「Microsoft Fabric」でデータを処理
AIを有効活用できるデータ分析基盤

今号のAzureから始めるAIとクラウドの未来では、「Microsoft Fabric」を今の時代に導入するメリットを紹介します。Microsoft Fabricは、統合型クラウドベースのデータプラットフォームであり、SaaSとしてデータ管理と分析を提供します。データ分析に必要なツールを一つにまとめたMicrosoft Fabricが企業のシステム運用にどのように役立つのか、見ていきましょう。

データ連携・分析の課題を解消

 多くのお客さまに見られるシステム課題として、データ管理と分析の際に複数のツール間の連携が必要である点があります。例えば、データの収集、保存、加工、分析、そしてそれらをグラフ化するという一連の流れが分断されており、ツールごとに契約・操作・連携が必要でした。「Microsoft Fabric」は、これらの工程と課題を統合環境で提供するエンドツーエンドのデータ基盤サービスです。データ活用に必要な機能が網羅されているため、システムの設計や構築、運用の負担を大幅に軽減可能な点が大きな特長です。一言で表すとデータ分析に必要な全ての機能を、一つのプラットフォームに統合したものです。併せて、全てのワークロードにCopilotの機能が搭載されており、生成AIを利用することでデータの価値を最大限に引き出せるようになります。

 では、今改めてデータの基盤が重要な理由をお話しします。そのポイントは、AIの活用です。AIをより有効に活用するには、質の高いデータが必要になるためです。質の高いデータがあればAIからより良い回答を得られ、逆にデータがバラバラに管理されている場合、業務に利用できない回答がAIから返ってきてしまう可能性もあります。データが各システムに散らばっている状況から、AIが1カ所を見るだけで全社データを把握できる環境に整備することがAI活用の大きな一歩となります。

 Microsoft Fabricでは、AIによって質の高いデータを引き出すデータ基盤を提供します。Microsoft FabricはAIが正しく答えを導き出すためのデータの土台です。AIの性能の差は、もはやモデルではなくデータ側で決まる時代になっています。Microsoft Fabricは、データ側を整える最短ルートとなり得ます。AIが正確に答えを導き出すためには、整理されたデータが必要なのです。では、数ある機能の中から、リアルタイムなインテリジェンス機能を紹介します。Microsoft Fabricでは、統合ビューでデータを探索するために「リアルタイムハブ」を使用します。リアルタイムでハイパフォーマンスかつ短時間で大量のストリーミングデータを探索して分析し、処理が可能です。組織全体のストリーミングデータソースを発見・管理し、追加の外部データソースに接続できます。

 Microsoft Fabricで活用可能なCopilotでは、データの変換と分析、分析情報を生成するほか、Power BIでの視覚化とレポートを作成する新しい方法を提供しています。ユーザーはPower BIのレポートに関して質問したり、Copilotウィンドウで回答を得たりできます。

企業の製品販売データをMicrosoft Fabricで管理しているダッシュボード。

複数の機能でAI活用をサポート

 それでは、AI活用においてMicrosoft Fabricが有効な理由について、詳しく説明します。まず一つ目は、必要なデータが1カ所に集約される点です。例えばデータが各システムに散らばっていると、AIはデータの所在が分からず有効な回答を出せないケースが想定されます。Microsoft Fabricでは全データをデータレイクである「OneLake」に統合し、AIが1カ所を見るだけで全社データを把握できます。さらにデータは常に最新の状態に保たれます。二つ目はMicrosoft Fabricによって常にリアルタイムでデータが更新される点です。なぜなら、既存のデータが古くAIが誤った判断を行ってしまうケースもあるためです。Microsoft Fabricなら、AIがリアルタイムなデータを回答可能となります。三つ目は、データの意味を統一定義できる点です。例えば、「売上」の定義が各部門で異なるとAIが正しく集計できないケースがあります。その場合でも用語や指標を統一定義するため、AIが正確に回答可能になります。四つ目は、AIツールのCopilotが標準搭載されている点です。AIとデータ基盤を別々に構築すると連携が複雑で、専門の人材、エンジニアが必要となります。Microsoft FabricではAIが最初から組み込まれているため、自然言語でグラフ作成やレポートの下書きを作り、データの要約といった高度な分析タスクを実行可能です。AIは良いデータがあって初めて賢く動きます。Microsoft Fabricは、その良いデータを準備する土台となります。

 また、レポート作成や分析をAIで実行可能な「Microsoft Fabric IQ」(以下、Fabric IQ)とも連携できます。Fabric IQは、オペレーションエージェントを使用して、信頼性が高く自律的な運用を実現するエージェントを作成します。オペレーションエージェントは、ライブデータを監視して異常を検知し、ビジネス上の意味合いを分析した上で、企業のコンテキストに即した正確かつ説明可能なアクションを提案します。生成AIを使用して独自の会話型Q&Aシステムを構築する「Fabric データ エージェント」にも対応しています。組織内の全てのユーザーがデータ分析情報にアクセスし、アクションを実行できるようになります。例えば、AIに関する技術的な専門知識を持たない人やデータ構造を深く理解していないユーザーでも、正確でコンテキストに富んだ回答を受け取ることが可能です。ビジネス上の複雑な質問について平易な言葉で投げかけても、すぐに実践に移せるような回答を得られるのです。

 今回は、Microsoft Fabricを今改めて導入するメリットについて説明しました。Microsoft Fabricは、データ管理と分析を統合することで組織の意思決定を迅速化し、効率的なデータ活用を可能にする強力なプラットフォームです。まずは特定の部門からデータを収集し連携させるなど、できる領域から始めて小さな範囲で試していき、データ活用の領域を徐々に広げていく考え方が重要です。段階的な将来の利活用やシナリオ拡大にもシームレスに対応していますので、企業データの「ハブ」としてMicrosoft Fabricを検討してみてください。

Microsoft Fabricのガイド付きツアーを左のWebサイトにて紹介。操作手順を確認しよう!
https://guidedtour.microsoft.com/ja-jp/guidedtour/microsoft-fabric/microsoft-fabric/1/1

データを統合されたインテリジェンスに変換してAIエージェントを強化するFabric IQもチェック!
https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-fabric/features/iq#tabs-oc4870_tab1

text:日本マイクロソフト 大北崇人 氏