AXSEEDが提供する「SPPM AI」は、安全なファイルのバックアップや共有を実現するセキュアストレージだ。本製品のユニークな点は、AIによる議事録作成機能を搭載していることだ。この機能により、会議後にかかる業務時間を大幅に短縮できる。さらに、安否確認やアンケート集計の機能も備え、総務部門などが求める働き方改革にも貢献する。セキュアストレージとAIがもたらす新しい働き方の可能性を、多彩な機能を備えたSPPM AIを通じて探っていく。
1ライセンスから始められる
「SPPM AI」は、セキュリティ向上と業務改善をサポートするセキュアストレージだ。Windowsの専用アプリを使用すれば、指定したフォルダー内のファイルを自動で暗号化してクラウド上のストレージにバックアップしてくれる。バックアップしたファイルは、ダウンロードURLやプレビューURLを通じて他のユーザーと共有できる。
クラウドを活用したストレージサービスは各社が提供しているが、SPPM AIの強みは国内ベンダーの自社開発による高い信頼性と、優れたコストパフォーマンスにある。初期費用や月額基本料、初月利用料金がかからないことに加え、1ライセンスから契約が可能なため、小規模な企業から大手企業の事業所や部署単位まで手軽に導入できるのだ。
さらに、サービスの名称にも記載されているように、SPPM AIの最大の魅力はストレージサービスとAIの組み合わせにある。SPPM AIでは、セキュアストレージにアップロードされた動画や音声ファイルをAIが解析し、文字起こしと要約を自動生成する「議事録作成支援」機能を備えている。要約の内容はプロンプトによって柔軟に指定でき、管理者やユーザー、業界ごとに辞書を設定することも可能だ。人手による議事録作成と比べて大幅な業務の時間短縮を実現する。
オンライン会議の文字起こしや要約機能は、「Microsoft Teams」(以下、Teams)や「Zoom」「Google Meet」などでも提供されている。ただし、これらのサービスを利用するには、いくつかの条件を満たす必要がある。例えば、Zoomではプロ、ビジネス、教育機関向け、またはエンタープライズ アカウントの契約が必須となる。加えて、議事録を作成するためにはZoomとは別に何らかの生成AIを使う必要がある。一方で、生成AIによる要約サービスを提供している「Microsoft Copilot」「Gemini」などを利用するためには、「Microsoft 365」「Google Workspace」を契約しなければならない。ZoomやTeamsによる文字起こしと議事録作成の作業手順とライセンス費用をトータルすると、1ライセンス当たりのコストはかなりの額になる。
それに対してSPPM AIの議事録作成支援機能は、期間限定で契約ユーザーに無償提供している。さらにオンライン会議だけでなく、スマートフォンやICレコーダーなどの録音データにも対応しており、コストパフォーマンスの高さが際立つ。AI導入に当たり価格面で慎重になっている企業への導入を後押しする有力な提案となるだろう。
総務部への提案に使える安否確認機能
SPPM AIは、AIによる文字起こしや要約機能に加え、オプションとして「安否確認」の機能を提供している。この機能は、緊急地震速報などの災害情報と連携し、従業員の勤務地に応じてアプリや登録済みのメールアドレスへ安否確認の通知を送信することで、災害時の迅速な状況把握を可能にする。情報システム部門のない小規模な事業所でも、「安否確認」というアプローチで、総務部や人事担当者にSPPM AIを提案できる機会が広がる。
さらに、部署や部門を問わずに提案できるオプション機能として「アンケート」も用意している。アンケートの項目を設定して回答を収集すると、AIが結果を解析してグラフ化してくれる。自由記入の項目に対するテキストマイニングも可能なため、大規模なアンケート集計や社員の意識調査などに活用できるのだ。
厚生労働省は、2024年10月に「労働安全衛生法」で定められたストレスチェックの義務を50人未満の事業所にまで拡大する方針を示している。働き方改革の一環として、働く人のメンタルヘルス対策の強化が求められる中で、アンケートによる社員の意識調査は重要な取り組みとなるだろう。SPPM AIのアンケート機能は、そうした課題に応えてくれる。
PPAP対策にも効果を発揮する
SPPM AIは、数年前から話題となっているPPAP対策にも効果的だ。PPAPとは、「Password付きZIPファイルを送信」し「Passwordを別途に送信」して「Ango化(暗号化)」された「Protocol(プロトコル)」を用いる、という一連の手順の頭文字を取った用語だ。人気動画に便乗した用語としても注目され、メールの添付ファイルによる情報漏えい対策に取り組んできた多くの企業に衝撃を与えた。官公庁がPPAP方式による添付ファイルの受信を拒否するようになってから、その対応策はあらゆる企業で急務となっている。
SPPM AIでは、メールにファイルを添付するのではなく、セキュアストレージにアップロードしたファイルの共有URLやダウンロード用のURLを相手に送る。アップロードされたファイルのウイルスチェックやセキュアなデータ転送をサポートしているため、情報の安全性も確保されている。さらに送信者はZIPファイルの作成やメール添付の手間を省け、受信者もZIP解凍やパスワード入力を行う必要がなくなるのだ。
SPPM AIのセキュアストレージは、Windowsの専用アプリを使うアップロードの方法とは別に、Webブラウザーからも利用できる。Webブラウザーからのアップロードでは、最大で1GBまでのファイルを送信可能だ。ただし、300MBを超えるファイルに関しては、ウイルススキャンの対象外となるので注意してほしい。ちなみに、Windowsの専用アプリでアップロードする場合は、ファイルサイズに上限はない。
SPPM AIというセキュリティが確保されているクラウドサービスへのファイルのバックアップは、ランサムウェア攻撃が増加している現在において、注目すべき情報セキュリティ対策にもなる。オンプレミスで保持しているファイルがサイバー攻撃の標的となっているだけに、SPPM AIの提案は事業継続性の観点からも多くの事業者に安心をもたらすはずだ。

