パナソニック コネクト、顔認証の社会実装を拡大

顔認証技術の活用動向

 パナソニックコネクトは7月3日、自社の顔認証技術を説明するプレスセミナーを実施した。同社 現場ソリューションカンパニー パブリックサービス本部 センシング総括部 センシング・顔認証・新規ビジネスデザイン エバンジェリスト 古田邦夫氏は、「コロナ禍による入社面談のオンライン化などに伴い、なりすましを防ぐ顔認証のニーズが高まっています」と語る。

 顔認証のニーズが高まる中、同社の顔認証は、空港の出入国手続きをはじめ、幅広い業種・業界で1日30万回以上利用されている。さまざまな場所で同社の顔認証が採用されるポイントは三つある。一つ目は米国国立標準技術研究所(NIST)の顔認証ベンチマークテストで世界1位を獲得した認証技術だ。約70年の研究開発のノウハウを生かしたAI技術を備え、高精度な認証を実現している。さらに、深層学習を軽量化し、高精度な認証とスピードの両立も行った。

 二つ目は、利用者に配慮したUXデザインだ。誰でも使いやすく、分かりやすいデザインに取り組んでいる。

 三つ目はパートナー企業との共創活動だ。例えば、ソリトンシステムズと顔認証を用いたPCログインソフト「SmartOn」を開発し、ユーザー企業のセキュリティと利便性を向上させた。こうした取り組みによって、業務最適化や生産性向上、CXの向上につなげている。

 最後に古田氏は「三つのポイントを引き続き重視し、さまざまな現場で顔認証を活用してもらうことで持続可能な未来を実現していきたいです」と展望を語った。

自治体でも活用が進む顔認証

 同社の共創活動の事例には、パートナー企業の行政システムとの自治体DXに関する取り組みもある。その取り組みでは、マイナンバーカードで窓口手続きを行う際のなりすましを課題として、ソリューションの開発を行った。

 同社 現場ソリューションカンパニー パブリックサービス本部 センシング統括部 サービスマーケティング部 大住駿介氏は、自治体DXにおける顔認証の活用例をこう語る。「対面では、マイナンバーカードをカードリーダー部分に置き、顔をかざして本人確認を行う端末『顔認証カードリーダー開発キット』があります。オンラインでは、スマホで自撮りした顔写真とマイナンバーカードの顔写真を照合する『KPASクラウド本人確認クイック』によって、本人確認を実現しています」

 行政システム マイナンバープロジェクトチーム 営業リーダー 横山正樹氏は、自治体業務の今後の取り組みについて「マイナンバーカードの本人確認の信頼性を確保するために、これからも顔認証を用いる必要があります」と語る。この発言を受け大住氏は、「今後も、現場の安心・安全・快適につながる顔認証技術の提供を続けていきます」と意気込みを語った。