれる。これらのコンテンツは、従来の紙のドリル教材と比較して価格帯が高くなりがちだ。一方で、紙のドリル教材と比較して、理解度に応じた出題を行ったり、類題を出題したりと学習者に最適化された学びが可能になるメリットがある。「デジタル補助教材は、これまでの教材と同様に保護者に購入費を負担してもらうことになるため、あまりに高額な教材にはならないでしょう。しかしさまざまな家庭がある中で、保護者の負担を少なくすることを考えると、買い切り型のデジタル補助教材よりも、サブスクリプション型の補助教材のほうがニーズは高まりそうです」と福島氏は指摘する。文部科学省が示すGIGAスクール構想もクラウドサービスの利用を前提とした整備を進めているため、サブスクリプション契約によるクラウド型デジタル教材の需要が、今後伸びていきそうだ。

 一方で福島氏は、デジタル補助教材が多様化することによるハードウェア需要についても口にした。「子供たちの学びを深めるため、さまざまな技術を活用した新しいデジタル補助教材が登場する一方で、GIGAスクール構想で導入した端末がそれに常に対応していけるのか、といった懸念はあります。教育委員会などの予算にもよるでしょうが、技術革新に対応して端末を買い換えるような対応も必要になるかもしれませんね」

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