「invox炭素会計」は、invoxが提供している脱炭素経営をまるごとサポートする炭素会計システムだ。2025年5月28日に、「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律」の改正法が可決・成立したことにより、2026年度から温室効果ガス排出量が年間10万トン以上の大規模事業者には、排出量取引制度の参加が義務化される。対象となる事業者は、CO2排出量の管理と削減への対応が必須となる。invox炭素会計は、会計ソフトなどで蓄積したデータと、経理業務で蓄積された請求データを活用して、CO2排出量を算定することで炭素会計に関わる働き方の改革に貢献する。
CO2排出量の算定が求められる背景
大手企業の取り組みが必須となる「排出量取引制度」は、政府が企業ごとの温室効果ガス排出量の上限(キャップ)を定めて、その枠を企業間で売買する仕組みだ。この制度の対象となる企業には正確なCO2排出量の算定が求められる。
算定方法には、スコープ1からスコープ3までのルールがある。スコープ1は、自社で使用した燃料の排出量が算定基準になる。例えば、工場のボイラーや社用車の燃料などが算定の対象となっている。スコープ2は、電気の使用に伴う排出が対象だ。そしてスコープ3は、自社では直接排出していない、事業活動に関連して発生する排出量まで管理して算定する。例えば、原材料の輸送や社員の出張、製品の廃棄などが対象に含まれる。
この3段階のスコープの中で、算定が複雑で会計業務に大きな負担をかけるのがスコープ3になるが、その前に、まずはスコープ1と2の算定方法を整理しよう。スコープ1と2の算定には、事業で利用した燃料の使用量や電力などの消費量といった物量データが必要になる。具体的な数値を計算するためには、年間に使用した燃料や電気の請求書や領収書を整理して、活動量と呼ばれる物量データを集計する。その物量データに環境省が公表している排出係数を掛け合わせて、排出量を算定する。ガソリンや電気の使用量がそれほど多くない事業者であれば、表計算ソフトでも対応できる。しかし、スコープ3になると手作業では対応しきれない課題がある。
スコープ3の算定に求められるデータ
スコープ3では、企業のサプライチェーンに関連する間接的な温室効果ガス排出を15のカテゴリーに分けて算定する必要がある。そのため、原料調達から製造、物流、販売、廃棄、さらには従業員の通勤や出張まで、多岐にわたる排出源を調査して計算しなければならない。15のカテゴリーは、自社が費用を支払って対価を得ているカテゴリーと、自社の手を離れた後の活動が含まれ、正確な把握が難しいカテゴリーに分かれる。具体的には以下の通りだ。
1 購入した製品・サービス
2 資本財
3 スコープ1・2に含まれない燃料 およびエネルギー関連活動
4 輸送、配送(上流)
5 事業活動から出る廃棄物
6 出張
7 雇用者の通勤
8 リース資産(上流)
9 輸送、配送(下流)
10 販売した製品の加工
11 販売した製品の使用
12 販売した製品の廃棄
13 リース資産(下流)
14 フランチャイズ
15 投資
これら15のカテゴリーは、それぞれCO2の算定方法が異なる。例えば、カテゴリー1の「購入した製品・サービス」では会計データを基に、金額ベースでCO2排出量を算定する。カテゴリー7の「雇用者の通勤」では、通勤手当などの交通費を支給額などから算定し、勤怠・経費データの整理も必要になる。
スコープ3の算定には、自社だけではなく取引先の活動も関係してくるだけに、表計算ソフトによる対応は担当者の膨大な業務負担につながる。こうした課題を解決するため、「invox炭素会計」では会計データと請求データを活用した脱炭素経営をサポートする。
請求書サービスとの連携で真価を発揮
invoxでは、invox炭素会計のほかにも受取請求書の入力・支払・計上を自動化する「invox受取請求書」というクラウドサービスを提供している。invox受取請求書では、PDFや画像データ、紙で届いた請求書などを99.9%以上の精度でデータ化して、各社の会計システムと連携して活用できる。invox炭素会計では、会計ソフトから出力されたCSVデータとinvox受取請求書の請求データを活用して、スコープ3のカテゴリーの振り分けから排出データの算定を自動化する。請求データの内容をAIで解析して、カテゴリーごとの振り分けが可能だ。会計データと請求データを活用することで計算の省力化を実現し、炭素会計に取り組む担当者の業務負担を大幅に低減できる。また、事業で排出するCO2排出量の算定だけではなく、削減の目標設定や削減の実施、そして情報開示まで、炭素会計に求められる一連の流れをサポートしていく。
スコープ3までの計算が求められるのは、「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律」の改正法では年間10万トン以上の大規模事業者に限られているが、中小企業にとっても炭素会計は重要なテーマとなっている。特に、スコープ3のカテゴリー9「輸送、配送(下流)」に関わる事業や、スコープ1の「購入した製品・サービス」の対象となるサプライチェーンに関連している中小企業は、近い将来には取引先からCO2排出量の算定を求められる可能性が高い。炭素会計に取り組まないままでいると、CO2削減を推進している他社に契約を奪われてしまうリスクもある。大手企業と取引実績のある中小企業にとって、炭素会計への積極的な取り組みは、取引先からの信頼維持や新たな契約先の獲得にもつながる可能性がある。invoxによれば、炭素会計への取り組みは、あらゆる事業者にとって地球環境の保護につながるだけではなく、新たな事業環境に対する攻めの経営にも求められているという。
「すべての事業者が脱炭素経営に取り組む社会を」というスローガンを掲げているinvoxでは、業界最安水準の料金プランでinvox炭素会計を提供し、脱炭素の潮流を後押ししている。






