沖電気工業(以下、OKI)が提供する「高齢者見守りソリューション」は、高精度な離床センサー「PICLIA Bed Sensor」とモニターソフト「WatchOverSmart」から構成される。
本ソリューションは、高齢者などが離床する際の転倒リスクを抑制し、安全・安心な介護の実現を支援する。介護施設での利用を中心に、高い離床検知精度と価格競争力を強みとし、離床センサーを必要とする介護職員の働き方改革に貢献している。

離床センサーが求められる背景

 OKIが「高齢者見守りソリューション」を開発した背景には、同社の顧客が介護事業へ参入したことがある。電話機やATMなど、現場業務の効率化を支えてきた技術とノウハウを有するOKIは、介護市場においても、これまで培ってきたセンサー技術やシステムインテグレーションの知識を生かすことで、新たなソリューションを提供できると判断した。

 介護施設では、事故予防などを目的として、夜間に入居者を定期的に訪室することが義務付けられている。しかし、訪室による見守りでは、熟睡している入居者を起こしてしまう懸念がある。一方で、見守りを怠り高齢者の起床を的確に把握できなければ、ベッドからの転倒を防げないリスクが高まる。

 こうした課題を背景に、訪室せずに入居者の離床を早期に察知する手段として、安静にしている状態か、それともベッドから離れようとしている状態かといった状況を、リモートで確認できるセンサーやカメラを導入する介護施設が増えている。

 しかし、入居者やその家族の中には、カメラによる見守りに抵抗を示すケースも少なくない。そのため、離床を的確に検知できる手段として、ベッドに敷くマットタイプの離床センサーへの需要が広がっている。

 もっとも、マットタイプの離床センサーには、センシング精度に課題が残されていた。OKIでは、その課題を解決するため、協力会社と共同で離床センサーの開発に取り組んだという。OKIが提供する離床センサー「PICLIA Bed Sensor」は、従来の圧電式による検知に加え、静電容量式を組み合わせることで、高精度な起床検知を可能にしている。同社の検証データによれば、圧電式のみの離床センサーでは、寝返りなどの動きも起床として誤認する確率が高い。それに対して、静電容量式を組み合わせた同センサーは、就寝者の細かな動きを検知できる。こうした特長を備えたPICLIA Bed Sensorと、OKIが開発したモニターソフト「WatchOverSmart」による解析を組み合わせることで、高精度な離床検知を実現しているのだ。

優れた価格競争力と進化するデータ解析技術

 WatchOverSmartは、これまでに約50施設・約1,000床に導入された実績を持つ。大規模に導入した介護施設によれば、従来の圧電式センサーと比べて電力消費が少なく、電気代などのランニングコストの大幅な削減につながったという。

 また、本ソリューションはクラウドモデルを採用している。センサーから取得したデータをクラウド上で一元的に処理するため、介護施設側で新たにサーバーを導入する必要がない。その結果、運用や管理にかかる負担の軽減が期待できる。さらにWatchOverSmartは、専用端末を必要とせず、PCやタブレットなどのWebブラウザー上から、入居者の不在、在ベッド、ベッド抜け出し予兆、長期不在といった状態を直感的に確認可能だ。加えて、ナースコール連携にも対応しており、手持ちのナースコール子機で異変を迅速に把握できる点もメリットだ。

 OKIでは、WatchOverSmartで収集したデータの解析と検知技術の改善を継続的に推進している。長期的なデータの蓄積と解析により、就寝・起床の検知精度をさらに高め、転倒事故の予防や介護職員の労力軽減につなげている。これまでに導入された介護施設での実証実験では、介護職員の夜間訪室にかかる時間を約30%削減できたと担当者は語る。

介護職員の業務負担の軽減に貢献

 高齢者見守りソリューションの導入により、入居者のベッドからの抜け出しをオンデマンドで通知できるようになり、必要なタイミングで適切な対応が可能になる。その結果、離床時の転倒リスクへの対応が迅速かつ的確になり、介護職員の負担軽減につながる。機械に任せられる業務は極力機械に任せることで、本来注力すべき身体介護に集中できる環境が整うのだ。

 実際に導入した介護施設からは、「介護職員の定期巡視訪室の負担を軽減できた」「入居者が就寝中の見守りでも邪魔にならないことに加え、プライバシーに配慮できるようになった」「今までは赤外線型センサーを導入していたが、居室内転倒を未然に防ぐことはできなかった。高齢者見守りソリューションは、ベッドからの抜け出し予兆を正しく知らせてくれるため、事故が減った」といった声が寄せられている。

 OKIでは、高齢者見守りソリューションの効果を実感してもらうため、無償トライアル拡大キャンペーンを実施している。通常は数台の離床センサーを約2週間無償で貸し出しているが、拡大キャンペーンでは、大規模かつ長期のトライアルにも柔軟に対応する。同社では、同社の通信特約店や提携する介護サービス企業、さらにダイワボウ情報システムを通じて、問い合わせや受付に対応している。

 高齢者見守りソリューションは、介護業界では後発のサービスとなるが、エッジセンサーにおける高い技術力とクラウドサービスのインテグレーション力を強みとしている。高精度なセンシングとデータ解析技術を通じて、介護施設が抱えるさまざまな課題に応えていく方針だ。

 離床予兆を正しく検知できることや、設置する寝具を選ばない点、価格を抑えられる点などを強みとする高齢者見守りソリューションは、すでに離床センサーを導入している介護施設に対しても、更新提案の余地がある。

 少子高齢化が加速する日本では、今後の高齢者見守りは、介護施設から、在宅医療・介護へと広がっていくことが想定されている。この状況に対応するためOKIでも、高齢者見守りソリューションで収集したデータを活用し、将来的には在宅環境への対応も視野に入れて検討を進めていく計画だ。