AI時代の「見えないIT課題」を解決
ヘルプデスクの有効活用を促進
8月25日、NexthinkがAI時代に顕在化する「見えないIT課題」についてのメディアブリーフィングを実施した。企業の社内マネジメントに有効なAI時代のIT課題やデジタル従業員エクスペリエンス体験を増加させるツールである「DEX」、将来のIT部門に推奨される役割を解説していく。
日本の企業損失を防げ
生産性向上に意識を

セールスディレクター
梅園恭司氏
日本の将来的な労働生産性の課題として、13~14年後に1,100万人の労働人口が不足することが予測されている。グローバルでの比較では、日本はG7の中でも生産性がマイナス0.6%と最低ランクとなっている。そのため、労働人口も減り、生産性も停滞しているというのが今の日本の現状だと言えるだろう。そうした中で今後、一人一人が生産性を高めて働く必要性がある。そこで役立つのがAIだが、ただ導入すればよいというわけでもない。
企業のAIの課題について、Nexthink セールスディレクター 梅園恭司氏はAI使用の注意事項を次のように提唱する。「さまざまなお客さまがAI活用に期待し実践を進めており、当社もAIが生産性を支える大きな可能性を持っていると思っています。お客さまとのヒアリングでは、この1年でAI投資や実用が進んでいると実感としています。その一方で、『AI投資は進んでいるが、成果が出ているか分からない』という声を経営層の方から多く聞いています。数値としても70%が十分に測定できていないとの回答を得ており、ほかの国も含めた全体平均としては、日本は約1.5倍、成果の測定ができてない状況です。これを踏まえ、AIの導入と成果の創出は別の課題として分けて考えるべきだと考えています」
ヘルプデスクの活用に課題
日頃の情報共有がカギ

イアン・バンクロフト氏
梅園氏は、AIだけでなくIT資産に関してもう一つ大きな課題を提示する。「皆さんが業務で使用している支給PCの実態を、IT部門が把握しているかは定かではありません。通常はヘルプデスクが存在し、一次問い合わせ、二次問い合わせ、三次問い合わせと、内容によってエスカレーションしていきますが、当社の調査によるとIT部門では約5%しか把握できていないという結果となっています。まさに氷山の一角で、従業員から報告されてない問題、それ以外のより潜在的な問題もわせると95%は見えてないという状況だと考えられます。このように日本のヘルプデスク活用が遅れている状況ですが、当社がこの1年でグローバルからのチームのお客さまとの対話を通じて、要因が見えてきました。パートナーさまとの対話では『なぜ日本人はこんなに問い合わせをしないのか?』ということです。海外では問題が生じた場合に問い合わせるところを問い合わせをしないことに驚かれており、『なんで大変な状態になっているのに問い合わせなかったんですか?』と聞くと『問い合わせても変わらないと思っていた』『自分で対応いないといけないと思った』『問い合わせて面倒臭い状況になるのが嫌』という意見が出てきました。IT部門のお客さまもその結果を初めて知ったと体感されていました。こうした状況は残存していますが、問い合わせがないといった理由で見えなくなっているだけなのです。
このような業務運用では、実際にAIの投資が進んでも、生産性を十分に発揮できない状況につながると梅澤氏は指摘する。「先のヘルプデスクへ問い合わせるとしている5%を踏まえると、AI活用という段階に進んでIT運用が成り立つのかという点が当社の疑問としてあります。今後AIもどんどん変化し、AIの中でも競争が激化し、IT環境も複雑化が予測されます。そこで見えない課題を持ったまま突き進んでしまっては結局成果が出ないという地点に行き当たるでしょう。現状のIT運用において一番重要だと言えるのは、見える化することです。IT部門が実際に従業員がどのような課題に直面しているか、どう体感しているのかを可視化することで、その次の一歩を進めていきましょう」
企業データを適切に可視化
自立型プラットフォームで問題を判定
