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遠隔窓口業務でサービス向上と業務効率化を図る神戸市の取り組み

遠隔窓口業務でサービス向上と業務効率化を図る神戸市の取り組み

2021年02月24日更新

非対面で窓口業務の効率化を実現
~遠隔相談システムを導入した兵庫県神戸市~

兵庫県と神戸市の関係機関は共同で新長田駅南地区の活性化と県民・市民サービスの向上を目的として「新長田合同庁舎」への移転を行った。庁舎に移転することになった機関が市役所本庁や各区の税務部門だ。それに伴い税務部門で導入を開始したのが、沖電気工業(以下、OKI)が提供する遠隔相談システム「相談上手」だった。導入の背景を神戸市行財政局に聞いた。

場所を問わず業務を継続したい

 1995年に発生した阪神・淡路大震災で甚大な被害を受けた兵庫県神戸市の新長田駅南地区。震災後、再開発により新長田駅南地区は巨大ビルが立ち並ぶ街となったが、商店街の店舗は空きが目立ち、従業者の減少が課題として挙げられていた。そこで兵庫県と神戸市はそれぞれの行政機能の一部を同地区へ共同移転した。職員や来庁者による新たな人の流れ「にぎわいの創出」を生み出し、地域活性化を図ったのだ。

 同地区への共同移転に伴い、神戸県民センター(県民交流室・県税事務所)や兵庫県住宅供給公社などに加えて新長田合同庁舎へ入居することになったのが、市役所本庁や神戸市内9カ所にある各区市税事務所の税務部門だ。税務部門を集約したことで、働き方改革による業務効率化や生産性の向上、事務の集約によるコスト削減などさまざまなメリットにつながっている。

 その一方で移転にあたり行政サービスを提供する上での課題も生じた。「各区役所には、市税に関する証明や市税収納、分納相談などの各種手続きができる『市税の窓口』が設けられましたが、新長田合同庁舎に各拠点の専門的なスキルを有する職員が集約されたことで、市民が最寄りの区役所で税務相談を受けられなくなってしまうという問題が生じました」と神戸市 行財政局 税務部の担当者は説明する。

 そうした課題を解消するため、税務部門で導入したのが、OKIの遠隔拠点から住民向けの窓口サービスが行える遠隔相談システム「相談上手」だった。「新長田合同庁舎にいる職員と各区の市税の窓口をリモートでつなげられれば、移転前と変わらず市民に対して相談業務が行えるようになります。市民サービスの質を落とすことなく、業務を継続して行えるのではないかと考えました」と担当者は話す。

対面と同等のサービスを提供

 2019年8月末、新長田合同庁舎への移転と同じタイミングで相談上手を導入し、税務部門での遠隔による窓口業務対応が始まった。相談上手は、Webカメラを備えたタッチ対応ディスプレイ、市民が持参した書類などを映すネットワークカメラを搭載したスキャナー、利用者に渡す書類を出力するためのプリンターで構成される。職員側のオペレーター端末はWebカメラを備えたクライアントPC、ヘッドセット、A3スキャナー、通知を知らせる着信ランプ・ブザーなどを利用する。神戸市の各区役所では、2 ?3台の端末機器を設置し、合計29台が稼働している。新長田合同庁舎側は、25台を用意し、各担当部門に相談対応業務のための専用ブースを設けて対応する。利用方法は以下の通りだ。


■相談上手の利用手順

①利用者はディスプレイから相談種別(「個人市民税」「固定資産税」「軽自動車税」「税の還付・口座振替」)を選択してボタンをタッチする。

②新長田合同庁舎側の端末に届いた通知に担当職員が応答ボタンを押して、ビデオ通話を開始する。

③持参した書類などがあればスキャンを行い、書類を提出したり職員と情報共有したりする。


 相談上手の活用ポイントについて担当者は次のように説明する。「Webカメラやディスプレイは、オフィス向けのWeb会議システムと同様の機器が使われています。市民が持参した書類は、スキャナーの所定の位置に置くだけで、職員側のディスプレイに表示されます。職員は映像を通じて本人確認書類や必要書類の内容を確認、市民が書類に記入している様子を見ながら、その場でアドバイスも行えます」

 市民と職員の距離が離れている分、書類などの情報共有はスムーズに行いたい。リアルタイムの映像表示に対応していないスキャナーは撮影した映像を一度、映像信号に変換してから送信するため、遅延が発生してしまう。これに対して、相談上手で利用するネットワークカメラはリアルタイムでの映像表示が可能だ。読み取りの待機時間などの無駄な時間が発生せず、能率的に業務を進められる。

感染症防止対策にもつながる

 対面の窓口業務が画面越しになったことで、当初は市民が戸惑わないかなどの不安があった。しかし、通話を開始してしまえば、対面業務と同様のやりとりが行えることから、現在までトラブルもなく運用できている。「相談上手の導入により、庁内の業務効率化を図れただけではなく、市民に対しても移転以前と遜色のないサービスを継続して提供できています」と担当者は導入効果を話す。非接触型で業務が継続できるため、新型コロナウイルスの感染症防止対策にもつながっている。

「 現在はコンビニエンスストアで住民票が受け取れるなど区役所や市役所を利用しなくても、市民サービスが受けられるようになりましたが、来庁を必要とする手続きもあります。より良いサービスの提供ができるように現状のシステムに満足することなく、市民や職員の意見を反映しながらサービスの向上に努めていきます」と担当者は展望を語った。

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