人手不足や業務の省力化を
AI-OCRによるデジタル化で解決

AI inside
DX Suite

生産年齢人口の減少で人手不足が問題になっている。そのためデータ入力・整理といった単純作業を自動化し、業務を省力化することが求められている。加えて散在した紙の書類をデジタルデータ化し、効率的なデータ活用を行うことも重要だ。こうした業務改善にはAI-OCRの導入が有効だが、自動化したい特定作業のことだけを考えていては、期待していたほどの生産性向上を実現できないケースもある。AIを用いた業務の自動化とデータ活用の効果を最大化するための方法を、AI insideに聞いた。

生産年齢人口の減少による
人手不足が課題に

 内閣府が2023年6月20日に公表した「令和5年版高齢社会白書」によると、出生数の減少に伴って15〜64歳の生産年齢人口も減少を続け、2032年には6,971万人と7,000万人を割る予測だ。こうした状況の影響で、企業では人手不足が問題になっている。AI inside Business Groupの大木淳一氏は、人手不足の現状について次のように話す。「当社のお客さまやパートナー企業と会話する中で、全国的に人手が足りていないことを実感しています。生産性向上のためにアウトソーシングを行う企業もありますが、アウトソーシング先の企業も人手不足の状況です。人手不足は今後も継続していくと思います」

 現状を踏まえて大木氏は、人手不足の解消に必要なのは業務の省力化だと語る。「人が減っても業務内容は変わらないので、業務プロセスそのものを変革する必要があります。単純に仕事を断捨離するだけでなく、AIをはじめとした最新テクノロジーを導入し、業務の自動化やデータ活用を行うと良いでしょう」

 続けてAI inside Development Groupの三谷辰秋氏も、企業における自動化やデータ活用の重要性をこう語る。「業務の自動化やデータ活用は人手不足を解消するだけでなく、日本の国際競争力向上にも寄与します。データ入力や整理にかかる時間を削減することで、新規ビジネスの創出など、大きな価値を生む取り組みに注力できます。また老舗企業ですと、創業時からのノウハウが紙で残されているケースもあるでしょう。そうした情報をデジタルデータ化して活用することで、次の世代の研究開発につなげられます」

左:Development Group Use Division Director 三谷辰秋
右:Business Group Partner Sales Division Director 大木淳一

AI-OCRでデジタル化を支援し
企業の生産性向上を推進

 業務の自動化やデータ活用を実現するために、AI insideはAI-OCRサービスの「DX Suite」を提供している。紙・PDF・画像で授受される申込書や領収書などの書類を高精度でデジタルデータ化するほか、まとめてアップロードした複数の帳票を種類ごとに自動で仕分けることも可能だ。

 DX Suiteの主要機能を担うのが、アップロードした帳票をデジタルデータ化する「Intelligent OCR」だ。活字のほかに手書きの文字も高い精度で読み取ることができ、二重線/訂正印で消された文字や、枠からはみ出した文字、複数行にわたって書かれた文字、英語・中国語・タイ語・ベトナム語も正確に読み取りが行える。アップロード元の帳票がファクスや紙の帳票の写真であっても、高い精度で読み取りが可能だ。また、各種申込書やアンケートといったフォーマットが固定である定型帳票のほかにも、請求書や領収書といった発行元によってフォーマットが異なる非定型帳票の読み取りもできる。

 DX Suiteには、アップロードした帳票を自動で仕分ける「Elastic Sorter」機能もある。注文書や領収書を発行した企業ごとに分けることが可能だ。仕分けをした後にIntelligent OCRでデジタルデータ化をすれば、経理や事務担当の帳票管理の負担削減が行える。

 DX SuiteをAPIで他システムと連携すれば、さらに業務の自動化やデータ活用を推進できる。例えば複合機と連携すれば、スキャンした原稿をそのままDX Suiteで読み取れる。ほかにもRPAと連携すれば、文書管理システムに帳票のデジタルデータを登録したり、会計システムに清算書の内容を入力したりする作業の自動化が行える。

 AI-OCRを使用する際に不安なのは、プライバシーだろう。読み取りを行う書類には、顧客との契約内容や住所など、機密情報や個人情報が書かれているケースが多い。そのためDX Suiteは、AI学習データ提供の許可/不許可を選択できる「プライバシーコントロール」機能を搭載している。外部に漏らしたくない情報はAI学習データ提供を不許可にすることで、他社のデータを扱うBPOや、個人情報を大量に取り扱う金融・自治体も安心して使用できるのだ。

 さらにDX Suiteは、2023年12月にサービス提供価値を一新する二つのアップデートを行った。一つ目は、定型・非定型などのフォーマットに関係なく、あらゆる帳票を読み取れる「項目抽出」機能の実装だ。これまで読み取りが難しかった非定型帳票でも、学習不要で即座に読み取りが行える。

 二つ目は、生成AIを活用した新機能群「Extensions」の実装だ。帳票デジタル化に後続する業務まで自動化し、DX Suiteの適応業務を拡張するさまざまな新機能が追加されていく。現在は、帳票に記載された情報を読み取るだけでなく、後続業務で利用されるExcelファイルへの転記まで一気通貫で自動化できる「ファイル転記」機能を利用できる。独自のフォーマットであっても、AIがファイルを解析し、指定の項目へと正確にデータを転記する。書類のデジタルデータ化にとどまらず、その先の業務における作業の自動化やデータ活用までDX Suiteで支え、企業の生産性をより向上させていく。

 三谷氏は、DX Suiteを「分かりやすいUIで提供しているため、初めてAI-OCRを利用する方でも簡単に使えます。今後のさらなる機能追加により、顧客のデジタイゼーションの入口として活用できるだけでなく、デジタイゼーションの先の業務まで支援の幅がどんどん広がります。AIの導入効果を最大化するためには、業務プロセスそのものの変革が重要です。あらゆる単純作業をAIが実行する業務プロセスを構築し、それを常識にすることで、定型・非定型や仕分けといった概念自体をなくします」とアピールする。

地方企業にも展開し
ユーザー企業の利便性を向上

 大木氏は、ダイワボウ情報システム(DIS)との連携による期待について「地方では、デジタイゼーションができていない企業が多いです。まだまだ紙やPDFを活用可能なデジタルデータに変換するニーズがあるので、今後は地方にもDISさまのパートナー網を通じてDX Suiteの展開を加速させます」と話す。

 さらに大木氏は、DISへの期待を踏まえて今後の展望を以下のように語った。「DISさまは日本でも最大級のディストリビューターで、クラウド領域にも多くの実績があります。DISさまのさまざまなパートナー企業との接点が増えたので、今後もつながりを強化していきたいです。また、ほかのSaaS製品との組み合わせもDISさま経由で提案していただき、ユーザー企業の利便性を高めていきます」