従業員が日々の業務の中でデジタルツールをどれだけ自在に使いこなし、ストレスなくその恩恵を享受できているか。テクノロジーとの関わりにおける体験の質、すなわちDEX(デジタル従業員体験)の最適化が、組織の生産性を左右する重要な要素の一つとなっている。TeamViewerが提供する「TeamViewer DEX」は、従業員のデジタル体験を可視化して分析することで、従業員のストレスや業務停滞の要因となる「デジタルフリクション(デジタル摩擦)」を解消する。トラブルの予兆を先回りして摘み取り、従業員が問題に気が付く前に解決していく。このアプローチこそが、従業員体験の向上につなげるための鍵となる。
従業員の生産性を阻害する
デジタル体験の課題と実態

カントリーマネージャー
鈴木 仁 氏
働く場所が多様化した今、いかなる環境でも一貫した働き方を実現する「デジタルワークプレイス」の構築が進んでいる。それに伴い、業務におけるデジタルツールの活用は不可欠なものとなった。その一方で、こうした働き方が当たり前になったからこそ直面する新たな問題も浮き彫りになっている。「本来は生産性を高めるために導入したはずのデジタルツールが、使い勝手の悪さや不具合などによって従業員のフラストレーションを高め、結果として生産性を阻害する要因に転じているケースがあります。これをデジタルフリクションと呼び、企業において深刻な問題となっているのです」と、TeamViewerジャパン カントリーマネージャー 鈴木 仁氏は語る。
企業のIT投資が、必ずしも現場の業務効率や従業員の利便性に還元されているとは限らないのが、現代のデジタルワークプレイスが抱える難しさともいえる。システムが正常に稼働しているという管理側の認識と、日々ツールを使いこなす従業員の間には、目に見えない乖離が生じがちだ。
「当社が2025年に実施したデジタルフリクションに関する調査では、日本企業の4社に1社(24%)がITの非効率性による収益の損失を報告しており、日本従業員の55%が、自社のIT環境におけるデジタルフリクションによって業務時間を失ったと回答しています。中には、従業員がデジタルフリクションを理由に離職を検討するというケースもあります。それほど深刻な問題であるにもかかわらず、解決に向けて本格的に取り組んでいる企業は少ないのが現状です」と鈴木氏は指摘する。
こうしたデジタルフリクションの問題を解決に導くのが、DEX(デジタル従業員体験)である。デジタルワークプレイスにおいて従業員がどれほど快適に、ストレスなく業務を遂行できているかを示す指標のようなものだ。そしてこのDEXを最適化するためのソリューションが「TeamViewer DEX」である。あらゆるデバイスやソフトウェアの状態を可視化することで、パフォーマンスのボトルネックを特定し、解消することが可能だ。従業員のデジタル体験におけるストレスの低減や生産性の向上につなげられる。
可視化から修復・評価まで
DEX最適化を支える四つの柱
デジタルフリクションという実態のつかみづらい課題に対し、TeamViewer DEXでは包括的な解決策を提示する。その核となるのが、「オブザーバビリティ(可観測性)」「レメディエーション(修復)」「オートメーション(自動化)」「バリデーション(検証)」という四つの柱だ。
オブザーバビリティは、デバイスからインベントリ情報やパフォーマンスデータをリアルタイムに収集する機能である。アプリケーションの応答時間やCPU・メモリーの負荷状況、クラッシュの頻度など、従業員に影響する挙動を詳細に可視化するのが特長だ。
レメディエーションは、検知した問題に対して具体的な解決策を講じるプロセスを指す。そして、その修復の手法を自動化するのがオートメーションの役割だ。レメディエーションとオートメーションが連携することで、例えば特定のパッチが未適用であったり、業務に必要な設定が意図せず変更されてしまう「構成ドリフト」が発生したりした場合でも、あらかじめ用意したスクリプト(実行シナリオ)に基づき、バックグラウンドで自動的に正しい状態へと修正・適用できる。
バリデーションは、これらの一連の対策が実際にどれだけ従業員体験を改善させたかを定量的に評価するものだ。ここで重要な役割を果たすのが「DEXスコア」である。DEXスコアとは、デバイスのパフォーマンスやアプリケーションの動作状況といった定量データと、従業員の主観的な満足度といったインスタントサーベイなどから得た定性データを合わせて算出された指標だ。このスコアを用いることで、生産性向上の度合いを客観的に検証できるだけでなく、どこにボトルネックがあるのかを特定可能だ。スコアが低い箇所を深掘りし、従業員体験の向上に向けてさらなる運用改善に役立てられる。
これらのデータはTeamViewer DEXのダッシュボード画面で一元的に確認・管理できる。IT管理者は複雑なログを読み解くことなく、さまざまな分析情報をリアルタイムに把握することが可能だ。

先回り型と予測型で
ITチームのシフトレフトを支援
TeamViewer DEXは、これまでのITサポートの在り方を大きく変えようとしている。従来のITサポートは、問題が起きてから対応する「事後対応型(リアクティブ)」な体制が中心だった。TeamViewer DEXでは、事後対応型だけでなく、影響が出る前に既知の問題を自動的に修正する「先回り型(プロアクティブ)」、さらには未知の問題を事前に予測して発生前に解決する「予測型(プリディクティブ)」の対処法にも対応する。「当社では『シフトレフト戦略』として、事後対応にとどまらず、ユーザーが気付く前に問題を解決する予測的なITサポートへと進化させています。従来、エンジニアが手作業で行っていた復旧作業をAIエンジンへと移行(シフト)させることで、より早い段階での問題解決が可能です」と鈴木氏は説明する。
TeamViewerが見据える次なるステップは、DEXのさらなるインテリジェント化だ。長期的な展望の一つとして、AIを活用した修復シナリオの自動生成など、より高度な機能の実装を目指している。これにより、企業内に潜む多様な問題を素早く解決へと導き、従業員の生産性を阻害しないデジタル環境の実現を追求していく構えだ。
昨今では、先進的な企業を中心に「DEX部」や「デジタルワークプレイスサービス部」といった従業員のデジタル体験をサポートする部署を立ち上げるケースもあるという。DEXを重要視する企業が増えつつある中で、TeamViewer DEXは従業員の生産性向上を支える強力なソリューションとなるだろう。
デジタル環境を最適化し、従業員の業務効率を高めていく。こうしたソフトウェア側の進化は、最新のAI PCに代表されるハードウェアの劇的な進化とも軌を一にしている。ハードウェアとソフトウェアが同じベクトルで進化することで、企業はテクノロジーの恩恵を享受し、従業員はより快適かつ高度にデジタルツールを使いこなせる環境を手にできる。


