AIが共に働く社員となるプラットフォームを提供
ServiceNow JapanのAI事業戦略
2022年の終わりごろから一般のユーザーに触れられる形で生成AIがマーケットに登場し、企業においてはアプリケーションの横に置かれた機能の形でAI活用が進められてきた。そして、近年ではAIエージェントという形に活用形態がシフトする中、人と一緒に働く仲間としてAIを企業の業務プロセスに組み込み、業務生産性を向上していくためには、どのようなソリューションが必要だろうか?ServiceNow Japanでは、国内外に先駆けて『AI社員』を創造するソリューションを提供している。本稿では、4月22日に同社が実施した2026年の事業戦略に関する記者会見にて発表されたAIソリューションとその展望を解説していく。
国内外での事業が好調
企業のAI需要に呼応

社長執行役員
鈴木正敏氏
会見冒頭、ServiceNow Japan 社長執行役員の鈴木正敏氏が同社の事業展開の最新状況を発表した。「昨年度、当社のグローバルでの売り上げは約2兆円に到達しました。加えて、引き続き20%以上の成長率を遂げています。ServiceNow Japanでは、グローバルの成長率を上回る成長を継続しています。今後も、ServiceNowに対する需要に応えてきたい所存です。日本市場でのハイライトとしては三つあります。一つ目はエンプロイエクスペリエンスに資する領域や営業に資する領域のソリーションなど、IT領域を超えたソリューションが採用されている点です。二つ目は、AIプラットフォームとしての採用の加速です。お客さまとの商談では、AIの活用を念頭に置いた検討が増えており、企業内でAIの価値を最大化する当社のプラットフォームを好評いただいています。当社は、デジタルワークフローという名の下にデータを連携し、業務が従業員一人一人の手元の作業にとどまることなく業務プロセス、オペレーションをつないでいくプラットフォームを提供します。三つ目にはパートナーズシステムの拡充があります。多くのパートナーさまが日本市場でビジネスを展開していただいています。当社は、パートナーさまとビジネスの伸長に加え、日本市場に必要なスキルリソースを拡充し、日本のお客さまが安心して製品を使っていただくということ、また日本法人としてAIを事業戦略の基本に据えつつパートナーさまとのビジネスに共に取り組んでいきます」
ヘルプデスク業務AIが補完
AIネイティブな業務体制がカギ

専務執行役員
COO(Chief Operating Officer)
原 智宏氏
ServiceNow Japan 専務執行役員 COO(Chief Operating Officer) 原 智宏氏からは、同社が提供するAIソリューションの三つの柱、そしてAIネイティブな業務の在り方について紹介された。原氏は、「当社では、直接的に企業の労働力を強化していくための『AI社員』としての役割をAIに期待していきたいと思っています。 具体的には、徐々に個々のアプリケーションから、よりシンプルな環境、AIとの対話を通して業務を実行していく機能開発に注力しています」と話し、次のように製品説明を続ける。
「当社が提供する『Autonomous Workforce』は、人が行っていた応答に関する業務をロール単位で代替します。例えば、ITのヘルプデスクサポートを担う『L1 サービスデスク AI スペシャリスト』という機能により、フロントラインでITのリクエストを受け取るさまざまなヘルプデスク担当の従業員をシンプルな業務から開放します。対象領域は今後、ITのみならず、セキュリティHR、ファイナンス、カスタマーサービスのような領域まで広く対応する予定です。EmployeeWorksは、AIが業務に組み込まれる『AIフロントドア』の考えを踏襲し、応答の実行と完遂まで、一つのフロントインターフェースによってAI機能を提供します。本ソリューションでは、当社が昨年買収したMoveworksのソリューションを、当社の『Employee Center』に組み込んでいます。これにより、自然言語によるリクエストを通してあらゆる業務データをAIが把握し、必要な部門、必要な業務プロセスへとユーザーを導き、業務のクローズまでの一連の業務プロセスをシングルインターフェースで実現します。このインターフェースはモバイル、 デスクトップのWebブラウザーベースのほか、ボイスUI等も使用してマルチモーダルで均一なサービスをあらゆる就業環境からフロントドアとして提供していきます。従来より提供してきた『AI コントロールタワー』はよりエンハンスメントして、新しい取り組みをスタートしています。例えば、企業の業務のあらゆるITアセットを発見し、インベントリとして管理します。そして、AIに関する投資対効果を実際に測定します。サードパーティーのAIアセットについても、AIエンベントリとして単一のCMDB(構成管理データベース)の中で管理が可能です。これにより、各プロセスオーナーであるCOOやCIOなどさまざまなステークホルダーをビジネスに巻き込んでいき、一つのダッシュボードを通してAIの取り組みを後押していく__まさに、管制塔としてサポートしていきます。AI コントロールタワーによるアセットの管理部分は、当社が昨日、買収を完了したArmisのソリューションを組み込んだことで、管理対象となるAIの適用領域が一般的なコーポレート業務を超えてフィジカルな領域をサポートしています。例えば、工場におけるショップフロアや物流倉庫のような領域に広がっても、そこで管理されるあらゆるアセットがAIによってコントロールされ、一つのAIインベントリとして管理する機能となります」
文脈を保管するソリューションを提供
適切な認識のAIと働く時代へ
ツールという範囲にとどまっていたAIがいよいよ、社会のコワーカーとして人と共に働いていく未来図が描かれ始めている。一方で業務利用においては課題も残っている。これまでデータ活用においては、業務を適切に遂行するためのさまざまなノウハウや知識が形式知化され、もしくは個々人の中にある暗黙知として業務フローの中に組み込まれきた。こうした方法論は、AIが業務を駆動する場合も同じ構造が適用できると原氏は話す。「企業が蓄積してきたさまざまなデータに業務の文脈を正しく補完することにより、AIが効率的な業務実行をサポートするソリューションが『Context Engine』です。アクセスグラフ、ナレッジグラフ、ディシジョングラフなど、従来のリレーショナルデータベースとは異なるグラフ形式でさまざまな業務の関係性をグラフ形式で管理します。実行結果はContext Engineにフィードバックされ、学習させることでAIに渡す文脈をさらにリッチなものに向上させていきます。さまざまなテクノロジーを集約することで、当社のプラットフォームにおいてAIエージェントが自信を持って行動し、人の業務を代替する体制をサポートしています」
昨今IT環境が目まぐるしく変化する中、ユーザーがAIを意識せず適切に業務を遂行するソリューションを模索するServiceNow Japanにこれからも注目したい。


