生徒の思考に寄り添うMiraPASSのAIが探究学習とキャリア教育の学びを支える
石川県のほぼ中央に位置するかほく市。日本海に面している同市は、豊かな自然によって育まれた大崎すいかやルビーロマン(ぶどう)といった一次産業や、ゴム入細幅織物などの繊維産業といったさまざまな特産品が存在する。同市の高松地区に位置するかほく市立高松中学校(以下、高松中学校)では、探究学習やキャリア教育などを「総合的な学習の時間」で実践している。その学びをさらに深めるため現在活用を進めているのが、AI教材「MiraPASS」だ。同校の学びの様子を見ていこう。

主体的な学びを支えるICT環境
高松中学校では、自ら学び高め合う生徒の育成に取り組んでいる。同校で研究主任を務める教諭 福島栄一氏は「本校では1人1台の学習者用端末としてChromebookを導入しています。各教室には大型モニターを整備し、ミラーリング機能を用いて手軽に画面共有が行える環境を整えているほか、学習支援ソフト『Google for Education』や『ミライシード』を活用し、学びの中で必要に応じてICTツールを選択し、主体的に学べる環境を整えています」と語る。さらに、自ら学び高め合う生徒の育成を実現するため、授業の一部の時間で、それぞれのペースで学習を進める主体的な学びを全ての教科で実践している。一部の学年ではこれらの学習の中で、「Gemini」のような生成AIを活用する場面もある。
一方で、GeminiやChatGPTのような生成AIを利用することで、生徒たちがその回答をうのみにしてしまうリスクが存在する。高松中学校 教諭 櫻井千明氏は「例えば社会科では、生徒たちが調べた内容に対して必ず根拠を示すよう指導しています。生成された内容に対して『本当にこれでいいのか?』と深掘りをすることが学びの上では重要ですが、汎用的な生成AIはそうした姿勢を育む上では、教育現場にそぐわない場面も存在します」と指摘する。
このような汎用的な生成AIが抱える課題をクリアしているのが、ミラッソが提供しているAI教材「MiraPASS」だ。MiraPASSは現役起業家による映像教材と、AIによる対話型ワークを組み合わせた探究学習・キャリア教育向けの教材として提供されている。高松中学校1学年は、このMiraPASSを生徒たちの探究学習における課題設定やキャリア教育に活用しているという。高松中学校の1学年の学年主任を務める教諭の上谷由喜氏は「本校では、探究学習を実践的な学びの場、キャリア教育を自分自身で課題や将来のことを考える場と定義し、この探究学習とキャリア教育の両輪で、総合的な学習の時間における学びに取り組んでいます。一方で、探究学習を実践する前段階となる課題設定を生徒が1人で行うと、『戦争を止める』とか『地球温暖化を防ぐには』といった、大きくざっくりとした課題設定になりがちです。それに対して私たち教員は一人ひとりに向き合い、より身近な課題となるようにそのテーマを深掘りしていきます」と語る。
しかし、1クラス30人程度の生徒がいる高松中学校1学年において、少ない教員がその個々の課題設定に向き合うのは限界がある。このような課題設定のシーンで活用を予定しているのがMiraPASSだ。MiraPASSにはAIチャット機能「みらいワーク」が搭載されており、生徒たちはこのAIとの対話を通じて、自分自身の考えの深掘りに取り組む予定だ。
「1学年では総合的な学習の時間において、地域学習を行います。その地域課題のテーマ設定にMiraPASSを使う予定です。導入したタイミングでは、すでに今年の課題設定は終了していましたが、探究学習を行う中で発生した悩みなどに対して、AIが寄り添ってサポートするような活用が見られました。答えを返すのではなく、生徒自身に考えさせる応答ができる点が、MiraPASSの良い点です」と上谷氏。
例えば今年の地域学習では「規格外野菜を救う」というテーマで学びを行った生徒がいたという。探究学習では最終的に、規格外野菜を活用した子供食堂を開き、地域の人々に振る舞った。その学びの中で「規格外野菜の原因は人手不足ではなく天候変動である」という別の課題に気が付いた生徒たちは、今後養蜂に取り組むことで花粉交配を促し、規格外野菜の発生を抑える探究活動を進める予定だ。継続的に思考を続ける学びの中で、教員のサポート的存在としてAIが存在すれば、より効果的で深い学びの実現につながるだろう。
これからの働き方をAIと学ぶ
「MiraPASSのAIの良いところは、生徒からの問いかけに直接答えを返すのではなく、その考えを深めるための問いかけを行ってくれる点です。また生徒によっては、AIへのプロンプトを作成するスキルが低い場合もありますが、そうしたプロンプトに対しても適切な応答をしてくれます」と上谷氏は語る。現在、上谷氏が担当する1学年の授業では、働くことをテーマにしたキャリア学習を行っており、今後「職業人に学ぶ会」と題して地域の働く大人に講演を行ってもらう予定だ。その講演に備え、生徒たちはMiraPASSに搭載されている映像コンテンツを視聴したり、みらいワークによるAIとの会話を通じて「ダブルワーク」や「リスキリング」「福利厚生」といったキーワードについて調べて学ぶ用途にも活用したりしている。
「私たち教員の多くは、学校以外の働く場を知りませんが、生徒たちの多くは教員以外の働き方を選択するでしょう。それらの進路に合わせて実社会で働く実業家の映像コンテンツが用意されているMiraPASSは、こうした生徒たちのキャリア教育に非常に役立つと考えています。一方で、コンテンツが子供にとっては難しい内容であるケースもあり、そうした要望に対してミラッソ側の担当者には逐次フィードバックを行い、改修をしていただいています。AIは非常に便利ですが、それが本当に生徒の力になっているかという検証も行いながら、探究的な学びやキャリア教育に一層力を入れて取り組んでいきたいですね」と上谷氏は展望を語った。


