サーバーの出荷台数は減少も出荷金額は増加
Server
MM総研は2022年度のサーバー出荷台数、および出荷金額を発表した。調査によると、出荷台数は前年度比4.3%減の35万6,250台となり、出荷金額は前年度比4.8%増の2,640億円となった。
出荷台数が減少した背景には、新型コロナウイルス感染症の流行に伴うクラウド化の影響を受け、オンプレミスサーバーの需要が伸び悩んだことがある。しかし円安を背景としたクラウド価格の急上昇により、2018年度から続いている出荷台数の減少幅は緩やかとなり、2021年度の8.4%減から縮小した。
一方で、2022年度前半は部品不足や、物流費の高騰の影響で、サーバー価格は値上がりし、単金は5万6,000円の上昇となった。これにより、サーバー出荷金額は2018年度以来4年振りの増加となったのだ。サーバー価格の値上がりに伴い、ファイルサーバーやメールサーバー、Webサーバーなどの汎用用途を中心にクラウドへの乗り換えが進むとみている。
また、クラウドの運用価格や、システムごとのメリットに対するユーザーの理解が深まったことにより、今後はシステムに応じてサーバーとクラウドの使い分けが進むとMM総研は分析している。
2023年度の出荷台数は増加の見込み
同調査では、2023年度のサーバー出荷台数、および出荷金額についても調査している。調査によると、出荷台数は前年度比8.3%増の38万5,700台、出荷金額は2,950億円を予測している。
出荷台数が増加した背景には、Windows Server 2012のサポート終了に伴う買い替え需要がある。一方、この需要は低価格の小型サーバーが中心と見込まれるため、2022年度より出荷金額の増加はやや緩やかになる見通しだ。しかし生成AIの需要増加により、CPUなどの高価格帯部品の需要が高まり、サーバーの価格が上昇。結果として出荷金額が増加するとMM総研は見込んでいる。
生成AIによるサーバー需要増加の背景には、以下の三つの要因がある。一つ目は、スタートアップ企業やSaaS事業者による、生成AIのモデルを活用したサービスの開発投資の増加。二つ目は、大手SIerや通信事業者による、自社顧客向け専用の生成AI基盤の増加。三つ目は、情報セキュリティやコンプライアンスを背景とした、自社専用のオンプレミスサーバー上で生成AIを活用する需要だ。生成AIの需要が増加するほど、サーバー本体の出荷価格を予測以上に押し上げるだろうとMM総研は予測している。
無人店舗向けシステムの高成長を予測
Unmanned store Solution and Services
デロイト トーマツ ミック経済研究所は無人店舗システムの市場規模を発表した。同調査において無人店舗システムは、完全な無人店舗だけでなく、有人店舗向けに導入されるものも含んでいる。無人店舗システムの対象となっているのは、スマホレジやデータ分析基盤など九つのシステムだ。
2022年度の無人店舗システム市場は前年度比13.4%増の606億円となった。市場拡大の背景には、無人店舗だけでなく、有人店舗における省力化や、一部業務の無人化用途で無人店舗システムを採用したことがある。これらは、小売業界における人手不足、人口の減少による来店客の減少に伴う店舗の売り上げの下落などの構造的な問題が関係している。そうした問題の解決策として無人店舗システムに注目が集まった。結果、2027年度までの年平均成長率は約20%弱と予測される。
同市場のうち最も多い73.3%を占めるのは、商品棚に掲示する値札をデジタル化した電子棚札だ。スーパー業界での普及により、2022年度の447億円から、2023年度は前年度14.8%増の513億円と高成長が見込まれ、以降も大きな成長を予測している。
また、無人店舗システムの中で無人店舗向けのみを対象とした無人店舗ソリューション市場の調査も実施した。2022年度の無人店舗ソリューション市場は3.5億円とまだ成長途中である。
市場が小規模な背景には、コストの課題がある。無人店舗ソリューションは最先端のIT技術を扱うため、高コストにならざるを得ないのだ。そのため採用はPoCにとどまっており、店舗での商用利用数は少ない。
しかし無人店舗ソリューションは、マイクロマーケットとの好相性が注目されている。マイクロマーケットとは、工場内や病院内、オフィス内といった限定的な商圏であり、兆円規模の市場余地が見込まれる市場だ。加えて導入コストの低下もあり、2027年度には年平均成長率94.5%、市場規模は97億円となる予測だ。
ワークフロー市場はSaaSを中心に拡大
Workflow
アイ・ティ・アールはワークフロー市場規模予測を発表した。同調査によると、2022年度のワークフロー市場の売り上げ金額は前年度比13.4%増の110億円となった。
市場拡大の背景には、リモートワークの普及に伴うワークフローシステムの新規導入やシステムの拡張がある。さらに意思決定のスピードアップやペーパーレス化、働き方改革の推進、内部統制の強化などのニーズも市場拡大の要因となっている。
これらによって、2023年度の同市場は前年度比12.7%増と、引き続き高い成長を見込んでいる。この高成長は今後も継続し、2022〜2027年度の年平均成長率は12.7%となり、2027年度には売り上げ金額が200億円に達する予測だ。
また、パッケージ市場、SaaS市場別の調査も実施した。2022年度のパッケージ市場が前年度比3.9%の減少を見せたのに対し、SaaS市場は主要ベンダーの注力もあり、前年度比32.6%と好調な成長を見せた。その結果2022〜2027年度の年平均成長率は、パッケージ市場の3.5%減に対し、SaaS市場は21.1%増と高い成長率を予測している。
同社 プリンシパル・アナリスト 三浦竜樹氏は今後のワークフローシステムについてこう語る。「コロナ禍においてリモートワークの普及とDXの取り組みが進む中、RPAやローコード/ノーコード開発などと合わせ、業務の自動化を実現するソリューションとしてワークフローシステムの新規導入やクラウドシフトによる導入が進んでいます。今後は、単純な申請・承認プロセスの電子化にとどまらず、ERPやドキュメント管理システムなど、各種業務システムと連携させた業務プロセスの自動化を目的に、ワークフローシステムの適用範囲は拡大すると推測されます」