テーマ Chromebook Plusのメリットを探る

Web会議もスムーズに行える実用的な1台に

かなり話題になったChromebookだが、最近は少しマイナーな存在になった感が強い。ところが、新たに登場したChromebook Plusは、仕事でも使えるパフォーマンスを秘めた魅力的な製品なので、情報を押さえておきたい。

高性能なChromebook Plus

 Chromebookは、手頃な価格で使えるPCとして随分話題になった。ところが、スペックの低さから敬遠されることが多く、文教市場での導入が目立っていた。5万円以下のモデルでも、それなりに使えるのがChromebookの良さだが、仕事に活用するとなると、処理が重く感じることも多かったのだ。

 そこで注目したいのが新たなカテゴリーとして登場したChromebook Plusだ。CPUは12世代のCore i3もしくは、Ryzen 3 7000シリーズ以降、メモリー8GB以上、ストレージ128GB以上などとパフォーマンスが定められており、安価ながら性能があまり高くないChromebookとは一線を画する。もっとも、以前から高パフォーマンスのChromebookも存在はしていた。Chromebook Plusという形でしっかり定義することで、より分かりやすく用途を広げていこうというわけだろう。ディスプレイがフルHD以上というのも、ビジネス利用では理にかなっている。

 今回、例としてレビューする「ASUS Chromebook Plus CM34 Flip」は、14インチのコンバーチブル型2in1モデルで、Ryzen 3 7320Cに8GBメモリー、128GBストレージという構成で7万9,800円。今回試用したのは、上位機のRyzen 5 7520C搭載機で10万4,800円となる(いずれもASUS Store価格)。

 実際に使ってみると、非常にテキパキと快適に利用できる。そもそも、低スペックのChromebookも「遅くて使えない」という印象はないのだが、何かもっさりとした印象があった。それらに比べると、かなり実用性が増している。

 画面サイズは14インチで解像度も一般的(1,920×1,080ドット)なので、普通に見やすい。

今回レビューするASUS JAPAN「ASUS Chromebook Plus CM34 Flip」は、14インチモデルだ。14インチディスプレイは、仕事に使うには画質も十分だ。

アプリも実用的になっている

 アプリを利用してもレスポンスが良く実用的になっている。ストレージの容量がそれなりに多いので、ファイルをローカルに保存して同期した形での利用も現実的だ。よりPCとして普通に使えるというわけだ。

 個人的に、低スペックのChromebookを使いづらかった最大の理由がWeb会議だ。内蔵のカメラの画質が低く、性能が低いためにかなり厳しかった。自分だけで使うなら、ある程度の妥協と我慢で乗り切ることもできるだろう。だが、Web会議は相手がいるので、「性能が低いから……」というのは言い訳にもならない。

 ASUS Chromebook Plus CM34 Flipでは、普通のPCに近い感覚でWeb会議をこなせる。Webカメラも207万画素なので、画質も一般的だ。マイクとスピーカーも十分実用的だが、高性能なPCに比べるとノイズリダクションなどで少々及ばない部分もある。

 Chromebookでは、Androidのアプリも利用できるのが特長の一つだ。仕事に使えるメモアプリなどもそれなりにあるので、スマホでよく使っているものがあれば利用してみると良いだろう。もちろん、ブラウザーベースで使うChromebook用のアプリも利用できる。その気になれば、ExcelやWordなども利用できるのだが、使えるのはWebアプリになる。PCにインストールして普段から使っているアプリに比べると、機能がかなり限られるので注意してほ欲しい。

 やはり、Chromebookだから我慢したり違いを受け入れたりする必要はあるのだ。

重量は1.8kg台なので、持ち歩きには向かない。
専用のペンは本体に内蔵されている。
2in1モデルなので、画面を回転させてタブレットスタイルやスタンドスタイルで使える。ペンの書き味も上々。Windowsだとこの価格でペンを使うのは難しい。

ペンが便利だ

 ASUS Chromebook Plus CM34 Flipは、コンバーチブル型の2in1なので、タブレットスタイルでも利用可能だ。ただし、重量は約1.85kgなので手に持って使うのは無理がある。便利なのは、本体に内蔵できるペンを利用するときだ。

 タブレットスタイルにして机の上に置けば、快適に手書きができる。性能が高いので、筆記の遅れも少なく、とても実用性が高い。

ローカルでの利用に向いているのもChromebook Plusの特長だ。
Web会議が普通にできるのがいいところ。

 Chromebook Plusに採用されている写真編集機能「消しゴムマジック」も範囲を指定する作業があるのだが、ここでもペンを使うと快適。マウスによる範囲指定に比べて数段作業性がいい。

 もちろん、手書きのメモなども書くことができる。実はここも大きなポイントで、Windowsを搭載するPCで、2in1モデルはかなり高額になる。さらに、ペンまで内蔵する14インチの製品となると、安くても15万円程度からとなるだろう。ASUS Chromebook Plus CM34 Flipは、ペンを使いたい人にこそお薦めする。Web会議の際にホワイトボードアプリを使うなら、よりペンが便利に感じるはずだ。

消しゴムマジックの範囲指定もペンを使うと楽だ。

 Chromebook Plusも、Chromebookの基本的なメリットは踏襲している。Googleのアカウントでログインすれば、短時間で利用がスタートできる。クラウドに保存したファイルもそのまま使えるわけで、利便性はかなり高い。複数名で1台のPCを使うことを考えると、Windowsよりも数段使い勝手が良いだろう。ローカルにファイルを保存しなければ、全員が同じ環境で利用でき、ストレージが不足することもない。実はこれが、Chromebookの最大のメリットだ。頻繁に会社の従業員数が変わり、繁忙期にはアルバイトが増えるケースでは、Windowsより一時利用がしやすい。出張者や外部委託者にPCを貸すようなときにも便利だ。

 その上で、動作が快適なChromebook Plusを導入すれば、現場の満足度も向上するだろうし、作業性もアップする。

 基本的にはローカルでの利用はしない——というChromebookのお作法を理解するのに少し戸惑うだろうが、ポイントさえ押さえてしまえば、Windowsと同じ感覚で使える。

 もっとも、Windows向けのアプリはほぼ使えないので、業務用アプリを利用するのは難しい。Webアプリ化されていれば、使える可能性は高いだろう。

 コスト的には、Windowsの半分で導入できるChromebook Plusは、検討の俎上にあげてもよいモデルだと思う。