Digital Marketing
矢野経済研究所は、国内のデジタルマーケティング市場を調査した。本調査においてデジタルマーケティングとは、CRM、MA、CDP市場を対象としている。
2024年の国内のデジタルマーケティング市場は、3,672億4,000万円となった。2025年の同市場は前年比114.1%の4,190億2,000万円に達すると見込んでいる。市場拡大の理由としては、デジタルマーケティングツールの機能進化と、それに伴うユーザー企業の利用部門・利用者数の拡大が挙げられる。
これまでデジタルマーケティングツールは特定の機能に特化したツールが主流だった。しかし現在は、CRMやMA、CDPといったツールの機能が拡張・融合し、顧客接点業務を包括的に支援する多機能型や統合型を志向するツールが増えている。こうした多機能化や統合化の流れは営業部門やマーケティング部門のみならず、カスタマーサポート部門やバックオフィス部門まで利用部門を拡張し、ツール利用者の増加につながった。また、AIの活用に取り組むユーザー企業では、自社データを整備する動きが活発化している。AI活用に当たっては、顧客データを蓄積・収集することからデジタルマーケティングツールを導入・活用する機運が高まっており、市場の拡大を後押ししたと分析している。
CRM・MA・CDPにもAIの波が到来
近年、デジタルマーケティングツールベンダーが行う機能開発は、生成AIを含むAI機能の拡充を主眼としたものが多い。ベンダー各社は、業務効率化や生産性向上、パーソナライズされた顧客体験の提供を目的としたAI機能を自社製品へ積極的に組み込んでいる。
例えばCRM領域では、生成AIを活用し、商談履歴の要約や見込み顧客の育成、広範な問い合わせへの自動応答といった機能開発が進み、現場の生産性向上に貢献している。MA領域では、マーケティング担当者の実務負担を軽減し、施策効果を最大化することに焦点を当てた機能開発が進められている。具体的には、生成AIによるメール件名や本文の自動作成、キャンペーンコンテンツの自動作成支援、顧客理解を深めるための分析機能などが該当する。
CDP領域では、テキストや画像などの非構造化データおよびリアルタイムデータの処理能力を強化し、より高度なパーソナライズドマーケティングの実践を支援する機能の拡充が図られている。
今後は、機能強化の追求はもとより、高度なデジタルマーケティングの技術をいかにユーザー企業が使いこなし、ビジネス成果に結び付けられるかが市場成長のポイントになると指摘している。

※2025年は見込値、2026年以降は予測値。
※市場規模はMA、CRM(SFA含む)、CDPを対象とした。
2024年の国内サービス市場は8兆8,166億円
Services
IDC Japanは、国内サービス市場予測を発表した。本調査のサービス市場には、IT系のサービスで構成される「ITサービス市場」、およびビジネス/業務系サービスから成る「ビジネスサービス市場」が含まれる。さらに、コンサルティング/構築系の「プロジェクトベース市場」、運用、業務委託系の「マネージドサービス市場」、保守、トレーニング系の「サポートサービス市場」に分類して調査を行った。
2024年の国内サービス市場は前年比7.2%増の8兆8,166億円で、全体的に順調な成長を示した。そして、2029年の同市場は12兆1,651億円、2024〜2029年の年平均成長率は6.7%になると見込んでいる。市場成長の背景には、デジタル化に向けた変革支援、レガシーシステムのクラウド移行やモダナイゼーション、デジタルイノベーションの実現に向けた新しいシステム開発の需要が高いことなどがある。上記分類の中でも、特にプロジェクトベース市場が成長をけん引した。2024年のプロジェクトベース市場は前年比10.4%増の3兆5,728億円だ。同市場は、2029年に5兆5,159億円になるとみている。
マネージドサービス市場も、2024年に堅調に成長した。包括的なITアウトソーシングに加え、マネージドクラウドサービスやサービスプロバイダー向けコロケーションサービス、また人事、財務/経理、調達/購買といったコア業務の外部委託の需要などが高いことから、同市場の拡大を押し上げた。

※数値は「ITサービス市場」と「ビジネスサービス市場」の合算。
クラウド型DLP市場は好調
Cloud Data Loss Prevention
アイ・ティ・アール(以下、ITR)は、国内のクラウド型DLP(Data Loss Prevention)市場予測を発表した。
クラウド型DLP市場の2023年度の売上金額は44億6,000万円、前年度比31.6%増となった。2024年度は同27.4%増の56億8,000万円を予測している。企業では、機密情報や重要データをクラウドサービスに格納したり、共有したりする機会が増加している。それに伴い、利用中のクラウドサービスからの情報漏えいリスクも高まっており、情報漏えい防止や情報保護を目的とした需要が拡大している状況だ。これを踏まえ、同市場の2023〜2028年度の年平均成長率は13.6%、2028年度には84億2,000万円に達する見込みだ。
ITRのアナリストである中村 悠氏は、次のようにコメントしている。「ゼロトラスト環境におけるセキュリティ対策の必要性が叫ばれて久しく、近年では、その有効な手段として、SASE(Secure Access Service Edge)ソリューションが普及しつつあります。SASEは、CASB(Cloud Access Security Broker)やSWG(Secure Web Gateway)など複数のコンポーネントから構成されており、クラウド型DLPもその一要素に位置付けられ、業種や従業員規模を問わず導入が拡大しています。企業においては、利用するクラウドサービスごとに適切なセキュリティ設定と定期的な見直しが不可欠ですが、加えて、クラウド型DLPを情報漏えい対策として採用することで、より高度なセキュリティレベルを実現できます。今後もクラウドサービスの利用拡大が見込まれることから、クラウド型DLP市場のさらなる成長が期待されます」
