Introduction
Windows 11への移行に関して
もはや時間的な猶予はない

Windows 10は2025年10月14日にサポート終了を迎える。それは今から2年近く先の話である、と考える人が多いことだろう。個人でPCを買い替える、あるいはWindows 11へアップグレードするならば、まだ時間の猶予はありそうだ。しかしビジネスで使用しているPCをWindows 11搭載PCへリプレースする場合、時間の猶予はあまりないと認識するべきだ。

2025年度に集中する需要
Windows 10のサポート終了とNEXT GIGA

 MM総研が2022年3月に発表した調査「国内法人PC稼働台数推移と予測」によると、国内の企業では2,600万台のWindows 10搭載PCが稼働しているという。

 2,600万台ものWindows 10搭載PCが期限ぎりぎりでWindows 11搭載PCにリプレースすると、どのような事態が考えられるだろう。

 国内のPCの出荷台数はMM総研が2023年5月31日に発表した調査結果によると2022年度通期(2022年4月〜2023年3月)は1,123万4,000台だった。これは前年比4.4%減の数字となる。この出荷台数に対して2倍以上の台数の需要が予想される。短期間で企業が要望する台数を、しかも要望するスペックと環境を整えて提供することはできるのだろうか。

 PCメーカーには生産能力に余力はあるだろう。しかし2025年に予想されるWindows 11搭載PCの需要増は、Windows 10のサポート終了に伴うものだけではないのだ。そう、GIGAスクール構想で導入されたPCのリプレース、すなわち「NEXT GIGA」が2025年度に実施されるのだ。

 市場調査・コンサルティング会社のシード・プランニングが2022年10月13日に発表した調査レポート「2023 教育ICTの最新動向と市場展望」によると、GIGAスクール構想で導入された教育用PCは、2021年度のピーク時には総台数1,453万台が導入された。また2025年度には総台数1,110万台の買い替え需要が見込まれるという。法人向けと教育用の需要が2025年に集中すると、PCの供給は非常に厳しくなると予想できる。さらにいずれもキッティングが必要となる。

 IT人材の不足はユーザー企業はもちろんのこと、SIerにおいても大きな問題となっている。2025年に需要が集中すると顧客が要望する環境を整えてWindows 11搭載PCを提供するには相当な時間がかかることが予想される。

 これらのことから2025年10月14日のWindows 10のサポート終了への対応に、もはや時間的な猶予は残されていないと認識するべきだ。

PCベンダー各社の戦略とWindows 11 市場の現状

Windows 10サポート終了に伴い、需要が拡大していくWindows 11への移行に向けて、PCベンダー各社はさまざまな戦略と施策を展開している。各社の取り組みについて詳しく紹介していく。また、Windows 11に関する調査から市場の現状と今後の動向を探った。

Chapter.1
PCベンダー編

Windows 11 のスムーズな移行を実現
企業に向けて充実の支援体制を用意

Windows 10からWindows 11へ移行するには、キッティング作業をはじめとした工数のかかる作業が多く、情報システム部門の負担は大きい。そうした負担を解消するべくNECでは、Autopilotを利用するために必要なデバイス情報登録代行サービスや設定/運用のサポートなどさまざまな支援策を用意している。Windows 11へのスムーズな移行を実現するための方法を聞いた。

 2023年10月に発表したビジネス・教育向けPC「VersaPro」と「Mate」シリーズの新モデルを含め、NECが提供しているPCは全てWindows 11搭載モデルへと切り替わっている。「当社では、Windows 11搭載モデルと、Windows 10をプリインストールした状態で出荷され、後から必要に応じてアップグレードできるWindows 11ダウングレードモデルの2種類を用意しています。両モデルの売れ行きを比較すると、7〜8割の過半数を上回る勢いで選ばれているのが、Windows 11搭載モデルです。新規でPCを購入されるお客さまに関しては、Windows 11への移行が進んでいる状況であると感じています」と話すのは、NEC インフラ・テクノロジーサービス事業部門 佐々木紀安氏だ。

