1990年代後期から2000年、2010年代初期に生まれ、インターネットのある環境が一般的である「Z世代」。これらの世代の新入社員が入社・活躍し始める時期が到来している。多様性の尊重が求められる中、世代間から異なる意見の違いをどう受け入れ、教育に生かしていくべきか。若手世代の傾向分析や新人教育に関する書籍を読んで令和の新人教育にアップデートしよう。

なぜ「若手を育てる」のは今、こんなに難しいのか

古屋星斗
1,760円(税込)
日経BP、日本経済新聞出版

 若手の仕事・キャリアに関する考え方の多極化や職場環境の劇的な変化を経て、若手の定着や育成は従来以上に難しくなった。本書では、「ゆるい職場」時代の新しい育て方改革を模索している。Z世代のアンケート分析では、上の世代との本質的な違いは環境変化による行動・経験が変化したことを挙げ、細かな特徴をデータに基づいて解説。第6章では、ゆるい職場時代の育て方改革の五つのポイントとして「若手の自主性の尊重及び要請」「上司やマネージャーに育成を依存しない」「若手の実践経験支援」「自己責任論にしない」「ゆるさに対する主観と客観の再整理」を紹介。若手育成のカギは質的負荷の高い仕事を量的負荷・関係負荷なく与える育成アプローチだ。ほか、二極化する若手の最適な教育方法や会社と社員の新しい組織論なども参照できる。

新しい教え方の教科書

北 宏志
1,540円(税込)
ぱる出版

 本書は、令和時代のシンプルなメソッドを中心とした具体的なノウハウなど「教え方」を伝授している。令和式の指導・教育の5ステップを関係づくり→基本→フォロー→継続→仕組みづくりとして紹介。コストパフォーマンス・タイムパフォーマンス重視で共感をエネルギーとするZ世代に対して求められる教え方として、新たな取り組みはストーリーで伝える、叱るときは目的・行動否定・解決策のシナリオを作ることなど世代に見られる特徴を押さえた教育法を学べる。「相手・シーン別令和式教え方」で面白いのは、「完成物や動画を見せてイメージを膨らませ、業務のゴールを提示すること」という教え方。動画や情報などにアクセスしやすいZ世代ならではの教育方法と言えよう。そのほか、心理的安全性や自己肯定感、存在を認めることなど、Z世代のポイント的なワードから若手世代との向き合い方を知れる1冊。

職場にやる気が湧いてくる対話の技法

髙木 穣
1,760円(税込)
同文舘出版

 従業員のウェルビーイングを目指すには、チームで仕事を前進するための対話の「場」(余白)が重要だ。本書は、管理職やリーダー向けにチームのマネジメント改善を目的として、人間心理学に基づいた、行動ではない認識の転換と対話の方法を提案している。従来のあるべき論や「ない前提」から「ある前提」によって活躍場面を作り出すという提案が興味深い。また従業員のやる気を引き出す対話に必要な「本音の三階層」を不満や愚痴などの「ブラック層」、弱みや恐怖である「ウイーク層」、使命感などの「コア層」で分類。こうした本来の思いである本音を打ち明けてもらうことが社員自身のやる気創出につながる。弱みを隠さず助け合うといった、本音を言いやすくするための心理的危険性が減る現象を起こすルールもいくつか紹介。従業員の目的意識や、業務・会議における主体性を育てられるだろう。