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窓口申請のデジタル化で滞在時間を削減

窓口申請のデジタル化で滞在時間を削減

2021年08月30日更新

窓口申請のデジタル化で滞在時間を削減

新型コロナウイルス感染防止対策の一つが、人との接触機会を減らすことである。市民と接触機会の多い自治体の窓口業務においても、コロナ禍で非接触の対応が求められている。そうした非接触での窓口業務を実現するため、NECとNECソリューションイノベータとともに「窓口申請のデジタル化に向けた実証実験」を開始したのが、兵庫県宝塚市だ。実証実験の概要や取り組みについて話を聞いた。

窓口での感染リスクを抑える

兵庫県宝塚市
兵庫県の南東部に位置する人口約23万人(2021年7月時点)の施行時特例市。宝塚大劇場をはじめ、安産祈願の中山寺やかまど(台所)の神がまつられる清荒神清澄寺といった神社仏閣、漫画家の手塚治虫氏の記念館など芸術に溢れた数多くのスポットがある。

 新型コロナウイルスの猛威はとどまることを知らず、東京都では4度目の緊急事態宣言が発出(2021年7月12日~8月22日予定)された。全国の自治体においても、感染拡大を食い止めるための取り組みは必須と言えるだろう。「新型コロナウイルスの感染者数の増加を受け、当市でも感染防止対策が急務となりました。感染リスクを低減するための取り組みとして、3密を回避し、利用者の滞在時間を減らす手段を模索していました」(兵庫県 宝塚市 企画経営部 市民生活室 窓口サービス課 担当者)

 そうした状況の中、宝塚市役所がNECとNECソリューションイノベータとともに開始したのが、窓口申請のデジタル化に向けた実証実験だ。行政サービスにおける新型コロナウイルス感染防止対策の一環として、住所変更の届出および住民票の写しの交付請求を行う利用者の窓口滞在時間の削減を目的に、2020年6月22日から取り組みをスタートした。当初は、2020年9月末日までの予定だったが、運用面の課題や市民からの問い合わせ動向などを洗い出すことを目的に期間を延長し、2021年10月末日までの実施を予定している。

事前の書類作成で滞在時間削減

 実証実験の内容は、NECソリューションイノベータの「NEC 窓口改善ソリューション」を用いて、事前にスマートフォンやPCなどで必要事項を入力し、表示される二次元バーコードを窓口でかざして申請を行うというものだ。「窓口の混雑による密集や申請書の記載台の利用による接触感染などの感染リスクを低減する対策に資するものであると判断し、実証実験の実施に踏み切りました。申請書を“書かない”、記載台に“触らない”仕組みによって、市役所の滞在時間の削減や衛生面に配慮した新しい窓口の実現を目指して検証を進めています」(担当者)

 本実証実験の窓口申請の流れは以下の通りだ。

1.利用者が事前にスマートフォンやPCを用いて必要事項を入力。入力後に申請情報が二次元バーコードに変換されて表示される。

2.二次元バーコードを市役所の届出窓口に設置されたスキャナーで読み込む。必要事項が印字された申請書が印刷される。

3.申請書に署名を行い、職員が内容を確認して申請完了。

 利用者の申請情報を変換する二次元バーコードには、コード情報に公開・非公開を設定し、読み取り情報を制限できるQRコード「SQRC」(セキュア機能搭載QRコード)が用いられている。SQRCは、専用の読み取りリーダーのみでの対応となり、ほかの機器での読み取りは行えない。個人情報を秘匿化できるため、セキュリティ面も安心だ。

 申請書の作成においても特長があると担当者は話す。「申請書の作成画面は、一問一答形式で入力でき、誰でも使いやすいUIであることが特長です。アプリのインストールやログインといった煩わしい作業も不要です。場所や時間を問わず申請書を作成できる点もメリットと言えるでしょう。利用者からのアンケートでは96%が満足したという回答を得られています」(担当者)

 実証実験では、感染リスクを低減する効果だけではなく、窓口対応を行う職員の作業効率の向上も実感できているという。「紙ではなく、スマートフォンやPCで申請書類を作成することで、申請書の記入漏れや記入ミスが減りました。その結果、平均21分かかっていた1件当たりの滞在時間が、平均11分まで減少しました。職員からは、『申請書の書き方の案内が不要になり、応対時間を短縮することができた』という効果を実感する声がありました」(担当者)

行かない窓口の実現に向けて

 実証実験を通して、得られている効果は大きいという。利用者の高い満足度と業務効率の向上という効果を実感し、職員のモチベーションアップや庁内の改革意識の働きかけにもつながっていると担当者は話す。「おくやみ手続きコーナーの設置、キャッシュレス、マイナンバーカードによるスマート申請の導入、そしてEBPM(客観的なエビデンスを活用して、政策の効果的・効率的な決定・運営を目指すこと)といった新たな取り組みにつながりました。年間1万5,000人以上の市民と接する部署だからこそ、知ることができる市民のリアルな声は、変革に必要な本質であり、市役所全体の変革へとつなげていきたいと考えています」

 続けて次のように展望を語った。「2040年問題や新型コロナウイルスの感染拡大により、人々の暮らしや価値観は大きく変化しています。今後は、市民や地域、そして職員が価値を感じられるようなサービスを提供し続ける仕組みの構築が必要となるでしょう。今回の取り組みである“書かない窓口”は、ニューノーマル時代に向けての第一歩として捉えています。これからの段階的な展開として、窓口の事前予約などによる“待たない窓口”、そして自宅から申請することで“行かない窓口”の実現を目指していきます。その先には、市民一人ひとりにパーソナライズ化されたサービスを行政側から提供していく『プッシュ型サービス』を実現するというビジョンを描き、展開していきたいと考えています」

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