2025年12月18日にマグニチュード7.6の地震が青森県東方沖で、2026年1月6日にマグニチュード6.4の地震が島根県東部で発生するなど、国内では地震の発生が相次いでいる。また、気象庁の観測によると、1時間降水量80mm以上、3時間降水量150mm以上、日降水量300mm以上といった強度の強い雨は、1980年ごろと比較しておおむね2倍程度に頻度が増加している。このように災害リスクが高まっている状況を踏まえると、被害を最小限に抑えるためには、個人や企業が平時から防災意識を高め、具体的な備えを進めることが不可欠だ。そこで今回は、防災をテーマとした書籍を紹介する。

はじめての企業防災BCP入門

インフォコム 危機管理研究会
中川友記/髙橋克彦/徳山英治/根岸紗輝/団 宏純
1,980円(税込)
WAVE出版

 本書は、企業や自治体向けに危機管理サービスを提供してきたインフォコムが、約30年にわたり蓄積した知見を基に、企業防災の基本からBCP策定までを体系的に整理した一冊だ。日常業務に防災の視点を組み込み、継続的な改善を重ねる重要性を強調している。その上で企業防災の考え方を起点に、計画策定の具体的なステップ、訓練や評価・改善の方法、IT・デジタル技術の活用、最新動向まで幅広く解説している。全日本空輸のBCPに関する事例も取り上げ、実践的な取り組みを示している点も魅力だ。さらに、防災教育の分野では東京大学生産技術研究所附属災害対策トレーニングセンター(DMTC)の活動を、同研究所 准教授 沼田宗純氏によるコラムで紹介し、学術的な視点からの知見も加えている。初めて防災担当を任された人が「何から始めればよいのか」と迷うケースは少なくないが、本書はそうした担当者に向け、企業防災とBCPの全体像を理解し、最初の一歩を踏み出すための指針となる。実務に直結する内容と事例により、企業の危機管理体制を強化するための実践的な知識を身に付けられるだろう。

よくわかる防災教育

藤岡達也 編著
2,860円(税込)
ミネルヴァ書房

 本書では防災教育の基本を、「災害につながる自然現象を知ること」と位置付けている。地震や津波、火山噴火、台風、豪雨などは自然現象に過ぎず、人間が被害を受けて初めて災害と呼ばれる。本書は、こうした災害を引き起こす自然現象のメカニズムを分かりやすく説明。そのほかにも学校や地域で行われている防災教育、「災害対策基本法」をはじめとした災害に関する法律など、防災と防災教育に関わるテーマを有機的・体系的に解説している。自然科学や工学、法律、教育、健康・保険など社会科学といった多岐にわたる専門家が各項目を執筆しており、専門的な知見が得られるのだ。

2040年の防災DX

村上建治郎
1,650円(税込)
講談社・日刊現代

 本書は2040年に実現が期待される新たなテクノロジーに焦点を当てている。第1章では、AI、ドローン、ロボティクス、デジタルツイン、人工衛星、そしてヒト・モノ・コトが全てつながる「インターネットコネクテッド」の六つの領域が、防災においてどう進化しているかを詳述している。第2章では、防災DXの近未来像に至るまでに直面する課題や問題点を整理し、現実的な視点から検討している。さらに第3章と第4章では、国内外の事例を取り上げている。防災DXを巡る現在地を明らかにすることで、激甚化する災害に対し、一人でも多くの命を守るための知見を提供することを目的とした一冊だ。