SharePointなら検索範囲を自由に設定できる
SharePointのドキュメントライブラリに検索対象のファイルをアップし、選択して右クリックで表示されるプルダウンメニューから「エージェントを作成する」をクリックすると、対象ドキュメントの内容から回答するエージェントを作れる。ここで複数のファイルを利用したい場合には、それらを含むフォルダを指定することも可能だ。
普通のCopilotのチャットボットはプロンプトで質問を投げかけるとインターネット全体を対象に答えを出してくるが、社内文書など特定のドキュメントの中からだけしか答えないようなエージェントの作成が可能だ。
財務マニュアルや経費処理マニュアルなどを対象にエージェントを作っておき、そのエージェントに質問したら、対象ドキュメントの内容から答えを作成してくれる。たとえば、数百ページもある総務省の環境白書の PDFを ドキュメントライブラリにドラッグ&ドロップしてエージェントを作れば、環境白書の内容のみから回答してくれる。
このエージェントで「電力消費に関する問題と対策は?」と聞いたところ、環境白書の中にある電力消費に関する記述から回答した。回答の各文の末尾に表示されたアイコンをクリックすれば引用元(検索対象)が表示される。まだ、回答の精度や賢さが追いついていない感じも多少あるが、今後改善されていくだろう。




Copilot Studioエージェントビルダーで、Q&Aやマニュアルの更新も簡単
Copilotのライセンスの中に、自分なりのエージェントを対話形式で作れるCopilot Studioエージェントビルダーが含まれている。先程のSharePointは、ファイルを指定してその中から答えるエージェントをワンクリックで作る機能だったが、エージェントビルダーは、どんなエージェントにしたいかを、対話形式でカスタマイズして簡単に作成できる。テンプレートの利用も可能だ。
こうしたカスタマイズは従来システムの知識が必要だったが、会話形式で作れるためハードルが低い。企業内のベテランのノウハウをアップしておけば、若手社員がベテランに何か聞きたい時にまずエージェントに尋ねてアドバイスをもらうことも可能だ。
作ったエージェントは公開できる。エージェント自体を共有する際は、自分の組織の全員に公開すれば、URLを知っている人だけアクセスできるようになる。セキュリティグループを設定しておけば特定のグループへの公開も可能だ。ファイルのアクセス権がない人が同じエージェントを使って質問すると回答が変わるため、権限を意識することなくエージェントを作成できるのもいいところだ。
エージェントを使ったチャットボット利用の代表例はQ&Aだが、これまでは業務に関するナレッジを共有するために、マニュアルやQ&Aを決まった形式に作り込んでメンテナンスしていたと思うが、新しいマニュアルやQ&Aのドキュメントをアップすれば、勝手に最新の内容を答えてくれるチャットボットができあがる。まだハルシネーションなどが少し気になるが、近い将来Q&Aサイトなどの作り方はどんどんこちらに置き換わっていくだろう。今後も幅広く出てくるであろうエージェントに注目していきたい。




