電子認証・印鑑事業を中心に、クラウド・ホスティング、DX、セキュリティなどのインフラサービスを多角的に展開するGMOグローバルサイン・ホールディングス。同社が提供する電子契約サービス「電子印鑑GMOサイン」は、官公庁から民間企業まで幅広く支持され、2015年のサービス開始から10年を迎えた。その歩みは、依然として紙と印鑑が主流である日本の商習慣の中で、デジタルという選択肢が、いかにして現場の商習慣と共存できるかを問い続けてきた時間でもあった。企業ガバナンスの強化やコンプライアンスへの意識が社会全体で高まりを見せる中、電子認証局を自社グループで持つ同社ならではの強みと、デジタル化がもたらす未来の展望に迫る。
電子契約の普及を見据え
知見やノウハウを蓄積

GMOサイン事業部
部長
牛島直紀 氏
「電子印鑑GMOサイン」の歴史は、2015年、当時のサービス名「GMO電子印鑑Agree」として誕生したところから始まる。今でこそ電子契約は一般的なビジネス用語となったが、当時は「電子署名」という概念すら十分に知られておらず、現場の反応は冷ややかなものだった。GMOグローバルサイン・ホールディングス GMOサイン事業部 部長 牛島直紀氏は当時をこう振り返る。「当初の数年間は電子契約の認知が全く進まず、非常に苦労しました。お客さまに利便性を説いても、『判子がないと落ち着かない』『本当にこれで大丈夫なのか』といった不安の声が大半で、デジタルで契約を結ぶという行為自体が、日本の組織にとって心理的なハードルが非常に高かったのです」
実際、リリースから数年はIT企業や人材系など、一部の先進的な業界での導入にとどまっていた。しかし同社は、市場の認知が追いついていないこの冬の時代を、将来の本格的な普及に向けた重要な準備期間と位置付けた。「法的に本当に有効なのか」「社内の承認フロー(社内規定)とどう整合性を取ればいいのか」といった、現場が直面する実務上の懸念を一つひとつ吸い上げ、知見を蓄積していったのである。いつか必ず訪れる「電子化が当たり前になる時代」を見据え、技術的なシステム構築と並行して、こうした運用ノウハウの土台を固め続けていった。
この状況が一変したのは2020年ごろだ。コロナ禍によって「脱ハンコ・脱印鑑」の流れが突如として加速し、市場は一気に拡大したのだ。GMOグローバルサイン・ホールディングス GMOサイン事業部 プロダクトセクション セクションチーフ 石井徹也氏は「コロナ禍を経て、電子契約はようやく一つの手段として検討していただける段階に来ました。当時は一過性の流行で終わるという見方もありましたが、コロナ終息後も市場は継続的に成長を続けています。かつてはIT業界が中心でしたが、現在は建設業や金融、不動産など、厳格な規制や複雑な実務を伴う業界へも幅広く拡大しつつあります。リリース当初から妥協せずに積み上げてきた実務への深い理解があったからこそ、こうした多様な業界の期待にも応えることができているのだと感じています」と話す。
自社認証局を持つ強みと
AI時代を見据えた真正性の担保

GMOサイン事業部
プロダクトセクション
セクションチーフ
石井徹也 氏
電子印鑑GMOサインの大きな独自性は、自社グループで電子認証局「GlobalSign」を運営している点にある。電子契約の信頼性の根幹となる「電子証明書」の発行機能をグループ内に有していることが、安全かつガバナンスを重視したサービス提供を支える土台となっている。
この確かな信頼性を前提として、実務における使い勝手を追求している点も強みだ。その中でも、契約の重要度や性質に合わせて使い分けられる多彩な署名方式は、現場の利便性を大きく高めている。メール認証により本人性を担保する「立会人型」に加え、電子認証局が厳格に本人確認した電子証明書で本人性を担保する「当事者型」、両者を組み合わせる「ハイブリッド署名」など、契約の性質や重要度に応じた最適な契約方式を一つのプラットフォーム上で選択できる。
また、契約の「真正性」をより強固にするための本人性担保の手段も豊富だ。SMS認証に加え、本人確認書類による認証、さらにはマイナンバー(公的個人認証)による認証など、契約の重要度に応じた多様な認証方法を用意している。「生成AIの急速な発展により、デジタル空間でのなりすましのリスクは高まっています。AI時代においては、その署名が本当に本人の意思によるものかという『真正性の証明』が重要になります。取引のリスクレベルに合わせて最適な本人確認を柔軟に選択できる多様性は、契約の正当性を揺るぎないものにするための、大きな価値となります」と牛島氏は説明する。

こうした多様な認証や柔軟な運用を根底から支えるのが、一分の隙も許されない徹底したセキュリティ基盤だ。昨今、社会全体でデータガバナンスへの意識が向上する中、ツール選定においてかつてないほど厳格な確認が求められるようになっている。電子印鑑GMOサインは、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格である「ISO/IEC 27001」をはじめ、内部統制の国際セキュリティ認証である「SOC2 Type2保証報告書」や日本政府の定めるセキュリティ認証「ISMAP」を取得するなど、客観的な指標でその安全性を証明してきた。こうした厳格なセキュリティ基準を満たしているという事実は、電子印鑑GMOサインを利用する企業にとって確かな安心材料となっている。

導入後の運用を支える
現場を止めない全方位サポート
徹底した安全性の追求は、単にシステムを堅牢にするだけでなく、利用者の不安を取り除くサポート体制にも反映されている。「電子契約は、自社だけではなく相手方がいて初めて成立するものです。我々は、お客さまだけではなく、その先にいる相手方からの問い合わせにも丁寧に対応しています。操作が分からないという理由で大切な契約が止まることがないよう、これまで培ってきたサポートのノウハウを全て注ぎ込んでいます。お客さまの不安を解消し、スムーズな締結を支える体制を整えることこそが、実務における『本当の使い勝手』につながると考えています」と石井氏は説明する。
同社のサポート体制は外部からも高く評価されており、企業情報化協会が主催する「2025年度(第26期)カスタマーサポート表彰制度」において「奨励賞」を受賞している。こうした姿勢も、多くの企業に選ばれ続ける理由の一つといえるだろう。
こうした現場主導の信頼性の高さは、販売パートナーにとっても強力な武器となる。電子契約は今や全業種に不可欠なインフラであり、新規開拓の「ドアノックツール」として極めて有効だからだ。石井氏は販売店パートナーへ向けて次のようにアドバイスを送る。「提案の際は機能比較だけでなく、相手方の不安まで解消し、スムーズな締結を支える『全方位的なサポート体制』も強みとして打ち出してください。操作に迷う契約相手も取り残さない安心感こそが、導入を後押しする鍵となるでしょう。多くの企業での豊富な実績を根拠に、『技術』と『支援』を両立した唯一無二の製品であることを伝えていただきたいです」
サービス提供開始から10年を迎えた電子印鑑GMOサイン。次に目指すのは、契約ツールの枠を超えた、日本のビジネスインフラとしての進化だ。「契約して終わり」ではなく、そこから始まるあらゆる業務の起点(ハブ)となり、他のサービスや実務とシームレスにつながっていくプロダクトに向けて、新たな挑戦を進めていくという。

