スマートデバイスを活用して作業現場の負担を軽減したい

国内のフィールドワーク支援ソリューション市場は、増加傾向にある。遠隔/リモート志向の高まりが市場拡大の追い風となっているが、作業の遅延なども多くまだまだ課題が多い状況だ。目視での確認や手作業での報告書作業などが残存する作業現場に対し、負担を省力化しつつ効率的で安全に運用できる現場作業支援ソリューションを提案しよう。

現場作業員の負担をいち早く軽減しよう

 建設業が抱える課題の一つに、高齢化がある。それに伴う人材不足も深刻化しており、次世代への技術の継承や生産性の向上が求められている。一方で、社会インフラの老朽化も進んでいる。高度経済成長期時代に建設された道路やトンネル、橋、水道設備、港湾や河川などのインフラ補修が必要となる中で人のリソースが割けない状況では、積極的なデジタル活用が求められる。

 この現状を受け、国土交通省は2025年度までに建設現場の生産性20%向上を目標とした「i-Construction」の導入を推進している。ドローンやICT建設機械の活用、設計・施工図面の3次元化などにより、生産性向上を図る取り組みだ。i-Constructionの事例には、ドローンを活用した現況把握や測量などが代表的な例としてある。

 前向きな取り組みとして建設業の作業現場のDX事例を挙げたが、高齢化が進み、ITスキル向上が遅れがちな企業では事業維持に懸念が残るだろう。作業現場のDXの波に乗るためにも、現状確保している作業員の業務効率を早く向上するソリューションが必要だ。

 作業員のITスキルが低い状態でも作業効率を上げるためには、まずは端末でもアプリケーションでも操作性が容易であることが重要だ。次いで、作業現場という過酷な環境でも使える堅牢性の高いスマートグラスを選ぼう。これを踏まえ、作業負担を減らせるソリューションを検討したい。

作業効率がUPするウェアラブルデバイスを

 それでは、作業現場の負担の軽減に寄与するソリューションの機能をチェックしていこう。

 作業現場での活用を想定すると、ノートPCは少々使いやすさに欠ける。起動や必要なファイル、アプリケーションを開くまでに時間を要するなど現場作業に取りかかれるまでの手間が多いからだ。作業負担の軽減を考慮するならば、持ち歩きやすいハードウェアと作業内容を確認しやすいアプリケーションが必要だ。ウェアラブルデバイスと現場作業向けアプリケーションを併せて提供しているソリューションは、別途アプリケーションを用意する必要もない。スマホ用の現場報告/点検報告アプリケーションを活用すれば、サクサクと遠隔での技術支援や上長への報告作業を済ませられる。

 現場作業で使用するウェアラブルデバイスは、堅牢性が高い物が望ましい。防水・防塵・落下性能が日本の工業規格や海外の工業規格に適合する製品は、ハードな現場を想定して設計されているため、工場・建築現場・プラントなどの作業現場にも活用可能だ。

 スマートグラスの場合、見やすさも重要だ。フルHDで120インチ相当の映像表示、両眼シースルーなら周囲の風景や建造物を確認しながらのリモートコミュニケーションも障壁なく行える。

 今回は、NTTテクノクロス、エプソン販売に製品を提案してもらった。

ウェアラブルデバイスと報告アプリを現場作業に

現場作業DXソリューション

NTTテクノクロス
個別見積

 建設、物流、製造といった現場作業が求められる業務の遠隔コミュニケーションやデータ活用を支援する「現場作業DXソリューション」を提案する。

 Fairy Devices社が開発した現場作業向けのウェアラブルデバイス「THINKLET」を活用したサービス、現場報告/点検用アプリケーション「わくレポ!」を現場作業DXソリューションとして展開している。

 まずは、フィールドワーカー向けの首掛け型デバイスであるTHINKLETについて紹介したい。マイク、カメラ、通信機能を搭載しており、THINKLETを装着した現場作業者の目線映像と音声をリアルタイムに遠隔拠点に共有・記録し、遠隔から支援することが可能になっている。また、音声認識機能を利用し、装着者の音声に対してAIが音声で応答することで、現場作業者の業務を支援できる。THINKLETは首掛けの形状で、装着する作業者のストレスなくハンズフリーで利用することが可能なデバイスだ。また、スマートグラスと異なり、安定していて揺れの少ない映像通信を実現している。作業現場の遠隔支援や音声を活用した業務効率化、安全性の向上をサポートする。音声の性能としては、NTTの研究所が開発した「インテリジェントマイク技術」を搭載し、騒音環境下の現場でも作業者の声をクリアに遠隔に届けられる。

 また、現場作業のペーパーレス化に向けては、現場作業者の現場報告や点検業務向けアプリケーションのわくレポ!も役に立つ。スマートフォンに対応しており、報告書作成やカメラなどの持ち物不要で手軽に進められる。事務所へ戻る移動時間や残業時間の削減など、幅広く現場の業務改善、データの収集と活用が可能だ。

 作業現場の遠隔からの安全管理状況の確認、設備点検のリアルタイムの遠隔支援、物流などの現場作業者の効率化と現場の改善活動をデータドリブンに進めることが可能になるソリューションだ。

ハンズフリーで遠隔ダブルチェック&技術支援

BT-45CS

エプソン販売
オープンプライス

 作業現場と遠隔地間でスムーズにやりとりが可能なスマートグラス「BT-45CS」を紹介する。

 頭部全体で支える構造で、眼鏡やヘルメットを装着しても着用できる。また、防水・防塵規格「IP52」対応、落下性能は米国国防省の軍用規格「MIL-STD-810H」準拠、シェードは建設、鉄鋼、そのほか作業に従事する人々の目を保護するため米国規格協会が提唱する工業規格「ANSI Z87.1」に適合。ハードな現場にも耐え得る設計で、工場・建築現場・プラントなどの現場にも活用可能だ。映像は両目に表示され、フルHDの高解像度、120インチ相当(仮想視聴距離5m時)の大きさだ。シースルーなので実視野に画面が浮かんで見える形になる。角度調整部でディスプレイ部分のフリップアップ(はね上げ)調整が可能。移動する際など実視野を確保したい場合に有効だ。

 入出力に関しては、オートフォーカス・自動露出・自動ホワイトバランス調整に対応するセンターカメラと、ヘッドセット両側側面にスピーカー、両側底面にマイクを内蔵しており、遠隔地にいる管理者などとスムーズにリモートコミュニケーションが行える。静止画は最大3,264×2,448ピクセル、動画は最大1,920×1,080ピクセル/30fpsでの撮影が可能だ(ただし使用するアプリ側の仕様によって変わる)。

 コントローラーはAndroid OSを搭載。約3インチのタッチパネルも装備し、操作性はスマホと同様だ。コントローラーのアプリ一覧画面から専用アプリ「MOVERIO Link Pro」を開くと、画面の明るさ調整やスピーカーのオン/オフ切り替えに対応する。

 現場作業用のソフトウェアやアプリケーションはBT-45CSでは標準で提供していないことに注意が必要だ。しかし、作業マニュアルの履修や作業内容の把握が済んでいれば、作業現場ではすぐにコミュニケーションやダブルチェック、技術支援などが行える。