導入から運用まで一貫してサポート
ネットワークの自動化における課題を解決

エーピーコミュニケーションズ「Automation Coordinator」

エーピーコミュニケーションズ(APC)は、IT自動化プラットフォーム「Red Hat Ansible Automation Platform」の導入や運用をサポートするネットワーク自動化サービス「Automation Coordinator」の提供に注力している。企業の規模やシステム環境に応じたサポートにより、ネットワークシステムの自動化をスムーズに実現でき、安定した運用が可能となる。ネットワークシステムを自動化する具体的なメリットや今後の販売戦略について話を聞いた。

ネットワークの自動化には
複雑かつ煩雑な対応が必要

執行役員 Vice President
技術開発部 兼 ネットワーク事業部ACT
部長
名田 和 氏

エーピーコミュニケーションズ(APC)は、1995年の設立以来、ネットワーク、サーバー、クラウドなどのITインフラの運用・設計・構築などの事業を展開している。従来の慣例にとらわれない「NeoSIer」という概念を掲げ、特にシステムインテグレーションに注力し“エンジニアから時間を奪うものをなくす”ための製品やサービスを提供している。

 近年、運用コストの削減や、エンジニアの負担を軽減して離職を防ぐため、ネットワークシステムを自動化する企業が増えている。こうした状況を受け、オープンソースの自動化エンジンを搭載したIT自動化プラットフォーム「Red Hat Ansible Automation Platform」(RHAAP)に注目が集まっている。RHAAPは、ITインフラの自動化に必要なツールが取りそろえられており、アーキテクチャやベンダーにとらわれず、既存の企業資産を生かしたネットワークシステムの自動化を実現できるというメリットがある。しかし、RHAAPを含めたネットワークシステムの自動化にはいくつかのポイントがあると指摘するのは、APC 執行役員 Vice President 技術開発部 兼 ネットワーク事業部ACT 部長 名田 和氏だ。

「RHAAPは、『Playbook』と呼ばれる構成ファイルを作成する必要があります。分かりやすく言えば、企業のITインフラへのオペレーションを指示するプログラミングのことで、人手を介さずに処理を実行できるようにするための指示書のようなものです。Playbookのプログラミングはシンプルな構文ですが、複雑なオペレーションを実行するには、それなりのテクニックが必要になります。例えば、ネットワーク機器などにおいては、作業前に周辺機器のルーティング情報を確認したり、作業が必要な機器の負荷状態を調べたり、データのバックアップを取ったり、複雑かつ煩雑な対応が必要です。こうした処理をプログラムで再現するには難易度が高く、費用対効果を出すのが難しくなります」と名田氏は課題を説明する。

 そこでAPCでは、RHAAPのスムーズな導入・運用を実現し、ネットワークシステムを自動化させる際の課題を解決するサービス「Automation Coordinator」の提供に力を入れている。

導入フェーズに応じて
サービスを自由に選択

ネットワーク事業部
嶋津貴広 氏

 Automation Coordinatorは、「自動化導入サービス」「プロフェッショナルサービス」「クライアントワーク」「チケットサポート」「自動化トレーニング」の五つのサービスで構成されたネットワーク自動化サービスだ。

 自動化導入サービスは、RHAAPの導入からPlaybookの作成まで一貫して提供するスタートアップサービスだ。また、プロフェッショナルサービスは、すでにネットワークシステムの自動化が済んでいて、より高度な運用を実現したい企業に対して、APCのコンサルタントが技術的なサポートを行うサービスとなる。クライアントワークは、企業からアカウントの提供を受けたAPCの専属エンジニアをオンライン上で常駐させて自動化のサポートを実施するサービスだ。一方、エンジニアを常駐させる必要がない場合は、部分的な支援で課題解決を行うチケットサポートが役立つ。例えば、継続的なサポートは不要だが“トラブルや疑問が生じたときだけ解決してほしい”といった場合に、チケットを購入する感覚でテクニカルサポートを受けられる。社内の従業員にネットワークシステムに関する自動化の手順や導入方法などのスキルを身に付けさせたい場合は、自動化トレーニングで従業員のスキルアップが図れる。同社 ネットワーク事業部 嶋津貴広氏は「お客さまは、企業のシステム環境や導入フェーズに応じて五つのサービスの中から自由に選択可能です」と説明する。

ハードウェア製品と一緒に提案
多くのユーザーへ価値を提供

 システムの規模が大きくなれば、ネットワークシステムを自動化する際の作業・費用負担は増加する傾向にある。名田氏は「大企業になるほど、サーバーやネットワーク機器などの管理台数が増加し、昼夜を問わないオペレーションが生じています。Automation Coordinatorは、企業規模が大きくなればなるほど効果を実感していただけます。数千人規模の従業員や顧客を抱えているクラウド事業者やデータセンター事業者などの大企業から多くの問い合わせが来ています。実際に導入していただいた航空運送事業会社や通信キャリア会社からは、人的リソースの削減を達成できたという感想が寄せられています」と話す。

 APCは、ダイワボウ情報システム(DIS)やレッドハットと共同で、Automation Coordinatorの使い方や導入メリットを紹介するウェビナーを開催している。今後の展望について嶋津氏は「DISさまはハードウェア製品の提案に強みがあります。当社のソフトウェア製品と一緒に提案できれば、より多くのお客さまへ価値を提供できます。2022年8月末にはウェビナーの開催を予定しています。今後もDISさまと密に連携し、販路拡大を目指します」と語った。