 一時期、半導体不足からPCの出荷に遅れが出るといった影響が生じていたが、そうした問題が再び起きることはないのだろうか。「お客さまのリプレーススケジュールなど、さまざまな情報をキャッチしつつ、NECパーソナルコンピュータと共に生産調整をしています。必要なときに、PCが届けられないということが起きないよう備えています」とNEC インフラ・テクノロジーサービス事業部門 加藤賢一郎氏は説明する。

 Windows 11への移行に当たり、情報システム部門の負担の一つとなっているのが、PCのキッティング作業だ。PCの機種や要件に応じた複数のマスタを作成・クローニングする必要があったり、マスタ展開のためのボリュームライセンス版OSの購入とプリインストール版OSの入れ替えたりしなければならないなど、事前準備は多岐にわたる。こうした問題を解決するのが、Windows PCの初期セットアップを自動化するクラウドサービス「Windows Autopilot」だ。Windows Autopilotを利用すれば、PC利用者はPCを開いて情報システム部門から割り当てられたAzure Active Directory(以下、Azure AD)アカウントでサインインするだけで自動的にキッティングが行える。「Windows Autopilotを利用するには、事前にAzure AD/Microsoft Intuneにデバイス情報の登録が必要となるなど手間のかかる作業が求められます。そこでNECでは、お客さまのAutopilot活用およびWindows 11の移行をサポートするべく、Windows Autopilotの利用に必要とされるデバイス情報の登録代行や事前プロビジョニングの設定代行、さらには故障してしまったPCの再設定、個別のラベル貼りなどシステム運用全体を支援するサービスを用意しています。なお、デバイス情報の登録代行は無償提供※を開始しました」(佐々木氏)

NEC
加藤賢一郎
NEC
佐々木紀安

 ほかにもNECでは、Windows 11への移行支援として、最短3営業日+配送日数(首都圏近郊の場合は最短4営業日)で納品する「在庫短納期モデル」を用意したり、Windows 10ユーザーに対してWindows 11へ移行を促す広告を配信したりとさまざまな施策を行っている。

Windows 11とAIの組み合わせが
業務パフォーマンスを最大化する

ビジネスPCからワークステーションまで、多様なPCをラインアップしているデル・テクノロジーズ。Windows 11への移行が進んでいる背景の一つに「AI」を挙げた同社は、自社のPCにもAIを活用したパーソナライズ機能を提供している。ビジネスシーンから教育現場に至るまで、Windows 11へのリプレース提案の話を聞いた。

デル・テクノロジーズ
佐々木邦彦

「Windows 10からWindows 11への移行は、かなりスムーズに進んでいます。Windows 10とWindows 11はカーネル周りが共通しており、これまでWindows 10で使用していたアプリケーションもWindows 11環境下で問題なく動作することがスムーズな移行の背景としてあります。また2023年6月から、Windows 10 Pro(Windows 11 Proのダウングレード)が値上げされたことから、その前に駆け込みでWindows 11のライセンス購入が進みました」と語るのは、デル・テクノロジーズ クライアント・ソリューションズ統括本部 クライアント製品本部 フィールドマーケティング 部長 佐々木邦彦氏。

 Windows 11への移行が進む背景の一つとして、佐々木氏はマイクロソフトが注力する生成AI「Copilot」を挙げる。CopilotはWordやExcelなどをアシストしてくれる「Copilot for Microsoft 365」やWeb用のCopilot「Bing Chat」など、アプリケーションベースで動作するものに加え、OSに統合された「Copilot in Windows」がWindows 11搭載PCで利用できる。

 佐々木氏は「2023年11月に実装されたCopilot in Windowsは、Windows 11搭載PCを使う優位性の一つになっています」と語る。

 テレワークの増加に伴い、求められるPCスペックも向上しているほか、軽量で持ち運びのしやすいノートPCの需要が増加傾向にある。デル・テクノロジーズはそうした需要を受け、2023年3月に、本体重量1kg以下モデルの2代目となる法人向けノートPC「Latitude 7340 Ultralight」の提供もスタートしており、ユーザー企業からの端末需要に豊富なラインアップで応えている。またデル・テクノロジーズの法人向けPCはAIを搭載した「Dell Optimizer」によって、ユーザーの使用状況に応じたパーソナライズ化に対応しており、ユーザーの業務パフォーマンスを最大化してくれる。

