「有用なAI」から「エージェント」へ
生成AIは、単にコンテンツを生成するだけの存在から、実際の作業を担う存在へと進化しつつあります。今回の講演でも、そうした変化の方向性が強調されていました。
- 状況を理解する
- 推論する
- 計画を立てる
- ツールを使って実行する
このような一連の流れをまとめて担うのがエージェントです。単体のモデルではなく、ツールや実行環境を含めた仕組みとして捉えられています。
AI処理を前提にしたSoC「RTX Spark」
RTX Sparkは、CPU・GPU・メモリを統合した設計が特徴です。
- 20コア Grace CPU(MediaTekとの共同開発)
- Blackwell世代 RTX GPU
- 最大128GBの統合メモリ
- 最大1PFLOPSのAI性能
- 最大120Bパラメータ規模のLLMをローカルで扱うことを想定
- 最大100万トークン規模のコンテキスト処理を想定
- 高度な3D・動画制作ワークロードにも対応
これまでクラウドでおこなっていた処理を、PC上で実行することを目指した構成となっています。
AIエージェントを前提とした実行環境
ハードウェア性能の向上だけでなく、AIエージェントを運用するための実行基盤も整備されています。
- エージェントごとに分離された実行環境
- 権限やポリシーによるアクセス制御
- AIエージェント向けオープンプラットフォーム「OpenShell」
単にAIを動かすだけでなく、エージェントの権限や動作範囲を管理しながら運用することを前提とした設計になっています。
エージェント向けモデル「Nemotron 3 Ultra」
ソフトウェア面では、大規模モデル「Nemotron 3 Ultra」も発表されました。
- 5,500億パラメータのMoEモデル
- コーディング/調査/業務向けに最適化
- 主要なオープンモデルと比較して最大5倍の推論速度
- 最大30%のコスト削減
長時間タスクを処理する用途に合わせた設計で、実務での活用を想定したモデルです。
クリエイティブ制作への影響
デモでは、AIエージェントが複数の制作ツールを横断しながら作業を進める将来像も示されました。
- Rhinoでモデル生成
- Blenderでマテリアル調整
- 生成AIでビジュアル作成
また、PhotoshopやPremiere Proなどのクリエイティブツールも、AI処理やGPU性能を前提とした活用が進むと考えられています。
これまでのように個々のツールを操作するだけでなく、制作フロー全体をAIと連携しながら進める使い方へと変化しつつあります。
ゲーミングとの両立
RTX SparkはAIだけでなく、従来のRTX技術にも対応しています。
- レイトレーシング
- DLSS
- Reflex
そのため、AIエージェントや生成AIを活用しながら、ゲームやグラフィックス処理も同じ環境で実行できます。
展開と上位モデル
RTX Sparkを搭載したPCは、今秋以降の展開が予定されています。
対応メーカー: ASUS / Dell / HP / Lenovo / MSI / Microsoft Surface
- ノートPC
- 小型デスクトップ
あわせて、開発・研究用途向けの上位モデルとして「DGX Station for Windows」も発表されました。
- 最大748GBメモリ
- 最大20PFLOPS性能
- 最大1兆パラメータに対応
まとめ
今回の発表は、PCにおけるAIの位置づけが一段階変わることを示す内容でした。アプリを個別に操作する従来の使い方から、目的を起点としてAIが処理を進めるスタイルへと移行しつつあります。ローカルで大規模AIを扱える環境も整い始めており、今後は制作フローそのものが再設計されていく可能性があります。

