スピーカーからUSBハブまで1台n役の優れモノ
法人向けドッキングステーション

ロジクール「Logi Dock」

「Logi Dock」は、法人向けのドッキングステーションだ。遠隔地にいる相手とのコラボレーションに欠かせないWeb会議ツールの利活用を便利かつ快適にする。Logi Dockは、アフターコロナを見据えた新しい時代の働き方にマッチした在宅でのスムーズなコミュニケーションを実現する。
text by 森村恵一

モバイルPCのUSB集約問題

 コロナ禍で在宅勤務が増えPC需要が急増した。多くのユーザーはアフターコロナも見据えて高性能かつモバイル性能に優れたノートPCを選んでいる。近年発売されているモバイルPCの多くは、大きなディスプレイと長時間のバッテリー性能を備えつつ、薄型で軽量なモデルになっている。持ち運びやすさとしては100点満点の性能を実現している。しかし、携行性向上のための仕様変更によってほかの課題が生じるケースもある。例えば、USB端子の少なさがある。軽量かつ薄型のモバイルPCの多くは、これまで用途ごとに装備してきたインターフェースにUSB Type-Cを採用し、電源やマウス、ストレージ、外部モニター、プリンターに至るまで、あらゆるデバイスの接続を一つ、多くても三つほどのUSB Type-Cに集約させている。側面はスッキリしたデザインになり、本体の薄さにも貢献している一方で、周辺機器の利用に際してはUSBハブの利用は必須となった。もちろん、Bluetoothを活用すれば、USBハブを持ち歩かなくても、マウスやキーボードなどは利用できる。

 しかし、USB Type-C一つに集約したモバイルPCを充電しながら、自宅でモニターと接続するようなシーンでは、使えるモニターが限定される。例えばすでに自宅で活用しているモニターがHDMI端子だけ備えている場合、ハブやHDMI変換ケーブルなどを別途購入する手間が生じるのだ。在宅勤務でモバイルPCを利用するならば、充電と外部モニターの同時利用は実現したいところだ。そうした課題に応えてくれて、心地よいサウンドを実現するスピーカー一体型ドッキングステーションが「Logi Dock」なのだ。

 Logi Dockは、自宅をハイブリッドワークスペースに進化させる最新ガジェットだ。その魅力は、優れた音質と多彩な接続性能にある。マイクとスピーカーフォンを一体化させており、最大で5台のUSB周辺機器と2台の外部モニターを接続できる。もちろん、接続と同時にノートPCの充電も可能。USBハブ機能が1台に集約されているので、モバイルPCからLogi Dockまでの配線はすっきりする。ノイズキャンセリング機能を備えた六つのマイクと、55mmのネオジウムオーディオドライバーが二つ、低音を強化するパッシブラジエーターを二つ搭載したことで、とてもクリアで上質な音声によるWeb会議が行える。Logi Dockは、Bluetoothスピーカーとしても利用できるので、Web会議がないときは音楽鑑賞にも活用できる。

本体天面には五つのボタンが配置されている。中央のボタンをタッチすると素早くWeb会議を始められる。また、小さく開けられた穴には、六つのノイズキャンセリングマイクが埋め込まれている。
本体背面には、USB Type-A×2、USB Type-C×2、HDMIとDisplay-Port、Bluetoothペアリングボタン、ケンジントンロックを装備している。PCとの接続に使用するUSB Type-Cはパープルに、HDMIとDisplay-Portはホワイトに色付けされ分かりやすいように区別されている。

複数台のLogi Dockを一元管理

 Logi Dockは、多機能なスピーカー付きUSBハブとして利用するだけでも便利だが、無償アプリ「Logi Tune」を利用すると、さらに利便性の高いWeb会議コントローラーとして活用できる。Logi Tuneは、モバイルPCからLogi Dockをコントロールするアプリで、カレンダーとLogi Dockを同期させたり、サウンドやモニターの出力などをサポートしたりする。例えば、Logi TuneとMicrosoft 365やGoogleカレンダーを同期させられる。予定された時間にアプリの通知が表示されたら、本体中央のボタンを押すだけで素早くWeb会議に参加できるようになる。

 Logi Dockをテレワークで利用するメリットは、Web会議が快適になるだけではない。ロジクールの提供する管理ソリューション「Logi Sync」を活用すると、自宅で従業員が1人で使う場合も、オフィスや会議室などに設置して複数の従業員が使う場合も、Logi DockなどのWeb会議デバイスをリモートで管理できるようになる。Logi Dockが、コンシューマー向けの製品ではなく、法人向けとなっているゆえんも、このLogi Syncによる優れた管理機能にある。Logi SyncによってIT管理者は、社員が自宅やオフィスなどそれぞれの場所で利用している複数台のLogi Dockのファームウェア更新、特定機能の有効化・無効化、トラブルシューティングなどをリモートで処理でき、一元管理を実現する。Logi Syncでは、現場での作業負担を最小限に抑えながら、企業規模のビデオ会議システムの導入から運用まで容易に行える。

 Logi Dockは、購入後もファームウェアのアップデートによって性能向上が期待できる。例えば、Web会議の音質を左右するデジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)などは、今後も更新されていく。ユーザーのフィードバックやロジクール独自の検証を経て、より聞き取りやすくクリアな声が届くように、継続的にDSPがチューンアップされていくという。もちろん、Logi TuneやLogi Syncなどのアプリも更新されていく予定だ。

 アフターコロナを見据えた出社と在宅ワークというハイブリッドな働き方を考えたときに、自宅でもオフィスと変わらない快適なWeb会議環境は必須となる。また、フリーアドレスが進むオフィスにおいても、Web会議用のブースや会議室などにLogi Dockがあると、コミュニケーションの円滑さは向上する。特に、今後も増えるであろうモバイルPCユーザーにとって、Logi Dockのような多機能な中継ステーションは、スピーカーやマイクなど複数のデバイスと接続するためにハブで拡張したり、Web会議デバイスの更新管理をしたりといった作業を1台でカバーできる便利なグッズになるはずだ。