Sustainability Disclosure Solution

 企業活動による温室効果ガスの排出量は、その排出源によってスコープ1〜3に分類される。スコープ1は自社での燃料の使用による直接排出、スコープ2は他社から供給されたエネルギーの使用による間接排出、そしてスコープ3はこれらに含まれないサプライチェーン上の間接排出が該当する。2023年度はサステナビリティ開示基準(SSBJ基準)適用へ向けた動向がみられ、プライム企業にはスコープ1・2の報告義務化に加え、スコープ3の開示が求められるようになった。そして、対象の見直しが進められているものの、2027年3月期からはサステナビリティ情報の有価証券報告書での開示が求められる見通しだ。この状況を受けて、デロイト トーマツ ミック経済研究所は、国内のサステナビリティ情報開示ソリューションに関する市場動向を調査した。

 サステナビリティ情報開示ソリューション市場は、2024年度に前年度比11.4%増の1,635億円となった。2029年度まで年平均成長率 12.2%で推移するとデロイト トーマツ ミック経済研究所は予測している。

 中でも注目されるのが、ソフトウェア関連市場だ。温室効果ガスやライフサイクル全体における環境負荷を評価する「Life Cycle Assessment」(LCA)などの算定ツール、そしてサステナビリティ関連のAIデータプラットフォームを含む本市場は、2024年度に前年度比16.1%増の433億円に成長した。この要因として、中小企業への導入が増加傾向にあることが挙げられる。2030年度には全プライム企業へ有価証券報告書による報告義務化が波及するとみられ、ユーザー企業からの相談が増加しているのだ。また、算定対象がLCAやネイチャーポジティブ領域といったCO2以外の分野へと拡大していることも要因の一つである。欧州におけるサステナビリティ情報開示の規制強化や、生物多様性に関する世界目標「昆明・モントリオール生物多様性枠組」による2030年までの具体的な数値目標の設定など、国際的にもサステナビリティに関する取り組みが加速している。ネイチャーポジティブに関する国際的なルールや新たな目標に備え、LCAや自然資本などに関する企業のリスク・機会を適切に評価・開示するための枠組み「Taskforce on Nature-related Financial Disclosures」(TNFD)関連の分野について、ユーザーからの相談が増加しているのだ。これにより、本市場の2029年度までの年平均成長率は14.3%になるとデロイト トーマツ ミック経済研究所は予想している。

重厚長大産業が市場をけん引

 環境負荷の大きい製造業、特に重厚長大産業の企業では、サプライチェーン全体のデータ管理や、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)などが定める要件に基づく第三者機関認証の取得を迫られている。こうした背景から、業種別の売り上げ構成では重厚長大産業を含む製造業が上位となった。

 建設業では、2024年度にはBIM/CIMとの連携によるCO2排出量算定が事業の中核であったが、LCAにも対象範囲が拡大している。サーキュラーエコノミー全体に対応可能な体制の構築が進んでいるのだ。2025年度に建築物LCA制度検討会が公表されたことを受け、2026年度以降、建設業におけるニーズの増加が見込まれる。

※2025年度は見込値、2026年度以降は予測値。