あらゆる帳票のデータ化をサポートするAI-OCRソフトウェア「DynaEye」シリーズは、1997年の販売開始から累計8,500社以上の利用実績を誇っている。DynaEyeシリーズと、業務用イメージスキャナー「RICOH fi Series」(以下、fiシリーズ)を併用することで、正確かつ高速な紙文書の電子化をサポートする。今回は、DynaEyeシリーズの最新版「DynaEye 11」とfiシリーズによるペーパーレス化が、紙に埋もれる業務をどのようにワークスタイル変革していくのかを探る。

金融機関から医療分野まで幅広く活躍

 紙に書かれた手書きの文字や数字をデータとして読み取るOCRは、昔から業務のデジタル化にとって不可欠な技術だ。デジタルトランスフォーメーション(DX)推進にとっても、過去に蓄積された書類のデータ化は大きな課題となっている。現在でも、金融機関や医療関係、各種サービスデスク、受付業務などで、手書きの書類が数多く使われているケースも多い。特に金融機関では、口座振替や各種手続きに手書きの申請書が使われている。同じく官公庁でも、手書きの申請書を書く機会は多い。そのほかにも医療機関や物流業者でも、紙のカルテや伝票などが多く使われている。

 こうした業務の電子化に対して、AI-OCRソフトウェア「DynaEye 11」と、業務用イメージスキャナー「RICOH fi Series」(以下、fiシリーズ)は、高精度なスキャニング処理とAI-OCRによるデジタル化技術で応えてきた。例えば、北國銀行では、人手による口座振替依頼書の登録業務を効率化するために、fiシリーズでスキャンした依頼書の文字をDynaEye 11で自動認識する「口座振替依頼書登録システム」を開発した。独自のシステム開発により、以前は5名のオペレーターが1,000分かけていた手作業での入力処理が、エントリー作業においては0分となり、自動入力されたデータの確認や照合にかかる作業が3名で630分に短縮された。結果として、約30%の業務時間の短縮につながっている。

 また、埼玉県の個人病院では紹介状や検査結果などの書類をスキャンして電子カルテにひも付け、忙しい事務の業務を効率化した。この病院では、以前からフラットベッドスキャナーで1枚ずつ書類をスキャンしていたが、連続読み取りが可能なfiシリーズを採用したことで、複数の書類をまとめて高速で処理できるようになった。結果として、これまで100枚の書類を1日がかりで処理していた時間が、約1時間に短縮された。こうした事例からも分かるように、DynaEye 11とfiシリーズによる書類の電子化は、多くの業務で効率化とDX推進を後押ししてくれる。

業務用イメージスキャナーの導入メリット

 Keypoint IntelligenceとinfoSourceが実施した2024年の市場調査によると、fiシリーズは業務用イメージスキャナーとして世界シェアナンバーワン(2024年)の実績を誇っている。その特長は、高速での両面読み取り、薄紙も処理できる給紙性能、異なるサイズ・向きの書類もまとめて電子化できる画像処理機能、OCR精度を向上させる高度な自動二値化技術、出力先やファイル名を柔軟に指定できるデータ処理機能などが挙げられる。fiシリーズの給紙性能の実績として、従来のスキャナーでは紙詰まりが生じていた薄い帳票を処理して、手入力による処理を自動化した成功例がある。

 またDynaEye 11では、二つのOCRエンジンによる認識結果を突合する「ベリファイOCR」により、確認が必要とされる箇所が赤文字で表示される。作業の担当者は、その赤文字だけを確認すればよいので、作業時間の短縮にもつながる。

 古くからスキャナーを導入している業務の多くは、1枚の帳票をスキャンするときにエラーが出たらスキャナーで再びスキャンする方式が主流だった。そのため、高速なスキャンができずに時間を浪費するケースも多かった。そうした旧式なOCR業務に、DynaEye 11とfiシリーズの組み合わせは有効な提案となるのだ。

 DynaEye 11はオンプレミス型システムであるため、金融機関や官公庁、医療分野など、個人情報の保護が求められる業務で広く導入されてきた。もちろん、それ以外の紙を扱う業務でもDynaEye 11とfiシリーズによる作業時間の短縮や効率化は期待できる。ドラッグストアやスーパーのように、納品伝票や各種帳票を毎日のように処理する業種では、既存のOCR機器をリプレースすることによる効果も提案可能だろう。

ノーコードで帳票をデータ化できる

 DynaEye 11はシステム開発の経験がないユーザーでも、短期間で紙の帳票から必要な内容をデータ化する業務フローを設計できる。必要な操作は、最初に空の帳票をスキャンして、該当する項目欄とデータ化したいフィールドを関連付けるだけだ。例えば、紙の帳票の「指名」を記入する欄を選んで、データフィールドの「指名」として設定する。シンプルな設定で、幅広い書類の伝票や帳票にも対応できる。単純に手書きの資料をデータ化するだけであれば、システム開発などを依頼しなくても、Excelが操作できる程度のITスキルがあれば短時間でDynaEye 11を使いこなせるようになる。また、読み取ったデータはCSV形式でファイルに出力して他のアプリで利用することも可能だ。

 さらに、PFUではDynaEye 11によるOCR読み取りを無償で診断する「無償事前検証サービス」や、fiシリーズの製品貸し出しサービスも提供している。導入を前向きに検討しているユーザーには、読み取り精度やスキャナー性能を事前に試せる機会となる。無償事前検証サービスでは、評価してほしい帳票をPFUに送るだけで、OCRの専門家が検証して結果を連絡してくれる。機材を借りたりアプリを操作したりする必要もなく、OCRを検討している顧客企業から帳票を借りるだけなので提案もしやすい。実際の検証に必要となる帳票は、未記入の帳票1枚とサンプルが記載された帳票を最大10枚、OCRで読み取りたい項目を最大20件まで依頼できる。すでにOCRを導入している顧客企業に対しても、現在の読み取り精度と比較検討してもらうための情報として無償事前検証サービスの活用は効果的だろう。

 OCRは古くからさまざまな現場で使われてきたが、AIによる読み取り精度や判断の効率も向上している。いまだに手入力で紙の情報を登録している業務はもとより、既存のOCRを導入している企業に向けても、最先端のAI-OCRは更新の機会につながるはずだ。