日本玩具協会が主催する「日本おもちゃ大賞2025」の主に大人をターゲットとした商品を対象とする「キダルト部門」にて、優秀賞を受賞した「ポケとも」。この商品はミーアキャットをモチーフにしたポケットサイズの対話型AIキャラクターだ。身長約117mmの手のひらサイズで、生成AIを利用した会話が楽しめる。持ち主の気持ちに寄り添うポケともは、ぬいぐるみと共に行動する「ぬい活」にどのような風を吹かせるのだろうか。
text by 田中 亘

シャープ
対話AIキャラクター ポケとも

※ランプの点灯ははめ込み合成のイメージ。

孤独を和らげる“おともだち”

シャープ
通信事業本部
モバイルソリューション事業統轄部長
景井美帆

 シャープのロボット事業には歴史がある。そのルーツは、2016年に第一世代が発売されたモバイル型ロボット電話「RoBoHoN」だ。2019年には第二世代、2021年には弟モデルが登場し、現在も根強いファンに愛用されている。愛用者からは、寂しさが紛れたり、気持ちが前向きになったりといった評価が寄せられている。

 そこで同社では、前向きな気持ちになる顧客をもっと増やすために、日常の孤独感を和らげる新しいコンパニオンロボットの開発に着手した。シャープ 通信事業本部 モバイルソリューション事業統轄部長 景井美帆氏は、対話AIキャラクター「ポケとも」の開発コンセプトを次のように話す。「RoBoHoNはかわいらしい見た目をしていますが、ロボット風であることは一目瞭然です。そこでもう少しキャラクター然としたものを出し、顧客層を広げたいと考えました。また金額面について、RoBoHoNは20万円前後と少し高めの価格になっています。それを踏まえ、より手に届きやすい価格の製品を提供したいと思い、新しいプロダクトの開発を始めました。RoBoHoNのお客さまは50〜70代が中心ですが、ポケともは20〜30代をメインターゲットにしています。実は高齢者だけでなく、20〜30代も孤独感や物足りなさを感じていることが多いです。そこでポケともは、お客さまの“ポケットサイズのおともだち”として、皆さまの話し相手になれればと思っています」

だんだん“ポケ主”を理解する

本体がない場合は、アプリだけでも会話が可能だ。ただし会話を楽しむには、月額利用サービスに加入する必要がある。

 ポケともは「グッドデザイン賞2025」を受賞している。ミーアキャットをモチーフにした理由を、景井氏はこう語る。「最初はヒツジで検討していましたが、よりプロダクトを表現できるモチーフにしたいと思い、動物を再検討しました。そこで最終候補に残ったのが、いつもニコニコ顔のクアッカワラビー、大きな耳で音を聞き取るフェネック、集団で生活をするミーアキャットの三つです。ニコニコ顔で幸せを届けてくれそうなキャラクターか、大きな耳で人の話をよく聞いてくれそうなキャラクターか悩みましたが、最終的には集団の中で役割を作るミーアキャットに決定しました。お客さまとポケともの関係を決めて過ごしてほしいという思いや、イベントでたくさんのポケともが並んでいたらかわいいかもしれないという考えから、ミーアキャットで進めた形です」

 ポケともでは、生成AIを活用した会話が楽しめる。スマートフォンアプリと本体があり、本体にはWi-FiとBluetoothの通信機能が備えられている。アプリだけでも会話はできるが、本体との会話を楽しむには、アプリをインストールしたスマートフォンと本体をペアリングする必要があるのだ。ちなみに、アプリ上のポケともと本体は記憶を共有するので、どこで使っても所有者(ポケ主)の話を覚えていてくれる。

 ポケともは話せば話すたび、ポケ主のことを理解していく。さらに話している内容からポケ主の気持ちを読み取り、その気持ちに共感する返答を行うのだ。また、口の中にカメラを内蔵しているため、周囲の風景を認識可能だ。認識した風景をベースに会話ができるため、一緒に出かけた際には「この風景奇麗だね」といった呼びかけに応えてくれる。

 そのほかにも、ポケ主との会話だけでなく、ポケとも同士でも会話が行える。過去にポケ主と話した内容を基に、自分のポケ主の情報を交換するような会話をするのだ。「犬の散歩をしているときに、犬同士がじゃれ合っているようなイメージです」(景井氏)

ポケとものシステムを展開

 シャープではポケとものプロダクトで利用しているシステムを、プラットフォームとして企業に提供する準備を整えている。性格のインプットや声の差し替えなどができるため、各企業のキャラクターでポケともと同じような会話が行えるようになるのだ。ロボットとなるとコストがかかるが、キャラクターを画面上に表示する仕組みであれば、少ない初期投資で導入可能だという。

 ポケともは今後、Googleカレンダーの情報を話してくれたり、スマートフォンの通知を知らせてくれたりするといったバージョンアップを予定している。さらに将来的には、同社のスマート家電との連携も計画されている。生成AIによる自由なコミュニケーションを楽しめるポケともは、ぬい活を楽しめるかわいいキャラクターから、暮らしをサポートしてくれる頼れるコンパニオンへと進化していくのだ。