 ビジネスPCを利用するユーザー層の移行は進む一方で、ワークステーションなど高性能なPCを利用するクリエイターや建築業などのユーザー層の移行は「半歩遅れています」と佐々木氏は指摘する。背景には、Windows 10搭載PCほどISV認証が進んでいる端末が少ないことがある。デル・テクノロジーズでは今後、同社の「Dell Precision ワークステーション」のWindows 11搭載製品においてもISV認証の取得を進めることで、ワークステーション製品のリプレースも促進していく予定だ。

 ワークステーションなどの高性能なPCは、今後学校現場への導入が進んでいく可能性も高い。デル・テクノロジーズはインテルのSTEAM Labの取り組みに協力しており、指定された小中学校に対して高性能なPCの提供を行っている。「当社はさまざまなラインアップのPCがありますので、今後STEAM Labのモデル校の取り組みを他校に展開していくに当たり、提案を進めていきたいですね」と佐々木氏。

 Windows 11へのリプレースは2024年の中盤から後半にかけてが山場になると見込んでいるデル・テクノロジーズでは、日本マイクロソフトと共にWindows 11のプロモーション活動を推進していく。「導入の事前検証に悩まれているお客さまもいると思います。当社ではそうしたお客さまに対して、コンサルティングサービスも提供していますので、販売パートナーさまと共にWindows 11搭載PCへのリプレース支援を進めます」と語った。

OSとファームウェアのセキュリティ対策で
ビジネスPCを安全に持ち運ぼう

働き方の変化に伴い、ハイブリッドワークが定着してきている。その中でビジネスPCを選ぶ際の要件の一つとなるのが、セキュリティだろう。Windows 11はWindows 10と比べてセキュリティ性が高いOSだが、ファームウェアレベルでのセキュリティ対策を講じている端末を選択することで、より安全にPCを利用できるようになる。日本HPのノートPCは、BIOSレベルでのセキュリティ対策を実現しており、セキュリティ意識の高いユーザー企業にお薦めの端末だ。

日本HP
塩谷義嗣

 Windows 11搭載PCへの移行状況について、日本HP パーソナルシステムズ事業本部 クライアントビジネス本部 CMIT製品部 部長 岡 宣明氏は「当初想定していた以上に順調に進んでいます。出荷の約80%はWindows 11に移行しているでしょう。当社としてもWindows 11搭載PCの投入はほぼ完了しており、どのモデルでもWindows 11端末を選択してもらえる状況になっています」と指摘する。

 Windows 11への移行がスムーズに進んでいる背景に、岡氏はセキュリティを挙げた。ハイブリッドワークが普及したことで、端末のセキュリティに配慮するユーザー増えたことや、Windows 7からWindows 10へのリプレースと比較して、OSのサポートが切れる前に移行を進めるユーザーが増えたのだ。またWindows 11ではセキュリティ機能が強化されており、ハイブリッドワークが働き方の主体となりつつあるビジネスユーザーにとって、訴求力の高いOSになっているのだ。

 日本HPが提供するノートPCは、こうしたセキュリティを意識するユーザーに対してお薦めだ。同社が提供するノートPCの一部には、ファームウェアに対する侵入検知と修復を自動化する「HP Sure Start」が搭載されており、サイバー攻撃の脅威からBIOSレベルで保護されている。Windows 11が備える標準のセキュリティ機能と組み合わせて運用することで、サイバー脅威が増加する昨今でも安心してPCが利用できるだろう。

日本HP
岡 宣明

 また、ハイブリッドワークがスタンダードな働き方となった今、ノートPCに求める要件として前述したようなセキュリティ機能はもちろん、持ち運びやすさや堅牢性もある。そしてもう一つ、ネットワークへの接続性も選び方のポイントになっている。岡氏は「2023年11月に、KDDIとの協業によるMVNOサービス『HP eSIM Connect』をスタートしました。これにより、対応モデルとなる『HP Dragonfly G4』と『HP ProBook 445 G10』に内蔵されたeSIMで、データ通信を5年間無制限に利用できます。ノートPCと5年間のネットワーク通信がバンドルされていることで、ハイブリッドワーク環境下のコストを大きく削減できます」と語る。

