在宅勤務・自宅学習でPC需要が増加

Traditional PC

 IDC Japanは、デスクトップPC、ノートブックPC、ワークステーションなどを「トラディショナルPC」として分類し、国内のトラディショナルPC市場の調査を実施した。

 本調査によると、国内トラディショナルPC市場の2020年の出荷台数は、前年比0.1%減の1,734万台となった。背景には、新型コロナウイルスの感染拡大が挙げられる。2019年の同市場は、2020年1月のWindows 7の延長サポート終了前の買い替え需要が発生したことで、過去最大規模となる1,736万台の出荷数を記録。2020年はその反動で出荷台数の減少が見込まれていた。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大を契機として在宅勤務や自宅学習にPCを利用するケースの急増や、小中学校に通う児童生徒1人に対し1台の端末整備を掲げた「GIGAスクール構想」によってコンバーチブルPC、デタッチャブルPCの特需が発生するなど、市場縮小にブレーキがかかった。

 2020年の企業別のトラディショナルPC出荷数シェアを見ると、レノボ/NEC/富士通グループがトップで41.7%、昨年から1.4ポイント拡大した。その背景にも、法人向け事業においてGIGAスクール構想に応える製品やソリューション提供を行ったことが挙げられる。それにより、反動の影響を受ける競合他社が多い中、前年比3.4%増加と好調な結果を残した。一方、日本HPは昨年から2.0ポイント下がって16.1%となった。また、デルも1.3ポイント下がり14.2%、シャープ(Dynabook)も5.8%と続き、Appleが僅差で続いて5.5%となった。日本HP以降の市場が減少している理由には、法人市場での伸び悩みや、GIGAスクール構想向けの事業が拡大していかなかったことがある。同年第4四半期の企業別の出荷数シェアは、レノボ/NEC/富士通グループがトップで44.4%、日本HPが12.4%、デルが11.8%と続いた。第4四半期も、GIGAスクール構想への対応が明暗を分ける結果となった。

GIGAスクール需要は継続

IDC Japan PC, 携帯端末&クライアントソリューション グループマネージャーの市川和子氏は同市場を次のように解説した。「コロナ禍に加えGIGAスクール構想という国の一大プロジェクトがPC市場を記録的出荷へと導いた。2021年は高校のGIGAスクールが予定されており、2020年の好調の反動が緩和されるだろう」

アプリケーションの制御や管理に需要

Security/Management/Backup

ノークリサーチは、中小規模のユーザー企業におけるセキュリティ/運用管理/バックアップ対策のニーズ状況およびバックアップに関する今後のニーズとベンダーの意向に関する調査を実施し、その調査結果を発表している。

 本調査では、エンドポイント、サーバー/ネットワーク、アプリケーションの三つの領域における守りのIT対策(セキュリティ/運用管理/バックアップ)に関する方針とニーズを調査している。この調査項目の中で、「アプリケーションをブラウザーで利用可能にする仕組み」と「利用可能なアプリケーションを制限/管理する仕組み」の需要に関する回答をユーザー企業の年商別に集計したのが以下のグラフだ。グラフを見ると、いずれも年商規模が大きくなるにつれてニーズが高まっていることが分かる。

 アプリケーションのブラウザー対応によって、ユーザー企業にどのようなメリットがあるのか。ノークリサーチは、そのメリットについて、クライアント端末とサーバーシステムで構成するC/Sシステムを利用する場合と比べた時に、データ保護や管理/運用の負担軽減などが期待できると説明している。

 昨今の攻撃手法の動向では、PCやOSに標準で備わるツールが標的型攻撃を受ける場合もあるという。これを踏まえ、PCやOSに標準で備わるツールを制限/管理する取り組みも大切だと指摘した。

ロボットでリモート接客

Service Robot

 非接触・非対面が求められるウィズコロナ時代では、自動で配膳を行うロボットなどが注目されている。デロイト トーマツ ミック経済研究所は、そうした法人向けサービスロボットの市場を調査した。国内のサービスロボット市場は、2020年度に95億円となる見込みだ。同調査では、市場拡大に関するトピックとして「非接触・非対面」「配膳ロボット用途の急加速」「移動型テレプレゼンスロボットの普及の加速」の三つを紹介している。

 非接触・非対面のロボットの中では、紫外線照射型の殺菌ロボットの販売台数が急激に伸長しているという。2020年度は病院内での隔離病棟や病室の消毒・殺菌を目的として、導入が増加した。

 また、新型コロナウイルスの感染拡大により集客に打撃を受けている飲食店や小売店舗でも非接触・非対面でサービスを提供するユーザー企業が増加している。例えば、店内の案内業務にサービスロボットを導入する例がある。飲食業界は、以前から人手不足による接客業務の人員確保が課題となっており、その解決策として配膳ロボットが注目されていた。

 それに加え、2020年度からは非接触・非対面の需要が大きく増加し、人との接触を避けられる配膳ロボットの導入が急速に広がっている。コスト負担が大きいため、導入は大手飲食店で先行するが、2021年度以降は中小規模の飲食店でも配膳ロボットの導入事例が増加すると予測している。

 Web会議ツールで会話し、遠隔でロボットを操作することでその場にいるような体験を可能にするテレプレゼンスロボットも、コロナ禍により接客や案内、遠隔面会といった用途で活用が広がっているという。自宅にいながら複数店舗の接客業務を遠隔で行えるなど、業務効率化の観点からもさらなる普及が期待されている。