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"真の国際人"育成を目指す奈良県立国際高等学校のBYOD iPad活用

2021年10月26日更新

国際社会に貢献する”真の国際人”育成を目指し
1人1台のiPad 環境で主体的な学びを実現する

CASE:奈良県立国際高等学校

奈良県立国際高等学校(以下、国際高校)は、奈良市二名町にある県立高等学校だ。2020年4月1日に開校した本校は「世界とつながる高校」を目指し、学校設定教科として「国際教養」を設置している。地球規模の課題について探究活動するグローバル探究や、五つの言語や文化に触れて世界の言語を学ぶなど、真の国際人を目指す教育に取り組んでいる。そのグローバル教育のインフラとして採用しているのが、生徒1人につき1台のタブレット環境だ。

生徒の自主性に任せた端末運用

 国際高校では、開校時から生徒1人につき1台iPadを活用した学びを進めている。iPadはBYODスタイルで運用しており、家庭負担で端末を購入し授業で利用する。国際高校では第7世代iPadのWi-Fiモデル(32GB)を推奨品とするほか、10.2インチ以上のiPad、iPad Air、iPad Proなどの規定を満たしている端末は、BYODタブレットとしての利用を認めている。キーボードやペンの利用は学校側から指定していないものの、生徒自身が端末を使いやすい形で、それぞれアクセサリーを購入して授業で活用している。端末は個人で管理する文房具としての位置付けで運用しており、学校側によるフィルタリングやMDMによる管理などは行っていない。

 国際高校が開校された2020年4月は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う、全国一斉休校の渦中にあった。国際高校も例外ではなく、2020年4月9日の開校式および第1回入学式と4月10日の新入生オリエンテーションを終えた翌日からは、生徒たちは自宅での自主学習となった。国際高校で現代社会を教える今中和宏氏は「生徒たちはiPadを所持していましたので、オンライン授業を実施する環境自体はありました。しかし教員のほとんどが他校からの転勤により赴任しており、ICTに強い教員ばかりではなかったため、開校当初は手探りの状態で、すぐにオンライン授業をスタートすることはできませんでした。最初の1週間は生徒の自宅に課題を配送し、徐々にオンラインでの課題配信に切り替えたり、Zoomを活用したオンライン授業に取り組んだりするなど、段階的にiPadを活用したオンラインでの学びを進めていきました」と当時を振り返る。

開校当時から1人1台のiPad環境で学ぶ国際高校では、双方向型の学びが実現できているだけでなく、生徒同士が意見を交わすアクティブラーニングにも積極的にチャレンジしている。

双方向型の学びにシフト

 学校再開後の授業でも、積極的なiPad活用を進めている。国際高校の学びの軸となっているのは、授業支援クラウドサービス「スクールタクト」だ。国際高校では、スクールタクトを用いてプロジェクターから投映するスライドデータや、生徒が取り組む課題の配信などを行っている。同校で理科を教える水本祐之氏は「iPadとスクールタクトを活用することで、教師からの一方的な講義型の授業ではなく、双方向型で生徒主体の学びに移行し始めることができています。授業でプリントを配布する機会が激減したため、ペーパーレス化も進んでいますね」とその効果を語る。

 一方で今中氏は次のような課題も指摘する。「アクティブラーニングへの取り組みは、まだアイデアが絞れていない段階です。単元によって授業に組み込みやすい単元と、そうでない単元があり、試行錯誤を繰り返しています。また、ペーパーレス化が進んだと同時に、スライド資料を配付するため黒板への板書が減りました。この削減した時間をどう学びに生かしていくかが今後の課題ですね」と今中氏。また、板書を行わなくなったことによる、生徒たちの集中力や学びの効果の変化などについても、検証していく必要があると続けた。

 実際にiPadを活用した授業に対して、生徒からの反応はおおむねポジティブだ。特に評価が高かったのは、スクールタクトなどのアプリを活用した双方向型の授業だ。水本氏は「スクールタクトによって、家庭学習の学習履歴が把握できるようになったのは面白いポイントですね。課題を提出した時間も把握できるので、それぞれの学習時間や生活スタイルなどが分かります」と話す。自主学習用の教材としてAI型ドリル「Qubena高校数学ⅠAⅡB by 河合塾」も採用しており、生徒たちは夏休みの課題として取り組んだ。

動画教材を生かした新しい学びへ

 新型コロナウイルスの感染拡大が収束せず、緊急事態宣言の対象区域が広がる中、奈良県教育委員会は県立高校の夏期休業期間を9月12日まで延長することを発表した。国際高校ではこの夏期休業期間の延長の中でも、生徒たちの学びを継続させるため、生徒のiPadへの課題配信や、外部講師を招いたオンライン講演などをZoomで実施するなど、延長した夏期休業期間を生かした学びにつなげている。

 今中氏はこの夏期休業期間の延長で、さらに新しいチャレンジに取り組んでいきたいと話す。「現在、授業の解説動画を作り始めています。奈良県では県下の学校で『Google Workspace for Education』を使えるよう契約しており、本校でも利用しています。このGoogle Workspace for EducationのGoogleフォームを使い、学習内容を確認する小テストを作成します。設問などは記載せず、『問1』『問2』のように回答するフォームだけを設定します。その問いの内容は解説動画の中に設定をし、生徒は動画を見なければその問題が解けないという仕組みです。形だけ問題を解くのではなく、きちんと教材を見たことが分かるような教材作りを模索していきたいですね」と今中氏。

 多様な人々との積極的なコミュニケーションを通して、グローバルな視点で物事を捉え、国際社会の平和と発展に貢献する資質・能力を育成することを使命とする国際高校。同校では今後も、ICTを学びのインフラとして活用しながら、真の国際人の育成に向けて学びに取り組んでいく。

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