 普及が進むWindows 11だが、企業規模による差もある。「やはり大企業から移行が進んでいます。中小企業はまだまだこれから、といった企業も少なくありません」と指摘するのは、日本HP パートナー営業統括 第一営業本部 本部長 塩谷義嗣氏。日本HPではこうした中小企業に対し、パートナー企業との連携による端末提案はもちろん、自社のWebサイトやイベントによる啓発活動を進めている。

「検証機なども要望があれば貸し出しできるよう用意しています。今後販売促進のプログラムなども用意する予定ですので、販売パートナーさまが販売しやすい環境を整えながら、Windows 11への移行を促進していきます。働き方が変わっていく中で新たなテクノロジーを継続的に使うためには、やはり最新のOSを使うことが重要です。Windows 10のサポート終了は2025年10月14日ですが、それを待つことなく段階的な移行を進めてもらえたらと思います」と塩谷氏は語った。

CPU性能を最大限に発揮できる
Windows 11とPCの組み合わせ

パナソニック コネクトが提供するビジネス向けノートPC「Let's note」シリーズ。「日経コンピュータ 顧客満足度調査 2023-2024」のノートPC部門で2年連続の顧客満足度1位を獲得するなど、ビジネスパーソンから支持され続けている製品だ。このLet's noteシリーズとWindows 11を組み合わせることで、さらなる業務効率化を実現できる。

パナソニック コネクト
納家直子

 頑丈・軽量・長時間駆動をコンセプトに開発されているLet's noteシリーズ。現在パナソニック コネクトでは同シリーズから、14インチ液晶を搭載しながら13.3インチ液晶の端末とほぼ同等のサイズを実現した「FVシリーズ」、A4サイズ以下の本体サイズながら性能に優れた「SRシリーズ」、スマートな接客や商談に適した2in1タイプの「QRシリーズ」をラインアップしている。

 同社のモバイルソリューションズ事業部 事業企画総括部 レッツノート企画部 商品企画課 佐藤敬太郎氏は、これらLet's noteシリーズとWindows 11の組み合わせの優位性を次のように語る。「セキュリティの高さが魅力です。Windows 10と比較してWindows 11はセキュリティが強化されています。Windows 11にはアプリ実行時に安全性をチェックするセキュリティ機能『Smart App Control』が標準で搭載されているため、ユーザーが意識しなくても安全を担保できます。またWindows 11はサポートするインテルCPUが8世代以降になっており、その点でも脆弱性が少なくなっています」

パナソニック コネクト
佐藤敬太郎

 Let's noteのSRシリーズ、QRシリーズではこれらの標準的なセキュリティ機能に加え、AIセンサーが人を検知してセキュリティを強化する機能も実装している。例えば離席を検知するとPCをロックする機能や、ユーザー以外の人間の顔を検知すると、画面上にポップアップアイコンを表示する機能などだ。ハイブリッドワークが普及し、オフィス外でPCを操作する機会が増える中で、こうしたセキュリティ対策が強化された端末にリプレースすることは、情報漏えい対策としても重要と言える。

 また、Windows 11へリプレースすることで、CPUのパフォーマンスを十分に引き出せる。インテルは第12世代CPU「Alder Lake」以降、Performance-core(P-core)とEfficient-core(E-core)という二つのコアを搭載し、目的に応じて使い分けることでパフォーマンス性と低消費電力を両立させている。Windows 11は、これらのコアの使い分けにOSレベルで最適化しており、より高いパフォーマンスでPCを使うことが可能になる。さらにLet’s noteシリーズには、独自の冷却機構や電力制御チューニングによってCPU性能を最大化する独自技術「Maxperformer」を採用しており、これらを組み合わせることでより業務効率を向上させられるだろう。

 Windows 11搭載PCへの移行について、同社のモバイルソリューションズ事業部 事業企画総括部 レッツノート企画部 商品企画課 課長 納家直子氏は「当社出荷ベースで、9割がWindows 11に移行していますね。今後、残りの1割の移行を進めていくため、販売パートナーさまや代理店さまとコミュニケーションを取り適切なサポートを行うことで、この市場をさらに盛り上げていきます」と語った。

