日本リカバリー協会が2025年5月28日に発表した「日本の疲労状況2025」によると、人々の疲労状況は深刻さを増している。2025年のデータでは「元気な人」の割合は21.4%と前年よりわずかに減少し、「疲れている人(高頻度)」は41.5%に上昇した。「疲れている人(低頻度)」と合わせると78.5%が疲労を感じていることが分かった。このような疲労状況の深刻化は、個人の健康問題にとどまらず、生産性や企業経営にも影響を及ぼす要因となっている。こうした背景を踏まえ、休養に関する書籍を紹介する。

疲労学

片野秀樹
1,760円(税込)
東洋経済新報社

「休むこと=寝ることではありません。」というキャッチコピーでベストセラーとなった『休養学』の著者が手掛けた本書は、疲労をいかに少なくするかという視点で構成されている。疲労をテーマとした理由について、疲労が少なければ休養に割く時間を減らせるため、日々の効率が良くなるからだと著者は述べる。本書では、疲労を抑えるための三つの柱として、行動・思考・食事の工夫を挙げている。まず行動面については、第3章と第4章で具体的な方法が紹介されている。その中心となるのが「DRICS理論」だ。これは、ストレスを与える要因であるストレッサーから距離を置く、ゼロに近づける、興味に変換する、自分の支配下に置く、そしてストレスで埋め尽くされた日常に余白をつくるという五つのアプローチを提案する理論だ。次に、第5章では疲れを少なくする思考法として「デフォルトモード」を紹介している。これは、意識的にぼーっとする時間を設けることで脳を休ませる方法だ。さらに第6章では、疲れにくくなる食事法として糖質制限と糖化抑制を取り上げている。本書は理論だけでなく、疲労のチェックリストや豊富な実践方法を掲載しているため、日常に取り入れやすく、疲労の抑制に役立てられるだろう。

仕事の質を高める休養力

角谷リョウ
1,870円(税込)
フォレスト出版

 個人や企業を対象に睡眠完全サポートを行う著者は、寝るだけでは疲労を完全回復できないと語る。それでは疲労を完全回復するためには何が必要なのか。本書では「疲労を出す」「完全に休む」「充電する」という3ステップを踏むことで、疲労回復に成功すると説く。疲労を出すは第4章で、完全に休むは第5章で、充電するは第6章で具体的な実践例と共に解説している。さらに第7章では、3ステップを実践するための具体的なスケジュールの立て方を、成功させるコツと共に紹介する。多忙なビジネスパーソンにとって、効率的に疲労をリセットするための指針となる一冊だ。

一生健康に働くための心とカラダの守り方

吉田英司
1,980円(税込)
かんき出版

 本書は、働き続けるために最も重要な健康に対して不安を抱える読者に向けた一冊だ。産業医として働く著者が、避けられるはずの身体の病気や対応できたはずの心の病気について、医学的根拠、エピソードを交えて紹介している。第1章では現代人に多い身体の不調の背景と対処法を示し、第2章では職場で頻発するメンタルヘルス不調の実態を取り上げる。さらに第3章では休職に至った場合の再発防止のための準備を解説し、第4章では不調を感じたときに誰に、どのように相談すべきかを具体的に示している。本書によって漠然とした不安を、今日から実践できる健康管理や働き方の工夫に変えられるだろう。