IDCが提言する業務自動化の支援の在り方

IT市場予測

  IDC Japanは、1月27日にオンラインイベント「IDC FutureScape Japan 2023」を実施した。本イベントでは、IDCが発行するIT市場のさまざまな領域における今後5年間の10大予測を行うレポート「IDC FutureScape」の解説を行った。

 IDC FutureScape内の予測である「自動化の信頼」を解説する講演に登壇した同社 リサーチマネージャー Software&Services 飯坂暢子氏は、業務の自動化に関するIDC Japanの見解を次のように語る。「重要な点は二つです。一つ目は自動化のリスク対策です。自動化の技術を活用しながら、いかにリスクを下げるかを検討することが大切です。二つ目は人材の確保です。リソースの配置を業界全体や、顧客のエコシステム全体で最適化する必要があります。この二つに注力することで、持続可能な組織の実現につながります」

 IDCは国内と世界の企業を対象に、どの業務プロセスで自動化の投資を優先させるかについても調査している。この調査結果を基に、飯坂氏は、国内は自動化の範囲が狭く投資の一貫性が欠ける傾向にあると指摘する。「国内では、受注からデリバリーまでのリードタイム短縮に投資を優先しています。しかし、受注から現金化までの期間短縮への投資の優先度は低いです。受注から現金化までは一貫した業務なので、投資のちぐはぐさが見受けられます。また、世界では顧客エクスペリエンスの向上やサプライチェーン管理にも優先的に投資が行われています。一方で、国内は外部に向けた投資の優先度が低く、自動化の範囲が狭いです。ITサプライヤーは、顧客の自動化への投資を最大限生かし、どのようにビジネス効果を生み出すか考えなければなりません」(飯坂氏)

リスク回避のサービス提案が急務

 飯坂氏は、自動化の推進に向けたITサプライヤーの取り組みを以下のように提言した。「具体的な取り組みは三つです。一つ目は、顧客の変革に横軸からアプローチを行うことです。顧客の課題を部門横断的に俯瞰し、解決に向けて行動するリーダーとなるべきです。二つ目は、顧客のエコシステム全体でリソースを最適配分することです。サービスの商用化やマネタイズにリソースを割くことが重要になります。三つ目は、リスクマネジメントに向けたサービス提案をすぐに始めることです。最新技術の機会損失に伴う財務的インパクトを示すことで顧客の理解が進み、リスク回避への行動を後押しできます」