ハイブリッドワークに適したSRシリーズは外出先でも使いやすい。
2in1タイプでどこでも対面プレゼンができるQRシリーズは、1分1秒のビジネスチャンスも逃さないビジネスパーソンに好評だ。

Windows 11移行の必要を周知
リプレース提案を進めていく

2025年10月に向けて企業におけるWindows 11への移行準備は着々と進められている。その半面、レノボ・ジャパンが実施したWindows 11の移行状況に関する調査によれば、導入に対して具体的な計画が立てられていない答える企業が一定数存在することも明らかになっている。Windows 11へのリプレースを広めていくためには、どのような施策を打つ必要があるのだろうか。

レノボ・ジャパン
元嶋亮太

 レノボ・ジャパンが2023年11月に行った「働き方とテクノロジー活用実態調査」によって、企業や組織におけるWindows 11への移行状況が明らかになった。Windows 11への移行状況について、「全社的にWindows 11に移行済み」と回答した企業は13%、「新規調達分のみWindows 11に移行」は16%、「現在Windows 11の検証中」は31%だった。「大幅な機能拡張によって自社システムとの互換性の問題などから移行に苦労した企業も多いWindows 7からWindows 10への移行に比べると、Windows 10からWindows 11への移行はOSに違いが少ないため導入しやすいようです。検証中の企業も、見通しが立つタイミングでWindows 11への導入を進めていくような流れになるでしょう。当社の法人向けPCにおいてもWindows 11搭載モデルの出荷台数が伸びていますので、Windows 11への移行は着々と進んでいる印象です」とレノボ・ジャパン 企画本部 製品企画部 マネージャー ワークスタイル・エバンジェリスト 元嶋亮太氏は話す。

 その一方で、「具体的な計画はない・分からない」と回答した割合は24%を占めている。「理由はさまざまありますが、EOSに気付いていないケースや、EOSは理解しているけれどデバイスのリプレースサイクルが2024年以降となっているため時期尚早であると考えているケース、情報システム部門のリソース不足のために手を付けられないというケースなどが挙げられます。こうした企業に向けて、IT業界全体でWindows 11移行につなげていくための取り組みを行っていく必要があるでしょう」(元嶋氏)

 そもそもWindows 10を利用している企業は、Windows 11への移行がなぜ必要になってくるのだろうか。その理由の一つにセキュリティの問題が挙げられる。Windows 10の延長サポートが終了する2025年10月14日以降を過ぎるとセキュリティパッチが配信されなくなる。マルウェアなどの脆弱性を悪用した攻撃を受ける可能性が高まるため、サポートの終了したOSを使い続けることは多くのリスクを伴う。セキュリティに関する更新プログラム以外にも、バグや不具合を解消するための更新プログラムも配信されなくなるため、不具合が生じた際にPCが使えなくなってしまう恐れもある。そうしたリスクを回避するためにも、早めにWindows 11への移行を進めたい。

 Windows 11へ移行するに当たって気を付けたいこともある。2018年以前に製造されたPCなど、Windows 11のアップグレードのシステム要件を満たさないデバイスも存在することだ。「アップグレードのシステム要件を満たしていない場合、デバイスの買い替えが必要になります。その際に、社内のシステム環境も一緒に見直してほしいと考えています。レガシーシステムを一緒に利用されているケースも多く、作業効率の面で工数がかかりすぎるなどの問題が生じていることもあります。Windows 11と共にクラウドサービスをはじめとした新たな技術を導入し、社内環境を整備することで、業務の負担の削減にもつながっていきます」と元嶋氏はアドバイスする。

 さらに、レノボではWindows 11への移行のタイミングでPC展開・管理の在り方についてエンドユーザーに伝えていくため、ホワイトペーパーやセミナーなどを通じた情報発信を行っている。Windows Autopilotの利用をサポートする登録サービスなども提供しているという。同社は今後もWindows 11の移行の重要性を周知しながら、企業の導入支援を続けていく。

Windows 11移行のタイミングでPCの展開・管理の在り方を見直せるように、ホワイトペーパーなどを通じた情報提供を実施している。