調査分析に特化したエージェント「リサーチツール」
企画書やレポートの作成に生成AIを利用している人でも、それはあくまでもヒントや材料を集めるための使用で、そこから内容を膨らませて構成していくのは人力の作業だったのではないだろうか? Copilot Chatに尋ねてもポイントの要約が連なる感じの1,000文字程度、A4で1〜2枚分の回答が返ってくる場合が多い。
しかし、Copilotの「リサーチツール」を利用すれば、広範囲の深い検索結果を理論立ててまとめてくれる。文章量もA4にして10枚以上で、生成した文章の元となった参照リンクも明示してくれる。そのまま提出はできないが、企画書などのメインの材料にできるだろう。
「リサーチツール」はエージェント、つまり特定の機能に特化したAIだ。汎用のCopilotよりも特定の目的で力を発揮する。エージェントはユーザーが作成することもできるが、マイクロソフトからも2種のエージェントが標準提供されていて、その一方が調査分析に特化したリサーチツールだ。
使い方は簡単で、Copilotを起動した後、左側のChatメニューから「リサーチツール」を選択。すると、入力用ウィンドウが開くので、そこにプロンプトを入力すればいい。


「リサーチツール」はここまでできる
Copilot Chatとどう異なるか、同じプロンプトで訊いて比較してみよう。「弊社はクラウドサービスやSaaSベンダーを企業に提供するディストリビューターです。地方自治体と連携して地方創生にかかわる新しいビジネスを展開したいと考えています。どんなアプローチが考えられるでしょうか?」という問いを両者に投げてみた。プロンプトは長くなっても大丈夫だ。
Copilot Chatでは10秒強で約1,200字の回答を出してくれた。「社内の取り組みと関連資料」「外部の事例と参考情報」「考えられるアプローチ」という構成だ。アプローチは「地域DX支援プログラムの提供」など、4つを表組であげてくれた。情報については、リンクがメインで解説は1〜2行だった。
一方「リサーチツール」は最初に対象や形式などを具体的に指定できるか聞いてくる。そのまま「進めてください」を選ぶと生成が開始され、回答が返ってくるまでに10分弱かかった。回答は約12,000字。Copilotの10倍だ。「地方自治体と連携した地域創生ビジネス戦略」というタイトルがついていて、「はじめに」「地方創生の背景と課題」「地域創生に向けた具体的アプローチ」「おわりに:成功に導くポイント」の順に見出しが並ぶ。これは回答というより、もはやレポートだ。「地域創生に向けた具体的アプローチ」の部分が最も充実しており、多岐にわたるアプローチを包括している。いちいちリンクを見に行かなくても、事例などの内容を読むだけで理解できる。情報の偏りも感じられず、信頼のおける内容だ。
そして「おわりに」では、「テクノロジーと人、行政と民間を繋ぐ架け橋」としての役割を担うことが重要だとまとめ、重要な参照元のリンクも脚注的に表示してくれている。
このように「リサーチツール」は、Copilot Chatとは回答の質と量のレベルがまったく異なっている。







「リサーチツール」の活用法
「リサーチツール」は、Copilotの標準機能だけでは得られないような深い情報収集と分析に大いに活用できるレポートの利用法もさまざまだろう。事前に「リサーチツール」で予習をしておけば会議のスタート時の理解が深まり、限られた時間の中でもより高度なミーティングが可能になるだろう。結果的に会議時間の時短につながるかもしれない。