イアン氏は、日本のIT運用においてはさまざまな変化が起きていると語る。2年前にガートナ―のイベントで来日し、Nexthink Japanに向けてさまざまな活動をする中、IT環境など変化が起き始めている日本に投資する方向に舵を切ったという。
近年日本の状況を俯瞰するイアン氏は、こう問題提起する。「AI投資は増えていますが、導入するだけでは十分ではありません。AIを有効活用するには企業データを有効に収集する必要があり、企業の皆さまは十分な恩恵を得られていないのでないかと思います。前述のデータにもあった通り、不可視化された問題は必然的に不可視のビジネス損失につながります。AIは問題を認識できなければ解決もできないので、とにかく可視化することが重要です。これは当社に限った見解ではありません。ガートナー社では、従業員のデジタルエクスペリエンスが不十分だとデジタルフリクションが生じると警告し、AI活用の成功を妨げる最大の障壁の一つとして挙げていまます」
業務の際のアプリケーションの遅延、不安定なWeb会議など小さなIT課題は、ほとんど注目されない。しかし、それらが積み重なると生産性を静かに低下させ、AI投資の効果までも損なわれる可能性がある。そうした中では従業員の課題を可視化して、IT部門は従業員に影響が及ぶ前に問題を特定し、解決しなければならない。そこで、IT部門は何を目指すべきか。イアン氏は「その答えはゼロフリクション、摩擦ゼロにあると考えています。ゼロフリクションとは、テクノロジーが決して障害を起こさないという意味ではありません。テクノロジーは完璧になることはありません。しかし、従業員がその不完全さは改善され得るものなのです。IT部門が問題を早期に特定しておくことで、将来的には問題そのものの発生を未然に防止できるようになるのです」と語る。
イアン氏は、IT課題解決の選択肢の一つとして「DEX」を紹介する。「当社は自律型プラットフォームであるDEXを提供しています。DEXでは四つの機能が連携し、継続的なサイクルとして機能します。一つ目は検知です。全てのエンドポイントと従業員のデジタルエクスペリエンス全体で何が起きているのか把握します。 二つ目は判断です。AIを活用して状況を理解し、最適な対応策を判断します。三つ目は実行です。適切な対処を自動的にオーケストレーションし、大規模に実行します。四つ目は予防です。継続的な学習により、同じ問題が再び従業員に影響を与えないようにします。本製品はIT部門の役割を根本から変えると自負しています。従来、IT部門はインシデントにどれだけ迅速に対応できるかで評価されてきました。しかし今後のAI時代においてIT部門は業務が中断される前に見えない摩擦を取り除き、生産性を守らなければなりません。当社のアプローチは導入の成果としても証明されています。数々の企業がデジタルフリクションを減らし、従業員の生産性を向上させ、AIおよびIT投資から測定可能なリターンを生み出しています」(イアン氏)
Nexthinkは、グローバルで1,000以上の企業にサービスを提供している。導入事例としては、HoneywellがDEXによる自動化によって十倍の投資対効果、ROIを実現。Southwest AirlinesはIT部門の生産性を50%向上させた。Eli Lillyは、デジタル摩擦の削減によって80%の生産性向上を達成したという。
イアン氏はDEXのメリットやIT部門の役割についてこう提唱する。「DEXはITの価値を測定可能、予測可能、拡張可能なものにします。従業員一人一人のわずかな改善でも大企業では数百万ドル規模の価値創出につながります。最後に、AIはあらゆる組織の働き方を変えています。しかし、AIは導入するだけでは生産性は向上しません。従業員の成果の発揮を妨げるデジタルフリクションを取り除くことも必要です。そのため、当社は従業員エクスペリエンスは戦略として重要課題だと考えています。 DEXは組織が従業員にエクスペリエンスを可視化し、先回りしてプロアクティブに対応するためのインサイトを提供し、ビジネス価値の測定を可能にします。 最終的にIT部門の役割はシステムを稼働させ、続けることではありません。新たな使命は企業の生産性を守ることです」


