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富士経済が語る次世代物流ビジネス・システム市場

富士経済が語る次世代物流ビジネス・システム市場

2021年03月10日更新

Special Feature 2
スマート物流

IoTやAI、ロボットなどの先端技術を活用し、物流を変革していく「スマート物流」。整備が求められる背景には、物流業界が抱える根深い課題があった。1社のみならず業界全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)が求められており、今後物流業界のIT需要は大きく増加する。本特集ではその物流のIT化に関わる市場調査から、その取り組みまでを紹介していく。

自動化ニーズの高まる次世代物流

物流業界が抱える人手不足と多品種な荷物への課題。それらを解消する手段として、今物流のIT化に注目が集まっている。富士経済が発表した次世代物流ビジネス・システム市場から、その動向を見ていこう。

次世代物流ビジネス・システム市場規模

162.9%伸長

次世代物流ビジネス・システム市場規模は2020年に約5,798億円となる見込み。以降、市場は右肩上がりに拡大し、2025年には約9,442億円規模となる予測。2020年から2025年の伸長率は162.9%。市場の方向性としては、省人化、効率化、BCPの観点からロボットの導入が拡大していくほか、業務のデジタル化によるプラットフォーム化が進む。ベンチャー企業をはじめとした新規参入企業も増加し、市場拡大が進む予測だ。

ソーティングロボットシステムは40倍に拡大

60億円

架台を設置し、小型のAGVを走行させて商品を搬送し、短期間に大量の仕分け作業を実現するロボットシステム。物量に合わせてAGVの台数や架台設置面積を変化させることができ、従来型の固定型ソーターにはない高い柔軟性と機動性から、アパレル業界や通販業界などで導入が進んでいる。2019年に市場が立ち上がり、2020年は前年比5.3倍となる8億円市場となる見込み。2025年には2019年比40倍の60億円市場に拡大する予測だ。

サブスク型ロボットサービス

RaaS

ピッキングの補助やソーティングを行うロボットをハードウェア以外のソフトウェアや保守、メンテナンス、コンサルティングなどをパッケージにしてサブスクリプション型で提供するサービス。2019年に市場が立ち上がり、2020年は前年比5倍となる2.5億円となる見込み。省人化や生産性の向上を目的に、低コストで手軽に導入できることから需要が増加しており、人手不足を背景とした自動化ニーズやECの利用増加を追い風に市場は拡大するとみられている。

省人化をサポートするAIサービス

AI

次世代物流システム市場の中でも大きく伸びているのがAIだ。2020年は前年比130.9%となる72億円市場を見込んでおり、2025年には2019年比17.4倍となる958億円市場となる予測。省人化を目的に導入が進んでおり、ECの利用増加に伴い、AIを活用して商品サイズなどを認識するニーズが高まっていることから、AI画像認識活用物流システムの需要が増加している。加えて2020年はコロナ禍の影響でAI再配達回避ソリューション市場が立ち上がった。

市場は堅調に拡大

富士経済
インダストリアルソリューション事業部
主任
竹内文哉 氏

 物流業界が抱える課題は大きく分けて二つある。一つ目は人手不足。厚生労働省によると、トラック運転者の欠員率は全産業と比べ高く、また有効求人倍率は全職業平均より約2倍高い状況だ。高齢化も進んでおり、ドライバー不足のますますの深刻化が懸念されている。

 二つ目はEC利用増加に伴う、多品種、多頻度、小口配送への対応だ。国土交通省の調査によれば宅配便取り扱い個数は右肩上がりで推移しており、事業者の負担が増加している。

 そうした課題を解決するため、省人化や効率化を目的とした物流の自動化ニーズが高まっている。次世代物流システムとしてロボティクス・オートメーション、ロジスティクス・ファシリティ、ラストワンマイル、IoT、AIに加え、次世代物流ビジネスとしてRaaS(Robot as a Service)や通販フルフィルメントサービスなどを対象に市場を調査・分析している富士経済は、それらを合わせた2020年の次世代物流ビジネス・システム市場の調査結果を発表している。それによると、次世代物流ビジネス・システム市場は2020年に約5,798億円を見込む。2025年には約9,442億円に成長する予測で、その伸長率は162.9%と大きい。

 2020年の次世代物流システム市場と次世代物流ビジネス市場をそれぞれ見ていくと、次世代物流システム市場は3,823億円となる見込みで、前年比101.2%とほぼ横ばいだ。また次世代物流ビジネス市場についても2020年は1,975億円を見込んでおり、前年比97.5%。微減傾向にあるもののほぼ横ばいと見てよい。しかし富士経済の竹内文哉氏は「品目ごとの市場を見ていくと伸びている分野が多くあります。次世代物流ビジネス市場は、新型コロナウイルスの影響によりトラックシェアリングなど一部の項目が落ち込んだことが微減の要因としてありますが、今後はシェアリングビジネスの海外展開も始まるとみられており、市場成長が期待されています」と語る。

AI市場が新たに立ち上がる

富士経済
インダストリアルソリューション事業部
麻生忠宏 氏

 次世代物流システム市場の内、ロボティクス・オートメーションとロジスティクス・ファシリティはともにほぼ微増。最も伸び率が高かったのは自動運転トラックやAI画像認識活用物流システムなどのAIで、前年比130.9%となる72億円を見込んでいる。「AIは新しく立ち上がった市場で、省人化を目的に導入が進んでいます。ECの利用増加に伴い多品種少量の在庫管理や、さまざまなサイズの配送物が増加しており、画像認識AIなどを利用して商品サイズなどを認識するニーズが高まっていることが背景にあります」と竹内氏。

 次世代物流システムにおいて、堅調ながら今後の市場拡大が期待されているのがIoTだ。「最近ですと、物流倉庫における在庫管理や入出庫管理を行うソフトウェアである『WMS』(Warehouse Management System)と、自律走行型の無人配送車『AGV』(Automated Guided Vehicle)を連携させ、最適な倉庫管理を実現させる事例などが出てきています。また、トラックドライバーの長時間労働や待機時間の問題などから、トラックの予約・受付や車両誘導、車両入退管理などを行う『バース管理システム』にも注目が集まっており、2024年の改正労働基準法の適用に向けて採用が進むとみられています」と富士経済の麻生忠宏氏は語る。

物流業と相性のよいサブスク

 次世代物流ビジネス市場では、RaaSの市場が大きく拡大している。対象施設内のピッキングの補助やソーティングを行うロボットと、ハードウェア以外のソフトウェアや保守・メンテナンス、コンサルティングなどをパッケージにして提供するサービスを対象にしている。省人化や生産性の向上を目的に、低コストで手軽に導入できることから需要が増加している。

 竹内氏は「RaaS市場は2019年に立ち上がりましたが、2020年には5倍に拡大し2.5億円の市場規模になっています。物流倉庫は季節によって繁忙期と閑散期の差が激しく、サブスクリプションでロボットを導入できるRaaSはそうした需要の変動に柔軟に対応できます。物流業との相性がよいことから、RaaSは倍々で市場が拡大していく予測です」と話す。

 トラック運転者不足が深刻化する中、国はホワイト物流推進運動を実施している。トラック輸送の生産性向上や物流の効率化、女性や60代の運転者も働きやすい労働環境の実現などを目的に、それぞれの立場での取り組み参加を呼びかけている。「自社の物流の効率化だけではホワイト物流の実現は難しく、企業同士でアライアンスを組み、ともに物流業界を支えていこうとする動きも見られます」と麻生氏は指摘する。幅広い物流の動きの中で、人手に頼っていた部分をデジタル化していくことが、物流のホワイト化、ひいては市場拡大につながっていくだろう。

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