NTTテクノクロスが提供する「ココナワーク」は、iPhoneからWindowsのデスクトップをリモートで利用できるクラウドサービスだ。ココナワーク(coconowork)は「coco+now+work」を掛け合わせた造語であり、オフィスにあるPCをどこからでもiPhoneで操作できるため、機動性に優れた未来の働き方を実現する。iPhone単体でWindowsのリモートデスクトップを操作できるだけでなく、モニターやキーボードを接続することで、まるでPCを使っているかのような快適な操作性を可能にしてくれる。

DX推進が遅れている中堅・中小企業に最適

 コロナ禍を経て大手企業を中心に、クラウドサービスを積極的に活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)が推進されてきた。先進的な働き方では、業務で使うシステムを全てクラウドサービスに移行させて、社内外からPCやスマートフォンで利用している。しかし、そうした理想的な業務環境を完成させている企業は少ない。現実には、オフィスのPCでなければ操作できない申請システムや役員が在席していないと承認されない決裁システムなど、ハイブリッドな働き方を実現できるDX環境が整備されていない組織も多い。オンプレミスなレガシーシステムと、「Google Workspace」「Microsoft 365」などのクラウドサービスが混在し、中途半端なハイブリッドワークを実践しているケースも少なくない。

 そうしたDX推進が遅れている社内システムでも、NTTテクノクロスのクラウドサービス「ココナワーク」を導入すればレガシーな環境を維持したまま、クラウドを活用した先進的なモバイルワークを実現できる。ココナワークの使い方はシンプルだ。まずオフィスにあるPCとiPhoneに専用アプリをインストールし、アカウントを設定する。それだけで、iPhoneからクラウド経由でオフィスのPCにリモートアクセスすることが可能だ。なお、対応OSはiOS 16~18、対応機種はiPhone 13以降となっている。

 PCとiPhone間の接続は、クラウドにあるココナワークサーバーが中継し、セキュリティ対策も施されている。通信にはHTTPS(ポート:443)を利用するため、通信内容は暗号化されており、盗聴や改ざんを防止できる。ちなみに、リモート接続されているオフィスのPCは、Windowsのログイン認証画面を表示したままになるので、社内の誰かが不用意に自分のPCを操作する心配はない。また、社外から利用するiPhoneにも電子証明書によるデバイス認証が適用されるので、なりすましによるログインのリスクも低減できる。コロナ禍において、脆弱性のあるVPN接続や社員が勝手に設定したWindowsのリモートアクセスを悪用したサイバー攻撃が多発したが、ココナワークではそうしたリスクはない。さらに、iPhoneの顔認証でログインできるので安全性と利便性も両立している。

WordやExcelも実用的に操作できる

 ココナワークは、iPhoneの画面サイズに合わせてWindowsの表示を最適化してくれる。例えば、縦向きではタスクビュー表示で、実行中の複数のアプリを一覧で表示する。一方、iPhoneを横向きにするとアプリを横長に表示できる。横長のレイアウトを持つファイルの閲覧などに最適だ。

 さらに、ココナワークは独自のソフトウェアキーボードを備えている。ココナワークのソフトウェアキーボードは、iPhoneのソフトウェアキーボードでは入力できないWindows固有のキー操作も可能だ。例えば、Windowsでは当たり前のCtrlやAltなどの特殊キーが利用可能なため、Ctrl+Aによる全選択などを操作できる。iPhone単体でもWindows PCのような操作環境を提供する。

 加えて、iPhoneにBluetoothなどでキーボードを接続し、ケーブルや「AirPlay」のミラーリング機能などで外部モニターを利用すれば、Windows PCを使っているような環境を構築できる。「Microsoft Word」や「Microsoft Excel」などは、iPhone用のアプリも提供されているが、本格的な文書作成や計算作業となると、やはりWindows版のアプリを使いたくなる。かといって、常にノートPCを持ち歩くのは荷物になる。しかし、軽量なiPhoneならば持ち運びに困ることはない。そのiPhoneでWindows版のアプリを実用的に操作できるようになると、働き方も変わってくる。

社内のレガシーシステムとの連携で真価を発揮

 冒頭でも触れているが、ココナワークを必要としている企業は、DX化の進んだ大手企業よりも、レガシーシステムからの移行に悩む中堅・中小企業になる。社内業務をオンプレミスのアプリで対応していれば、ココナワークを導入するだけで、社内システムに変更を加えることなく、各社員のPCがリモートワークの窓口になってくれる。その恩恵を特に受けられるのは、外回りが多い営業職や保守点検、物流、各種フィールドワーカーだ。さらに、出張の多い経営者にも導入効果は期待できる。ココナワークを使えば、役員が接待ゴルフの3番ホールにいながら、部下から申請された稟議書や見積書をiPhoneで承認できる。複雑で高価な承認用クラウドサービスを新規に導入しなくても、役員室の机でPCを操作するような感覚で、iPhoneからレガシーアプリをリモートで操作可能だ。

 中堅・中小企業のDX推進を阻んでいるのは、導入コストやクラウドサービスに対する技術的な不安感が大きいと考えられがちだ。しかし、意外な抵抗勢力は「人」にある。多くの企業を取材していると、ベテラン社員ほどシステムの変更を嫌う傾向が強い。それは、メール一つとっても当てはまる。例えば、オンプレミスのメール環境をクラウドサービスに移行しようと提案しても、「受信トレイに保存されているメールは資産だ」と言って、手元のPCにデータが残らないことに異を唱える社員もいる。日々の業務に追われている社員ほど、これまで使っていたシステムが変わって新しい操作を覚えなければならない、という変化に抵抗を示す。

 そうしたDX推進の障壁に対して、ココナワークは多くの課題を解決してくれる。特に社内のシステムを変更しなくて済む柔軟性は、IT管理者の少ない中堅・中小企業にとって大きなメリットとなる。一般的なリモートデスクトップでは、外から利用する社員にもPCが必要になるが、ココナワークならばiPhoneだけで完結するので、投資コストも低く端末の管理も簡素化される。そうした運用面でのメリットも加えて、中堅・中小企業のDX推進と未来の働き方に向けた改革を推進できるココナワークは、ワークスタイル変革の旗手といえる。NTTテクノクロスでは、「働くことをもっと自由に、スピーディーにできるように、未来の働き方を実現していきたい」という想いをココナワークに託している。