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三木市、IIJの「IIJ閉域モバイル」で庁内システムへのリモートアクセスを実現

三木市、IIJの「IIJ閉域モバイル」で庁内システムへのリモートアクセスを実現

2021年01月26日更新

災害用ネットワーク体制を構築した兵庫県三木市
~閉域接続でグループウェアを安全に活用~

兵庫県の南部に位置する三木市は、人口約7万7,500人。2018年7月上旬に発生した西日本豪雨の甚大な被害を受けた。その際、避難所との連絡が滞ったことをきっかけに、災害時の情報共有システムの見直しが必要となった。その問題を解決するため導入したのが、IIJの閉域ネットワークサービス「IIJ閉域モバイル」だ。

災害時の情報共有に苦慮

 2018年7月5日~8日にかけて大きな被害をもたらした西日本豪雨により、庁内の連携がとれない事態が発生した兵庫県三木市。従来、災害発生時には各課の職員はスマートフォンの電話で連絡を取り合っていた。しかし、市民から市への多数の被害報告や豪雨の影響で接続が滞り、情報共有が十分にできない状況が発生したことから情報共有システムを見直す必要が生じていた。災害当時の様子を、三木市 総合政策部 危機管理課の本岡忠明氏は以下のように振り返る。

「災害発生への対応としては避難所を19カ所開け、職員を3~4人ほど配置しました。市役所側では避難所の状況、避難された市民の人数などを認識するために避難所担当の職員と連絡を取ろうとしたのですが、連絡を取り合えるツールが個人のスマートフォンのみで、うまく情報共有体制が取れていませんでした。また、災害発生中のためとてもつながりにくく、相互にやりとりすることが難しい状況でした」

 三木市役所では7月5日~8日の4日間、避難所を開設した。通信環境が悪く電話で連絡が取れなくなった後は、個人のスマートフォンと市役所のPCを利用してメールによる情報共有体制を取ったという。「避難所の担当職員は日ごとに変わるため、避難所にいる職員と職員のメールアドレスを確認した上で連絡を取る必要がありました」と本岡氏は語る。

閉域ネットワークを3カ月で構築

 同市の庁内業務では従来、メール、庁内掲示板など情報共有を行うツールとしてグループウェア「Notes」を活用していた。西日本豪雨発生後、当時、三木市 総合政策部 法務情報課に在籍し、現在は企画政策課に所属する大西武宏氏は「情報共有手段としてNotesを庁外でも利用できれば、災害時にもスムーズ連絡を取り合えるのではないか」と考え、Notesを外部で利用できる庁内システムの構築を検討することとなった。しかし、専用のネットワーク環境がない避難所でNotesへアクセスすることは難しく、リモートアクセスできるネットワーク環境や情報共有ツールを用意する必要があった。そこで三木市は、避難所との情報共有課題を解決するべく、庁内外でグループウェアとの連携が可能な災害対策のネットワークシステムの構築をスタートさせた。

 災害対策ネットワークシステムを構築するため、大西氏は2018年10月、地方公共団体情報システム機構が主催したイベント「地方自治情報化推進フェア2018」に参加した。そこで、岡山県倉敷市真備町が臨時専用回線として活用したネットワークシステムに注目した。倉敷市で活用されていたのは、インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)が提供する通信サービス「IIJ閉域モバイル」だ。閉域接続によって、クラウドからリモートアクセスが可能な「IIJモバイル大規模プライベートゲートウェイサービス」などで構築されている。IIJの担当者から話を聞くうち、IIJ閉域モバイルは、モバイル端末からの外部接続やインターネットから分離した閉域接続など三木市が求めるシステムと合致していると判断し、同市の災害時の情報共有に活用することを決意。避難所との情報共有課題を解決するべく、庁内外でグループウェアとの連携が可能な災害対策のネットワークシステムの構築をスタートさせた。また、同時期にマイクロソフトのタブレット端末「Surface Pro LTE Advanced」(以下、Surface Pro LTE)が発売。高速な携帯電話通信規格である「LTE」を搭載したタブレットということで、併せて導入した。Surface Pro LTEは防災、ペーパーレス化推進を目的として30台活用している。こうしてIIJ閉域モバイルを使ったネットワークシステムは、3カ月の短期間で構築された。

災害対策&ペーパーレス化を推進

 IIJ閉域モバイルを通じたネットワークシステムの運用状況について、本岡氏は以下のように語る。「Surface Pro LTEは災害時に活用する端末として、10台を危機管理課に配備しています。そのうち1台は、現在新型コロナウイルスの情報収集用として私が自宅に設置しており、私が市役所で利用しているPCに届いたデータが持ち出し用のSurface Pro LTEにも転送されるよう設定しております。そこからNotesを通じてメールやグループウェアなどで各職員とも情報共有ができます。本格的なリモートワーク運用までには至っておりませんが、非常時に備えて持ち出しや利用ができる環境は整えています。複数の避難所からも接続を検証してみましたが、どこでもスムーズに接続できました」(本岡氏)

 大西氏によると、災害用に導入したSurface Pro LTEは市庁舎以外のサテライトオフィスでも有効活用しているという。「市では、2020年4月に国から発出された緊急事態宣言を受け、同年4月から隔日勤務を実施しました。隔日勤務では、A、B班に分け、市内の教育センターなど7カ所をサテライトオフィスとして活用し、市庁舎と交互で勤務する形態を推進しました。この隔日勤務においてサテライトオフィスで業務を行った職員からは、『Surface Pro LTEを活用すればサテライトオフィスでも問題なく業務ができている』と報告を受けています。部長会ではSurface Pro LTEを活用することでペーパーレス化を進めています」(大西氏)

 現在は、IIJ閉域モバイルを活用することでインターネットから分離しつつ庁内システムに接続できている状況だが、デジタル化やリモートワークを推進していくにあたっては、セキュリティ面でもより強固な施策やネットワークサービスなどのツールを検討する必要がある。

 こうした課題を踏まえ、大西氏は「現状ではまだ難しいですが、新たな技術が開発され、総務省やデジタル庁の認定が降りて庁外でも住民情報の参照が可能となれば、今回の避難所などのほかに有線の通信回線が入っていない場所でも行政サービスを提供していきたいと考えています。日進月歩の時代なので、セキュリティ機能に特化した通信サービスがあれば、導入を検討していきます」と展望を述べた。

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