日常生活に溶け込むAI製品を開発

VISION INTELLIGENCE
viaim Marketing director 兼 広報
担当者

 10年以上にわたり音声認識と自然言語処理を中心としたAI技術を磨き、スマートデバイスを開発してきた技術者によって誕生したブランド・viaim(ヴィエイム)。そんなviaimの最新ガジェットが、AIワイヤレスイヤホンの「viaim RecDot」だ。11mmのチタンコーティング振動板を採用したダイナミックドライバーがクリアなサウンドを響かせ、ワイヤレスイヤホンとしても高品質を実現している。さらには通話用マイクに加え、フィードフォワードマイク、フィードバックマイク、骨伝導マイクという三つのマイクも搭載し、快適な通話も行えるのだ。

 viaimは働き方の未来のために、viaim製品の専用アプリやクラウドと製品を連携させたAI機能を提供している。viaim RecDotを開発した香港のHONG KONG FUTURE INTELLIGENT TECHNOLOGYの日本総代理店であるVISION INTELLIGENCEにて、viaim Marketing director 兼 広報を務める担当者は、viaim RecDotの開発背景をこう語る。「AIを利用してユーザーの役に立ちたいという思いが開発の出発点です。その思いからイヤホンを作った理由は、AIを日常生活に溶け込ませたいと考えたためです。ビジネスをはじめさまざまな生活シーンでAIが使いやすくなるよう、イヤホンに組み合わせました」

viaimの専用アプリで録音データのマインドマップを作成した様子。会話の内容が構造的に表示され、内容をすぐに理解しやすくなっている。

 viaim RecDotで使えるリアルタイムでの文字起こしや翻訳などのAI機能は 、スマートフォンで利用可能なviaim製品専用アプリとの連携で使用できる。文字起こしや翻訳に必要な音声の録音は、ケースにある赤いボタンを押すか、イヤホン下部を長押しすることで始められるのだ。通話録音、音声/ビデオ録音、現場録音ができ、通話録音ではWeb会議の録音も行える。

 現場録音は最大7mの範囲で集音でき、イヤホンをケースに入れたままでも録音が可能だ。例えば対面の会議では、イヤホンを付けたまま参加すると無礼に思われる可能性がある。そうした際は、viaim RecDotのケースのふたを開けておけば録音ができるのだ。

 ちなみに文字起こし・翻訳が行える言語は、2025年10月時点で日本語、英語、中国語のほか、スペイン語、ドイツ語など全78言語だ。地域ごとのバリエーションも含めると、全145言語に対応する。

 録音とともにテキスト化されたデータは、viaimが日本国内で運営するサーバーを介して要約やToDoリストの作成が行われる。また最新版のアプリでは、会議の要点を視覚的に整理・共有可能なマインドマップも生成できるのだ。筆者も実際のインタビューで利用してみたが、取材対象のテーマを起点に情報が系統図で正確に整理されていた。

インバウンド向け用途で活躍

 viaim RecDotは、文字起こし・翻訳したデータを最大300人までリアルタイムで共有できる「テキストライブ」機能を備える。このテキストライブ機能に着目したのが、長野県松本市にある完全インバウンド向けの体験型レストランだ。このレストランでは、食事をしながら侍の殺陣パフォーマンスが楽しめる。インバウンド向けである以上、観客は多国籍になるため、殺陣パフォーマンスの音声を多言語に翻訳する方法を探していた。そこで、viaim RecDotに着目したとのことだ。

 このレストランがviaim RecDotを活用する理由には、コスト面もある。viaim RecDotはAI利用において、「Basic」「Pro」「Ultra」の3種類のプランを用意している。Basicプランは毎月600分まで無料で文字起こしでき、Proプランは月額1,500円、もしくは年額1万2,000円で月1,800分、Ultraプランは月額3,000円、もしくは年額2万2,000円で無制限の文字起こしが行える。viaim RecDotの本体購入とPro/Ultraプランの導入で長時間のAI文字起こしが使えるので、コストパフォーマンスが高いのだ。

録音データのセキュリティに配慮

 ビジネスにおけるAI利用で気になるのは、やはりセキュリティだろう。viaim RecDotのAI機能は、OpenAI、Anthropic、GoogleのLLM(大規模言語モデル)を利用している。viaim側でユーザーが録音したデータを処理したり、トレーニングに使用したりすることはないため、安心して使用可能だ。viaim RecDotはあくまで現場や会話などの音をキャプチャーするエッジデバイスとして機能し、集音した情報はアプリとクラウドを介して処理されていく。

 viaim RecDotは今後もアプリやAIの進化に合わせて、利用できるAIモデルやテキストデータの処理を進化させる予定だ。Webから現地、そしてグローバルでのコミュニケーションなど幅広い用途で活躍するAIアシスタントとして、働き方の未来を広げていく。