エージェンテックが提供する「AI Shorts」は、PDFやPowerPointからナレーション動画をAIで生成するクラウドサービスだ。社内に眠っている各種マニュアルや資料などを、動画制作の専門家に頼ることなく動画にできる。多くの企業では、PowerPointやPDFファイルで営業の提案書や業務マニュアルなどを制作しているが、なかなか社員には読んでもらえない。また、紙の販促資料を配布しても、顧客の注目を集めにくいという課題を抱える企業も少なくない。そうした課題をAI Shortsはナレーション付き動画で解決していく。

マニュアルを1分でナレーション動画化

 米国国立訓練研究所が学習活動の概念として研究した「ラーニングピラミッド」によれば、読書による学習定着率が10%であるのに対し、視聴覚による学習では20%の効果が期待できるという。つまり、文字中心の資料やセールスツールと比べて、音と動きのある動画には、約2倍の伝達力がある。その学習効果の価値は、多くの人が実体験として認識しているだろう。文字の羅列や静止画による提案や教育と比べて、動画と音声での訴求は脳に大きなインパクトを与えてくれる。

 しかし、動画による情報伝達に効果があると分かっていても、その動画を制作するためのハードルは高い。一般的な動画制作では、プロの制作者が資料から台本を書き起こし、専用の機材を使ってナレーションを録音して、関連する映像やイラストにアニメーションなどを加えて編集する。こうしたプロセスでは、時間もコストもかかるため限られた目的でのみ動画が制作されていた。そうした課題を「AI Shorts」は解決してくれる。

 AI Shortsは、資料をアップロードするだけで、AIがナレーション付きの動画を生成するクラウドサービスだ。対応するファイルは、WordやPowerPoint、Excel、PDF、画像ファイルなど幅広い。

 アップロードされたファイルは、AI Shortsがファイルの内容を解析して、スライドショーを構成するナレーション台本を自動的に生成する。ファイルのアップロード時には、生成したい動画の役割やナレーションのトーン、スクリプトの長さ、使用言語を選択できる。テキストを音声に変換するAIサービスは各社から提供されているが、AI Shortsでは、ナレーションの役割やトーンを調整することで、より伝えたい相手に適した動画を生成可能だ。

 役割としては、「セールスマン」「マーケター」「コンサルタント」「インストラクター」などが用意されている。また、トーンについても「カリスマ的」「プロフェッショナル」「フレンドリー」などから選択可能だ。さらに、AI Shortsは15カ国語に対応した翻訳機能を搭載しており、英語、ドイツ語、韓国語、中国語、ベトナム語、フィリピノ語、インドネシア語、ヒンディー語など、幅広い言語をカバーしている。

 生成された動画はAI Shortsの編集機能を使って、ナレーションの内容を修正したり、後から画像やイラスト、動画などを追加したりできる。編集画面は、動画編集の専門家でなくても、短時間で直感的に操作が理解できるデザインだ。また、スライド画面の任意の位置を、音声に合わせて表示するエフェクト機能も備えている。

人事や営業など多くの業務を動画制作で支援

 AI Shortsによる動画制作は、業務の効率化やコミュニケーションの改善、研修・教育に与える効果が大きい。とりわけ、人事や教育などの部門では、新人研修や製造現場における技能マニュアル習得の高速化が期待できる。また、多言語に対応したナレーションを活用すれば、外国人スタッフへの教育や海外拠点での展開にも有効だ。AI Shortsを導入した企業の中には、マニュアルの内容を動画で分かりやすく伝えることで教育期間を大幅に短縮した事例や、多言語展開によって言葉の壁を解消した事例も見られる。

 また、営業部門や代理店などを統括する業務においては、情報伝達の均質化による販売効率や成績の向上が期待できる。例えば、代理店向けの製品説明や海外拠点へのサポート、物件案内などにAI Shortsを活用し、顧客への事前情報共有を行えば、最適なトークスクリプトをスタッフ全員に周知可能だ。その結果、属人化を防ぎつつ、商談の成功率を高める効果が得られるのだ。

 そして、総務や経営企画などのバックオフィス部門では、社内DXの推進や業務関連ナレッジの共有を促進できる。例えば、決算説明会資料や社内システムの操作方法、社内ルールなどを動画化することで、従業員の理解度と周知度を高められるのだ。文字情報が中心で「読まれない資料」になりがちな内容も、動画に置き換えることで、社内の情報格差や伝達漏れの解消につながる。

 さらに、事業開発やマーケティング部門では、マネタイズや外注費削減といった観点でも効果が期待できる。eラーニング教材やSNS向け販促動画、サイネージ用コンテンツの制作などにAI Shortsを活用すれば、新たな収益機会の創出と同時に、コンテンツ制作の内製化によるコスト削減にも貢献する。

埋もれたPDFを抱えた部署に朗報

 AI Shortsによる業務効率の改善や働き方改革は、誰からも読まれていないPDFを抱える部署であれば、業種や業務を問わず、動画化による効果を期待できる。導入事例では、社内研修用の動画を作成していた部署において、制作時間を約97.5%削減したという。

 また、これまで紙で配布していた保護者向けの通知内容を動画化し、高い評価を得た保育園の事例もある。そのほかにも、閲覧数が伸び悩んでいた社内研修用PDFを動画に置き換えることで視聴率を改善したケースや、日本語マニュアルを翻訳した動画として制作し、外国人技能者へ操作手順を分かりやすく伝えているケースもあり、AI Shortsの活用の幅は広がっている。

 AI Shortsには動画の視聴データを閲覧できる機能が備わっており、再生回数や視聴時間といったデータを確認できる点も特長だ。例えば、営業資料が「どこまで視聴されたか」を把握すれば、共通して離脱が多い箇所を特定可能だ。そして、スライド構成やトークスクリプトを改善することで、商談の確度向上につなげられる。また、eラーニング用途で活用すれば、「誰がどこまで視聴したか」を個人単位で把握できるため、未視聴者へのフォローや受講完了の証跡管理といった運用を実現する。

 営業から教育、社内DXの推進に至るまで、AI Shortsによる動画生成には多くの効果が期待できる。「誰にも読まれずに埋もれているPDF」が存在するのであれば、それはAI Shorts提案のチャンスと考えられる。